サクサク・・・サクサク・・・
浜辺の湿った砂を踏みしめる二つの足音。
「・・・もう、明日に・・・なっちゃったね」
「うん・・・」
サクサク・・・サクサク・・・
少し離れて歩く、月明かりに照らされた二つの影。
「何時の、飛行機だっけ」
「8時に那覇発、かな・・・」
一つの影が歩みを止め、後ろを歩くもう一つの影に振り返る。
「・・・ねぇや・・・今まで・・・ありが・・・」
「!!・・・やめてっ!!」
一つの影が走り、もう一つの影に重なる。
「やめてよ・・・私たち・・・家族でしょ?そんな他人みたいなこと、言わないで・・・」
「そう、だね・・・俺達、家族だったね・・・」
「・・・ホントは・・・家族以上に、なりたかった、な・・・」
「・・・ねぇや?」
「ね、今夜は・・・ずっと一緒にいて。私だけの、空也でいて・・・」
「うん・・・」
来た道を引き返し始める二つの影。
寄り添ったまま、離れることなく・・・

父が知り合いから養育を引き受けてきたときには、本当に幼い少年だったのに
いつの間にか大きく成長していて、そしてその存在は私の中でも大きくなっていって
いつしか肌を重ね合うようにまでなっていた。
姉と弟のように育ってきて、恋人にはなれないと思って
余所に恋人を作ったときも、あえて責めはしなかった。
それは、いつか私の元へ帰るという予感めいたものがあったからかもしれない。
でも、今度は・・・私の元から遠く去ってしまう。
彼が初めて恋したという女の元へ行ってしまう。
いつかこうなるとわかっていたけれど、仕方のないこととはわかっているけれど
それは頭で考えることで・・・心は、張り裂けそうに苦しかった。

「ん・・・んむ・・・」
熱いシャワーに打たれながら、長い髪が濡れるのもかまわず唇を貪る。
空也が先にシャワーを浴びていたのだが、待つことが出来ずに
着ていた物を脱ぎ捨ててバスルームに飛び込んだ。
それほどまでに、求めていた。
「んっ・・・んはっ・・・んぅっ・・・」
唇を吸いながら、空也の指が濡れた体を這い回る感触に酔う。
もう、空也の指が触れていない場所などない。
盛り上がった胸も、滑らかな腹も、くびれた腰も、張りつめた尻も・・・
全てに触れて欲しい。私の全てを奪って欲しい。どこに行っても、私を忘れないように。
しなやかな指がゆっくりと蜜壷をかき回し始める。
・・・もうベッドまでも、待てそうになかった。
片足をあげる。流れる熱い湯が、茂みから滴る。
上げた足を空也が抱え、唇を離し、膝を曲げて少し腰を落とす。
見つめ合う。固くそそり立ったモノに手を添えて導く。
ゆっくりと空也が伸び上がり、見つめ合ったまま私の中に入ってくる・・・
「あ・・あ・・あ・・あぁ・・・」
満たされていく。充足感に思わず歓喜の声が漏れる。
空也の手が尻の肉を鷲掴みにする。押し広げ、さらに奥へ入ってくる。
首に両腕を回してしがみつくと、もっと奥へ迎え入れるためにもう片方の足も上げる。
その足も空也が抱え込み、体重の全てを繋がった一点にかけるように突き上げてくる
「うっ・・ふぅっ・・・んっ・・はぁっ!・・ぉっ・・ふぅっ!んっ!・・・〜〜〜っ!」
宙に浮いた体を空也が繋ぎ止めている。
打ち込まれた楔が喉まで突き抜けるような感覚に大きくのけぞる。。
ゆさゆさと体を揺さぶられ、奥をゴリゴリとえぐられる。
たくましい胸板に押しつけられた乳房が、揺さぶられる度に形を変えひしゃげる。
ぱちゅん、ぱちゅん・・・はぁっ・・はぁっ・・はぁっ・・・
いつの間にか空也がシャワーを止めていて
バスルームには濡れた肉を打ち付け合う音と
二人のあえぎ声だけが響いていた。

繋がったまま、空也がベッドまで私を運ぶ。
途中、苛むように空也が腰を揺すり、その度に息を呑んで声が漏れそうになるのを堪える。
やがて、ゆっくりとベッドに体をおろされると
しばらく二人とも息を整えるように動かずにいた。
やがて、空也が私の濡れた髪をそっと掻き上げるとゆっくりと動き出す。
見つめ合い、唇を重ね、また見つめ合う。
足を空也の腰と太股に回し、両腕で首と胸板にしがみつく。
離れないように。
今だけでも、離れてしまわぬように。
いつものように、二人思い切り動いて絶頂を駆け上がってしまいたいという欲望と
少しでも長い時間繋ぎ止めておきたいという願望とがせめぎ合う。
そして結局は・・・欲望が勝ちを納めた。
空也の動きが、速く、大きくなっていく。
揺さぶられる私は、しがみつきながらその動きに応えるように腰を動かす。
「・・・うっ・・・う、くっ・・・ふっ・・・んっ・・・」
「う、あ・・・ねぇや・・・もう・・・っ!」
「うっ・・・ん・・・い、いよ・・・私も、も・・・んっ・・・」
空也はもっと動きたいのか、体を少し離そうとする。でも、抱え込んで離さない。
「ダメ・・・このままで・・・イかせ・・・て・・・」
そのまま見つめ合う。空也は頷くと、動きを再開した。
見つめ合ったまま、達したかった。
空也のその瞬間を目に焼き付けておきたかった。
私のその瞬間を目に焼き付けていってほしかった
だから、頭の中が真っ白になって、弾けて、体がバラバラになって、息も絶え絶えになっても
空也を見つめていた。
「はぁっ・・はっ・・はぁっ・・はっ・・はぁっはっ・・はぁっはっ・・・
 はぁっはっはぁっはっあっ!はぁあぁあぁあぁぁぁっ!・・・・・・あっ!!く、うっ!!!」
最後に目に飛び込んできたのは、空也の顔。泣いてるみたい。可愛い。
ドクドクと熱く迸るものを奥深くに感じながら、ぼやけていく頭でそんなことを考えていた・・・

目が覚めると、一人だった。
残っているのは僅かな温もりと、いつもの書き置きのメモ。
”朝ご飯、できてます。早く起きてね。 空也。”
のろのろと起きあがり、身支度をするとキッチンに向かう。
いつも通りの朝食が用意されていた。
違うのは、テーブルに私しかいないこと。空也がいないこと。
時計を見る。もう、空港についたころだろうか。起こしてくれてもいいのに、もう間に合わないかも。
そう・・・もう、間に合わない・・・
用意された朝食を一人で食べながら、私は泣いた。
空也から別れを告げられて、初めての涙だった。

しばらくは抜け殻のようになって過ごした。
失った物の大きさに打ちひしがれ、何をすることもできなかった。
あの日までは。
「姉さん・・・私、引っ越す」
「・・・どこに?・・・なんで!?」
突然、歩笑が切り出す。ショックだった。
この上、妹までいなくなるのだろうか。
今の私にはそれはあまりに残酷な仕打ちに思えた。
でも・・・問いつめる私に、歩笑は微笑んでこう告げた。
「場所は、クーくんの家の隣」
「・・・え?」
「理由は、クーくんと一緒にいたいから。お父さんが、柊さんに頼んでくれた」
ああ、私って馬鹿。何故追いかけることを考えなかったのだろう。
空也は行ってしまったけれど・・・失ってしまったわけではない。
そうだ。取り残されて泣いているだけなんて、私には似合わない。
「姉さん・・・一緒に、行こう」
「・・・うんっ!」
一緒にいたい。それだけでもいい。
行こう。彼の元へ。
もう、新しい帆を広げよう・・・空に向かって・・・

(作者・名無しさん[2004/06/04])

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