本スレの48に

「そんなこと・・・、まだだよ、姉さんはまだ頑張れるよ!」
俺は姉さんの手をぎゅっと強く握り締めた。
「ギュ〜!」
いつもふざけた顔をしているマルも、今は悲しげだ。
「・・・・・・・・・ギュッ!」
やがて、一声鳴くとふわふわとどこかへ行ってしまった。
「・・・空也」
「なに、姉さん?」
「マルを・・・止めよ・・・」
「マルを?止めるって、何を?」
そのときだった。
ゴロゴロゴロ・・・ガラガラガラ・・・ピシャーン!
「わ!?か、雷!?」
「表だ・・・空也、早くマルを・・・止めるのだ」
「ど、どういうこと!?」
俺はいぶかしみながらも縁側に出て、空を見上げた。

柊家の屋根の上。中空に浮かぶ白い獣。
いつの間にか立ち込めた黒雲から眩い稲光が、大きな音とともにその獣に収斂するように落ちていた。
「グ・・ギュ・・・ギッ・・・!」
苦痛の声を上げながらも電光を集め続ける。
「マル!何やってんだ、やめろ!」
「ギュ〜〜〜〜ッ!!」
パァン!
光が、はじけた。
宙に漂っていた白い獣の姿は、もうない。
ただ・・・金色に輝く無数の光の粒が
霧のように漂って流れていく。
姉さんの部屋へ。
「たわけが・・・たわけものが・・・!」
光の粒は慈しむように姉さんの体を取り巻き
そして光が流れたそばから姉さんの体に生気が戻っていく。
それはまるで命の光。
マルは自らを命そのものに変えて
愛する人のために全てを捧げたのだ。
「そんな・・・そんなことをしてもらうために・・・一緒におったわけではないのだぞ・・・」

やがて染み込む様に
吸い込まれるように
光の欠片たちは消えてしまった。
「姉さん・・・」
小さな肩を震わせて、姉さんが泣いている。
初めて見る、姉さんの涙。
「マルの・・・大馬鹿者が〜っ!」

「・・・ギュ?」

「は?」「へ?」「ギュ?」
庭先に
すこし煤けて
疲れたような顔をして
へろへろと漂いながら
それでも必死にやってくる白い獣がいた。
「マルッ!?」
「ギュー」
そのまま姉さんの胸に飛び込む。
俺もまた、マルを抱きしめてやりたい気持ちで一杯だった。
・・・マルは嫌がるかな。そして思う。
「・・・こんな展開、姉しよじゃねえよ・・・」

(作者・名無しさん[2004/05/12])

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