「あ〜、お腹空いたわ〜・・・巴姉さん、焼きそば作ってよ」
「う、うん」
「また焼きそばかよ。よく飽きないね、姉貴。なんでそんなに焼きそばが好きなの?」
「うるさいイカ。いいじゃない、好きなんだから。理由なんてあるわけないでしょ」
「あは、高嶺が焼きそば好きなのは、ちゃんと理由があると思うよ」
「?」
「覚えてないかな。昔、みんなでお祭りの縁日に行ったときだ・・・」

「姉貴〜、なんだかみんなとはぐれちゃったよ・・・」
「しょうがないわね・・・ちゃんとアタシの手握ってなさいよ」
「お腹空いたね・・・」
「うるさい。アタシだってお腹空いてるんだから我慢しなさい」
「何か食べようよ〜」
「だってもうお金あんまりないし・・・アンタ、今いくら残ってる?」
「えっと・・・120円」
「・・・使えないイカねー」
「姉貴はいくらあるの?」
「・・・とりあえず、二人あわせて200円あるわけね」
「・・・ぼくより少ないじゃない」
「うるさいわね!・・・あ、あそこの焼きそばがちょうど200円だわ」
「じゃあ半分こで・・・」
「アタシがお姉さんなんだから、アタシのほうが沢山食べるの!」
「ぼくのほうがお金多く出してるのに・・・」


「・・・おいしいね」
「ちょっと、アンタ食べ過ぎ!一口ずつって言ったじゃない!」
「あ、ごめん。はい、姉貴」
「あ〜、もう、口の周りソースだらけじゃない・・・」
「姉貴だってそうだよ」
「・・・海だったら・・・」
「え、なに?」
「な、なんでもないわよ・・・ちょっと、目つぶりなさい」
「なんで?」
「ソ・・・ソース拭いてあげるだけよ」
「?はい、つぶったよ」
ぺろ
「・・・姉貴?」
「や、やだ・・・目つぶってなさいって言ったでしょ!」
「ご、ごめん・・・」
「もう・・・いいわよ」
「あ、あのさ・・・」
「なによ」
「今度は・・・ぼくが姉貴のソース拭いてあげるよ」
「え・・・じゃ・・・目、つぶるね・・・」
・・・・・・
「あ〜、二人ともこんなところにいたっ!」
「ひぃっ!?」「うわぁっ!?」


「・・・私たちが二人をみつけたときは、とても仲良さそうに一皿の焼きそばを分け合って食べてたんだ」
「そ、そんなことあったっけ?」
「うん。それから、何かというと高嶺は焼きそばをねだるように・・・」
「もう、いいから巴姉さんは早く焼きそば作ってきてよ!」
「あは、はいはい。すぐできるから、ちょっと待ってて」
「でも・・・そういえば、そんなことあったね。姉貴は覚えてないの?」
「覚えてないわけ、ないでしょ・・・」
「そ、そうだよね・・・姉貴、記憶力いいもんね」
「な、なに嬉しそうにしてんのよっ!」
「いや、覚えててくれたんだなぁ、って」
「ア・・・アタシが焼きそばを好きなのは別にあのことが原因じゃないんだからねっ!」
「はいはい・・・あのさ」
「なによ」
「また、ソースがついたら、拭いてあげるからね」
「・・・バカ」

おしまい

(作者・名無しさん[2004/05/02])

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