ここは昔どこかにあった小さな国。その国には一人の姫とそれを守る戦士がいました。
「暇ねー。なんか楽しいことない?またあんたの不恰好な踊りとか見たいわ」
「あう・・・そ、それは・・・」
この生意気な姫、ツインテールを護衛するのが戦士トモエでした。
トモエはツイン姫にからかわれ、こき使われる毎日に少々くたびれていました。
ちなみに本当はカワイイ魔法使いになりたかったようですが、いろんな意味で向いておらず気付けば戦士になってました。
「ほらほら、はやく踊りなさいよ。さもないと・・・ん?なにかしら、あれ」

空を見ると何者かがものすごい速さで近づいてきました。
そしてあっという間にツイン姫をさらってしまったのです。
「キャ、は、離しなさいよ!」
「うるさいにゃ!フフ、姫を返してほしくばこの国のありったけの食料を用意しろ。炭水化物ー、にくー!」
獣の王セロリです。そしてその後ろには・・・
「お金もねー♪私もいろいろやりたいことあるからー。
あ、それから下手に逆らわないほうがいいよー、この子どうなっても知らないよー」
魔法使いにしてセロリの補佐であるウミャーです。どうやらこの企ては彼女が考えたもののようです。

「ひ、姫を返せー。か、返してよぅ・・・」
「ダメだよー、じゃあ一週間後また来るからその時までに用意しておくんだよー」
「にゃ?今すぐもらえないの?」
「こういう時は一度撤退するのが正しい悪役だよー。今滅ぼしたら話終っちゃうし」
「なるほど、では西の山の砦に戻るかにゃ」
「居場所を言い残すのもお約束だねー」
「た、助けてー!」
結局トモエが成す術もなく2人はツイン姫をさらってしまいました。
トモエはすぐにでも姫を助け出そうと考えましたが普通に行っても返り討ちにあうだけです。
そんな途方にくれているトモエにどこからか声がしました。
「案ずるでない、トモエよ。我が力を貸してやろう。」
いつの間にか、トモエの後ろにはかわいらしい少女が立っていました。
「・・・ざ、座敷わらし?」
「妖精だ!」


現れた態度が尊大な妖精、ひなのんの話を聞くとあの2人組を中心とする魔物の集団は
妖精の里にも度々ちょっかいを出す困り者であり、この機会に協力して追い出そうと考えたようです。
「でもどうすれば・・・」
「我に考えがある。北の森にある城に住む氷の魔女がもつ魔法の剣でやつらを退治しよう」
「魔法の剣・・・」
「我は非力であるため剣は使えぬ。であるからお前が・・・聞いておるのか?」
「魔法の剣・・・」
どうやら「魔法」という言葉が気に入ったらしくトモエは何度も呟いていました。

そんなこんなでトモエとひなのんはお城を内緒で抜け出しました。
はやくツイン姫を連れ戻さないとたいへんな騒ぎになってしまいます。
北の森に到着した2人、しかしこの森は迷いの森ともいわれている恐ろしい森なのです。
どうしたものかと考えているとそこに一人の騎士が現れました。
「君たちここから先の森は危ないよ。特に君みたいな小さな子は・・・」
「我はお前よりも年上だ!そういうお前はどうなのだ!」
「俺はここにいる氷の魔女カナの心を溶かすと誓った騎士クーヤ。
当然この森については把握済みだ。」
「なるほどな。何度もカナの心に入り込もうとして失敗し続けているというわけか・・・不憫よなぁ」
「うう、でも今回こそは・・・姉様の心は俺が・・・!」
「ね、ねぇ・・・じゃあ城まで案内してくれないかな。い、一緒に行こう」
「え?でもやっぱり君たちみたいな女の子には危険だよ。フッ」
「そんな中途半端な優しさでは今回も弄ばれるのがオチであるぞ、よし案内せい!」
「あ、ま、待って・・・妖精ってあんな態度大きかったっけ?」


カナに惚れこんでしまった騎士クーヤの案内で一行はアッサリ森を抜け、
どうにかカナの居場所までたどり着きました。カナは寝起きのようでした。
「あら・・・見ない顔がいるわね、貴方たち何しに来たのかしら・・・?」
「そ、それより・・・!今日こそは俺が姉様の・・・」
「黙れよ」
「・・・はい」
「我らは西の魔物を退治しようと思う者。
そのためにそなたのもつ魔法の剣を貸してもらおうとやって来た!」
「か、貸してください・・・お願いします」
「なるほど・・・いいわよ」
「い、いいんですか、あ、ありがとうございます!」
「ただし、条件があるわ・・・ふふ、そこのかわいらしい妖精さんをいただこうかしら」
「「えぇ!?」」

「わ、我をいただくとは・・・どういうことだ?」
「ふふ、私は綺麗なものには目がないの。貴方は私のコレクションに加えたいわ。もちろん待遇は保証するし」
意外なカナの提案に戸惑う一行。悲惨なのはクーヤでした。
「ね、姉様・・・そんな子より俺と・・・」
「貴方も見た目は合格あげてもいいけど、まだ男として頼りないわ。」
「そ、そんな・・・」
「・・・そうね、貴方も魔物退治手伝ってみたら?そうすれば貴方への見方が変わるかも・・・」
「ほ、本当ですか?よし、じゃあ行こうかトモエさん!」
「ま、待つのだ!我の美貌がいくら罪深いとはいえ・・・我も魔物退治に行くぞ!」
「で、でもひなのんに魔物退治は危ないよ・・・」
「愚か者!この女に囲われる方がよほど危険であろう!」


結局、魔物退治が終わり剣を返すときに今後の話をするということでカナには納得してもらいました。
クーヤはカナに認めてもらおうと張り切って城を出て行き、ひなのんは二度とここには来ないことを心に誓いました。
カナは自分の部下であるドルフィンとマシューをお供につけてくれました。
「頑張りましょう!・・・ああ、アイテム一式お城に忘れてしまいましたぁ・・」
「私に武器などありません、あるのはカナ様のくれたこのクチナシの花・・・」
・・・トモエは姫を助けられるのは自分だけだと思いました。

西の砦に着きました。手下の敵はドルフィンとマシューに任せ、トモエたちは上の部屋を目指しました。
「腹減ったー。ねえ、このお姫様食っちゃっていいかにゃー?」
「んー、それはかまわない気もするねぇー」
「な、何いってんのよ!放せ!この卑怯なウジムシども!」
「ひ、姫を返せー」
「!!ト、トモエ、た、助けて!!」
「あら、来ちゃった。じゃあこいつらまとめて・・・あれ?ウミャー、どうしたの?」
「・・・か、かわいいー!」
「へ?・・・うわー!!」
ウミャーはクーヤに一目惚れしてしまったようです。
ものすごい速さでクーヤを拉致すると、一目散に自分の研究所へ駆け込んでしまいました。

「ありゃりゃ、私一人になっちゃったよー、まあいいか」
「姫を放せ!く、くらえー」
姫を抱えるセロリにトモエは魔法の剣は振りかざしました。
光がセロリめがけて駆け抜けます・・・あれ?それじゃあツイン姫も巻き込まれるじゃん。
「バ、バカー!!」「ウワワー!!」
大きな音とともにセロリの部屋に大きな穴が開きました。セロリは間一髪で攻撃をよけていました。
「ふぃー・・・怪我はないかにゃ?」
「ないわ・・・ありがとう・・・って何でトモエに攻撃されて、敵に助けられなきゃなんないのよ!」
「あうう・・・ご、ごめん・・・」
うろたえるトモエ、しかしその隙を突いてセロリは攻撃を仕掛けました。
「うわ!」
あわてて剣で受け止めるトモエ。しかし・・・


ガシャーンという大きな音とともに剣はコナゴナになってしまいました。
「ま、魔法の剣が・・・」
その破片がツイン姫に降りかかります。
「いた、いたた・・・」
「フッフッフッ、もうこれで怖いもんなーし!!かくごしろー」
「ど、どうしよう・・・うわ!」
「ちょ、ちょっと・・・や、止めなさいよ!は、放せー!!」
ツイン姫はジタバタし始めました。トモエがピンチだからでしょうか?
しかし、そうすることでなぜかツイン姫のツインテール(髪の毛)が輝きだすのでした。
「こ、これは・・・?」
「魔法の剣の破片が髪の毛に絡み付いておるのよ。・・・かなり強引な展開だが」
身の危険を感じ、セロリはツイン姫を放して逃げようとします。
ひなのんが追い討ちをかけるようトモエに指示しました。それはかなり危険な行為でした。
「姫・・・し、失礼いたします・・・!」
「ちょ、ちょっとなんなのよこれ!ギャー!!」
姫を足から抱えるとトモエは輝くツインテールをセロリに叩きつけました。
先ほどと同じ光が走り、セロリはバタンと倒れました。ツインも頭から煙を出して倒れました。
「おお、やった!よし、一件落着・・・で、あるな」
「な・・・わけ・・・ないでしょ・・・」


魔法の剣には邪気を払う力があるため、もうセロリが悪さをすることはないでしょう。
ウミャーもクーヤがいればしばらくおとなしいでしょうし・・・
「何はともあれ、良かったじゃないですか。トモエさん大手柄ですよ!」
「ふーむ、しかし元々のさらわれた責任があるからなぁ・・・どうなるのか」
「どっちにしろ、この一件でツインテール姫護衛の任は解かれるのではないでしょうか?」
「え・・・?」
「まあ、昇進か降格かは分からんがそうなるであろうな」
「そ・・・そんなことにはならないわ!トモエほどからかいがいのあるやついないもん!アタシがさせない!」
「ひ、姫・・・」
「ほう、好かれていることよ、トモエも仕えるかいがあるな」
「ア、アタシは別に・・・」
「ひ、姫・・・ありがとうごさいます・・・うう」
「な、泣くな・・・そういえばあんたらはどうするの?」
「我か・・・我は妖精の里に・・・」
「行かせませんよ?」
「私たちにはカナ様より魔物を退治ししだい、ひなのん様をお連れするよう言われております!」
「な!?は、離せ、我は行かぬぞ・・・!この狼藉者ぉ・・・」
こうして一行の旅はひとまず終わりを迎えたのでした。

(作者・名無しさん[2004/03/27])

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