Easy Come Easy Go! / 大塚りゅういち


 

「ユ、ユリカ・・・・けっ・・・・・結婚・・・・・結婚する・・・・・ぞ」

 

 ユリカとアキトが同棲を始めて3ヶ月

 ついにというか、やっとというかアキトがプロポーズをする

 喜ぶユリカ

 

 

 しかし、彼女たちには問題があった

 

 

 そう・・・・ミスマルコウイチロウの反対であった

 


Easy Come Easy Go!
text by 大塚りゅういち( ryuichi@gold.interq.or.jp )

edit by 成瀬尚登


 

「いっかーん!!! こんなラーメン屋の嫁になるなど、この父さんがぜーったいにゆるさん!!!!」

 

 頭から湯気を出すかの勢いでミスマルコウイチロウは怒鳴りつけた

 挙げ句の果ては、床の間から長刀を持ち出し振り回す始末

 コウイチロウの振り回した長刀はアキトの額をかすめ、あわや大惨事といったところであった

 

「お、おとうさまっ!!やめてぇー、アキト逃げてぇーーーーー」

 

 コウイチロウを後ろから押さえつけてユリカはアキトに逃げるように促した

 だが、アキトは逃げる様子もなく、その場にすわりじっと目を閉じた

 

「ユリカを俺に下さい」

 

 そういって土下座をする

 その姿を見たコウイチロウは

 

『この状況で座り込んで土下座をするとは・・・・・・』

 

 一歩間違えばコウイチロウの長刀の餌食になるところをその若者は目を閉じ座り土下座をした

 その若者の命を賭けた態度にコウイチロウは

 

「そんなに娘が欲しいというのなら、このわしに最高のラーメンを作ってみせい! もし、わしに一言でもうまいと言わせることができたならお前にユリカをくれてやろう!」

 

そういうと、構えていた長刀を納め後ろを向き奥の部屋へ行ってしまった

 


 

『最高のラーメン』

 

 それが2人の間に化せられた試練であった

 今までのラーメンではとうていコウイチロウの舌を満足させられるわけはない

 そう、コウイチロウはかなりのグルメで評判の男であった

 その微妙な舌はちょっとした評論家など足元にも及ばない

 軍人をやめて料理評論家になっても十分にやっていける

 

 敵は最強の男である

 生半可な物を出せばあの長刀の餌食にされてもおかしくはない

 命がけの勝負になることであろう

 

 だが、2人はやるしかなかった

 それ以外に2人が結ばれる道はないのだから・・・・・・・・

 

「駆け落ちしちゃえばいいんじゃないですか?2人とももう結婚に親の許可がいる歳ではないですし」

 

 ルリはあっさり言ってのける

 だが、2人にとって親に祝福されない結婚はしたくなかった

 アキトは両親を亡くし、ユリカも母親を亡くしている

 2人にとって親という存在は特別な物であった

 そう、祝福してもらわなければ、結婚はできない

 

「ルリちゃん、それはダメなんだ・・・・・」

「そう、お父様にも祝福してもらわないと・・・・・」

 

 2人の真剣な顔にルリもそれ以上はいわなかった

 

「そうですか・・・・でも、難しいんじゃないですか? 第一、ユリカさんを手渡したくないミスマル提督が旨いって言うわけ無いじゃないですか?」

 

 ルリの意見ももっともである

 ミスマルコウイチロウはそもそもユリカを渡すつもりなど無いのではないだろうか

 娘を嫁にやるのがイヤであんな事を言ったのではないか

 そう、旨いと言わなければいいのだから・・・・・・・・

 

「でもやるしかないんだ・・・・今の俺にはそれしかないから」

 

 いつになく真剣な顔をしてアキトは言った

 

「じゃ、私もお手伝いします」

 

 アキトの真剣な目に少し見とれていたルリ

 

「ダメなんだ・・・・これは俺一人でやらないと」

 

 ルリの肩に手をおいてアキトは言った

 そう、これは勝負なのだ

 ミスマルコウイチロウと自分の勝負

 ユリカと結婚するための試練なのだ

 自らの力で乗り越えなくてはならない

 

 

 それから数日後、

 アキトは修行のために山にこもった

 心配してユリカとルリもついていくと言ったのだが、アキトの意志は固く

 登山家のようなカッコをしてうちを出ていった

 

「アキトォ、頑張ってね♪」

 

 ユリカはいつもの笑顔でアキトを見送った

 コウイチロウとのラーメン勝負まで1ヶ月

 ギリギリまでアキトは山にこもるという

 自分のために闘う王子様というシチュエーションにユリカはちょっと酔っていた

 

『何で、ラーメン作るのに山にこもるのでしょう???』

 

 冷静に考えると変な話である

ルリは少し首を傾げてアキトを見送った

 

『なんといっても修行といえば山だよなぁ♪』

 

 当のアキトはといえば、何かのアニメのようなことを考えていた

 

 

 それから1ヶ月近くの間

 アキトは闘った

 最初はイノシシにはじまり、雪山を登りついにはヒグマとの格闘にも打ち勝った

 山にすむ不思議な老人の元に弟子入りして暗殺拳も会得した

 さらには指一本で大岩を砕く「爆砕点穴」なる秘技も身につけた

 

 何の修行をしてるのか・・・・・この人(^^;;;;

 

 そんなこんなで、ラーメンの「ら」の字も作った様子のない修行を終え(笑)

 

 ラーメン勝負の日が刻々と近づいてきた

 


 

 そして・・・・・ラーメン勝負当日

 

「アキト・・・・・まだなの?もうすぐ・・・約束の時間だというのに・・・・・・・」

 

 ユリカはアパートの前で、いまだ帰らぬ王子様の帰りをいまかいまかと待ちわびていた

 気分はもう、ヒロインである

 

『私のために・・・アキト、早く帰ってきて♪』

 

 

「何やってるんでしょう・・・・・・アキトさん」

 

 小声でつぶやいているルリ

 数メートル先の電柱の影で隠れているアキトの姿を発見してもう20分が経過していた

 むろんユリカは気づいていない

 

 

『やっぱり、少し遅れてギリギリに登場するのがヒーローのお約束だよなぁ♪』

 

 と、こんな事を考えているアキト

 ところで、今日の勝負、大丈夫なんだろうね?

 ボロボロの服に傷だらけのその姿は、修行の過酷さを物語っていた

 だから!何の修行をしていたんだってーの、(笑)

 ラーメンの勝負だって事忘れてないか・・・アキト君?

 

「そろそろ・・・かな?」

 

 時計を見ると、約束の時間を少しまわったところであった

 ゆっくりと電柱の影から姿を現し、2人の元へと向かう

 

「あ、!!アキト、ルリちゃん、アキトが帰ってきたよ♪」

 

 はしゃぐユリカ

 醒めた目で遠くのアキトを眺めているルリ

 

「そうですね・・・・フゥ」

 

 ため息混じりのルリ

 

「アキトォーーーー」

 

 駆け出すアキト

 

「ユリカァーーーーーー」

 

 同じく駆け出すユリカ

 ひしっと抱き合う2人

 

『何やってんだか・・・・』

 

 すっかり傷ついた王子様とヒロインのお姫様を演じるユリカとアキトに少し(?)あきれ気味のルリ

 

「ユリカ・・・・・ルリちゃんただいま、今戻ったよ」

 

 アキトはユリカとルリの肩を抱き何年も帰っていなかった人のように涙を流した

 

「あの・・・それより、勝負の方は良いんですか?」

 冷静に指摘するルリ

 我に返る2人

 

「そうだ、急がなきゃ♪アキト」

「ああ」

 

『ところで・・・・・アキトさん、何の修行してたんですか?』

 

 アキトの姿を見て、おそらく普通の人間だったら当然思う疑問をルリはそっと心の中にしまった

 


 

 ボロボロの服を脱ぎ捨て、ラーメン屋の衣装に着替える

 ユリカも白い割烹着を着てやる気満々

 ルリは・・・ユリカに買ってもらったかわいいクマのエプロンをしている

 

「ひとつ質問していいですか?」

 

 唐突にルリがいう

 

「え? 何、ルリちゃん」

 

 振り返るアキト

 

「勝負の時間ってもうとっくに過ぎてますよね?」

 

「あああっ!!!!! 家に帰ってくる時間と勝負の時間を間違えたぁ!!!!!!!!」

 

 そう、カッコつけてどこかのヒーローの真似をして少し遅れて参上したアキト

 彼の頭の中には自分のアパートからミスマル提督の屋敷までの距離は頭に入っていなかった

 当然大遅刻

 時間に厳しいミスマルコウイチロウのことである

 アキトの頭の中に「敗北」の2文字が浮かんできた

 準備もそこそこにアパートを飛び出す3人

 結局、3人が到着したのは約束の時間より4時間19分30秒を過ぎた頃であった

 

「逃げ出したのではなかったのか?」

 

 屋敷に到着した3人を待っていたコウイチロウの言葉はかなりきつめであった

 表情からも、かなり腹を立てていることがわかる

 

『ヒーローは遅れてくる物です!』

 

 などと、言ったら・・・・・・殺されるな・・・とアキトは思った

 

「スミマセン」

 

 とりあえず、深々と頭を下げる

 

「まあ良い、はじめるが良い」

 

 黙って縁側に腰を下ろし目を閉じるコウイチロウ

 

 手早く、作業を開始するアキト

 しかし・・・・

 

『あ!!、そういえば・・・・・・ラーメンの修行何一つやってない(^^;;;;』

 

 やっとの事で自分のしてきた1ヶ月の無意味さを感じたアキト

 イノシシを倒そうと、雪山を登ろうとヒグマを倒したって、ラーメンの味とは何も関係ない

 ましてや、暗殺拳など・・・・・。

  アキトの頭の中には今までの1ヶ月の無意味な修行のことが走馬燈のように浮かんできた

 

『お、俺は1ヶ月も何をしていたんだぁ!!!!!!』

 

 過ぎてしまった日々はもう戻らない

 今はやることをやらなくてはならない

 そう、目の前のコウイチロウに旨いと言わせなければならないのだ

 

『とりあえず、やれるだけのことはしよう』

 

 アキトは普段通りの手順でいつもよりか少しだけ丁寧に仕事を進める

 刻々と時間は過ぎていく、次第に襲いくる不安、動揺

 この勝負に負けたら、次はない

 そう考えると手がふるえてくる

 

 

 ガチャーン

 

 

 ふるえた手が、調理台の上にあったどんぶりを床にたたき落とす

 アキトの緊張は最高に達していた

 割れたどんぶりを拾おうとしたとき、アキトの目にユリカがうつる

 

「こっちはいいから、アキトはラーメンを」

 

 一瞬顔を上げ、にっこり笑うユリカの顔を見てアキトは決意を固める

 

 

『負けるわけには行かないんだ』

 

 

 再び作業を開始するアキト

 目を閉じ、大きく深呼吸をしてカッと開く瞳

 その瞳は縁側にあぐらをかき、目を閉じているコウイチロウを見据える

 先ほどまで動揺していたことが嘘のように落ち着いて仕事を開始する

 額に光る一筋の汗をユリカが拭うと

 一工程一工程、じっくりと丁寧にこなすアキト

 その様子をルリはじっと見ている

 

 

「できた」

 

 

 細目の麺とあっさりしたスープ、いつものアキトのラーメン

 ナデシコをおりてから今まで作り続けてきたテンカワアキトの味

 屋台の常連さんの意見を少しづつ取り入れて作られてきたラーメン

 ユリカ・ルリと共に日夜努力して作り上げてきたラーメン

 小さなどんぶりの中に今までのアキトの全てが詰まっている

 もはやアキトに迷いはなかった

 

 

「お待ちどうさまでした」

 

 コウイチロウの前までゆっくりと進みラーメンを差し出す

 そして、少し下向き加減で目を閉じコウイチロウの言葉を待つ

 

「では、いただくとしよう」

 

 差し出されたラーメンのどんぶりをゆっくりと持ち上げスープを一口飲む

 ぴくっと眉を動かすがそのまま割り箸を割り

 麺をすくい上げ一気にすする

 

『ほう・・・なかなかの物だ』

 

 ふと横目に娘ユリカの姿を見る

 心配げにじっと目の前の若者に視線を注いでいる

 その姿は若き日の妻の姿を思わせる

 

『ユリカ・・・・大きくなったな・・・・・・・・・・・』

 

 ラーメンをすすりながらコウイチロウは静かに目を閉じ娘との思い出を思い返していた

 妻の懐妊そして出産

 軍の仕事を放り投げ病院で落ち着かずに待ったあの日

 はじめて目にする我が子の姿

 そして辛い別れ、悲しみ

 

 残された自分にとって妻の分身であるこの娘の幸せこそが生き甲斐であった

 はじめて話した言葉、はじめて立って歩いたあの日

 はじめてもらった父の日のプレゼント

 コウイチロウの胸にユリカ誕生からの様々な思い出が押し寄せてくる

 幼かった娘もいつの間にか亡き妻と変わらぬ歳になっていた

 今、娘は自分の元を離れようとしている

 そして・・・・目の前にいるこの男の元へ・・・・・・・・・・・・・

 

『あなた、いい加減娘離れをしたらどうですか?』

 

 ふと、胸の中に亡き妻の姿が映る

 

『・・・・・ユリカの結婚を許せと言うのか?』

『あの娘の将来はあの娘の物です、私たちの役目は終わったんですよ』

『しかし・・・・わしには・・・・・・・。』

 

 コウイチロウの心は娘の幸せと目の前の男への嫉妬心の狭間で揺れ動いていた

 今、自分が結婚を許さなかったとき、娘はどんな顔をするのであろうか?

 辛そうな顔をした娘ユリカの表情が浮かぶ

 娘に辛い思いをさせていいのか?

 そんな娘の顔を見たかったのか?

 コウイチロウは迷い苦しみ、そして・・・ひとつの答えにたどり着く

 妻のイメージは優しげな微笑みをたたえ、うなずく

 

『・・・・・・・・・・そうだな』

 

 心の中でコウイチロウは亡き妻の名前をつぶやいた

 

 最後のスープを一気にすすったコウイチロウはゆっくりと目を開きその口を開いた

 

 

「旨かったぞ・・・・・・・・・」

 

 

 信じられないといった顔をしているアキト

 走り寄ってアキトに飛びつくユリカ

 そんな光景をそっと見つめるルリ

 

『チチ・・・・・か』

 

 

 こうして2人の結婚が決まった

 


 

 翌日から2人は結婚の日取りを決めはじめた

 夢物語から現実へ

 予算的にはとても厳しかった

 アキトの屋台の稼ぎ、ユリカの軍の給料

 人並みの結婚式を挙げるにはまるで足りない

 

 

 「しかし・・・・アキトさん、何でこんなにお金無いんですか?屋台毎日大盛況じゃないですか」

 

 予算の計算をしているルリ

 さすがにとてつもないIQの天才児である

 まるでコンピュータのように瞬時に予算をはじき出す

 

 「そうそう、私のお給料も合わせて・・・・・・・ほら、本当はこのぐらいあっていいはずなのに・・・・・・・」

 

 ユリカは自分の通帳を片手にアキトに問いただす

 

 アキトの額から流れ落ちる一筋の汗

 

「ははは・・・じ・・・実は(^^;;;」

 

  引きつった顔をしながら、タンスの一番上の引き出しからなにやら取り出した

 

「ゲキガンガーのトレーディングカードですね・・・・・・・これ」

 

 そのものをみてルリがぼそっとつぶやく

 

「むっかぁーアキト、また私に隠れてまたそんな物を!プンプン!」

 

 プンプン!状態のユリカ

 

「ちょっと待て・・・・・お前の給料がこれで、屋台の稼ぎからトレカの値段を引いたら、このくらいあるはずじゃ・・・・・・・・」

 

 アキトは金額のトリックに気がついた

 確かに相当額の金額をアキトはトレカにつぎ込んだのは確かなのだが、それだけにしてはあまりに金額が違いすぎる

 

『ぎくっ!!!』

 

 次に冷や汗をながすのはユリカの番であった

  少しづつ後ろに向かって後ずさりして押入の前に立ちふさがる

 

「な、何でもないよ・・・ユ、ユリカは・・・・・・・・・・・知らないもん、ジャンヌのグッツなんて買って無いもん」

 

 あらら・・・・・・・自分でばらしたような物ですね・・・・(^^;;;

 つかつかと押入の前に歩み寄り、抵抗するユリカを軽く交わしてアキトが押入を開くと

 出てくるは出てくるは・・・・・

 変身ロザリオにはじまり、特注サイズのジャンヌ変身セット、ジャンヌシューズ・・・・etc

 おまけに同人誌もごっそりと、雪崩のように崩れてくる

 

『似たもの夫婦ですね・・・・・・2人』

 

 あきれかえった様子のルリ

 

「何だよ・・・・これは!」

 

 アキト君形勢逆転である

 先ほどのトレカのことはすっかり棚に上げてる様子(笑)

 

「だって・・・・・・・女の子は誰でもジャンヌになれるんだもん・・・・TVで言ってたんだから・・・」

 

 苦し紛れの言い訳をするユリカ

 確かにこのアニメ、キャラクターグッツのCMが多いらしい

 

「だけど、アニメの設定じゃ、ジャンヌというのは神の名の下に選ばれたんじゃなかったですか?」

 

 ルリがCMの矛盾を指摘してみる

 ルリもたまにユリカと一緒に見ているのである

 

「そうだよね・・・・だまされた!」

 

 再び、自分のこと棚に上げてプンプンモード(笑)

 

「でも、ユリカさんはとっくに【女の子】って言いませんけどね」

 

 ルリがぼそっとつぶやく

 

「えーん、ルリちゃんがいじめるぅ・・・・アキトォ(T_T)」

 

 泣き真似をしてアキトに抱きついてみるユリカ

 しかし、アキトにかわされる

 

「ちぇっ、仕方ない・・・・・・・・・ジャンヌダルクよ、力を貸して【強気に本気、無敵に素敵、元気に勇気!】」

 

 ユリカはジャンヌグッツのうちのひとつ、変身ロザリオを手に取りぶつぶつとつぶやきはじめた

 そして、特注のジャンヌ変身セットに着替える

 

 待つこと10分少々(笑)

 

「神の名の下に闇夜に生まれし悪しき物をここに封印せん!ここにチェックメイトォ!」

 

 決めのポーズをするユリカ

 

「おまえなぁ・・・・・・」

 

 あきれて物も言えないって様子のアキト

 もう、怒る気もしないみたい

 

「ユリカさん、物まね最高です・・・・・本物みたいです」

 

 反面ルリは、ユリカの物まねがあまりにTVとそっくりなのに驚いていた

 ちょっと尊敬のまなざし・・

 

 「へへっ♪ 今度ヒカルちゃんとコスミケに行くんだぁ♪ ルリちゃんもやらない?コ・ス・プ・レ♪」

 

 得意げなユリカ

 

「私は・・・・・フィンの役ですか?」

 

 ちょっと残念そうなルリ

 実はルリもジャンヌがやりたかったのだ

 時々、ユリカの留守にジャンヌグッツで遊んでいたりする

 

「うーんと、ルリちゃんもジャンヌやる?」

 

  残念そうな顔をしたルリを見て、ルリもジャンヌやろうというユリカ

  ごそごそとグッツの山をあさり、小さめのジャンヌ変身セットを取り出す

 

「実は・・・ルリちゃんの分も買ってあったりして♪」

 

 ちょっと照れ隠しに頭をかくユリカ

 アキトはもうどうにでもしてくれって感じである

 

『まさか・・・ユリカ、「アキト、シンドバットの役ね♪」なんて言わないだろうなぁ・・・・』

 

「ねえ・・・アキト♪<以下略>」

 


 

  こうして、なんだかんだと横道にそれながら結婚に当たっての予算会議は続き、

  やっとの事で会場はユリカの希望していた小さな教会に決まり、3人は披露宴の代わりとなるパーティーの企画を考えていた

 

「ねえねえ、アキト今日ホウメイさんから結婚式の料理はまかせとけ!って電話があったよ♪」

 

 結婚の噂は瞬く間に旧ナデシコクルーの間に広まっていた

 昨日はウリバタケ、今日はホウメイ

 続々と冷やかし、激励の電話が相次いで2人は超多忙を極めていた

 ウリバタケは結婚式の演出は俺に任せろ!といい

 なにやら極秘の変なメカを作っているらしい

 ホウメイは結婚式の料理を用意してくれるという

 今やトップアイドルグループとしてデビューしたホウメイガールズも披露宴を盛り上げてくれるという

 

 

 式の日は刻一刻と迫ってきていた

 

 

「どうしたのルリちゃん♪」

 

 夕食後、窓辺でつまらなそうな顔をしていたルリに向かってユリカが問いかける

 

「何でもないです」

 

 ルリはユリカと目を合わせようとしない

  アキトとユリカの結婚が決まってからというものルリの様子がなんだかおかしい

  時々ぼんやりとそとを眺めて何か考え事をしているときがある

 

「そう?」

 

 ふに落ちないといった様子のユリカ

 

 

『このままでいいのだろうか?』

 

 ルリの気持ちは揺れていた

 アキトへのわずかな恋心、ユリカへの想い

 幸せになって欲しいと思う気持ちとそれを拒む気持ち

 そしてルリの胸の中にはもう一つのある考えが浮かんでいた

 

「おやすみなさい、ユリカさん」

 


 

 数日後

 NERGALの研究所へ足を運ぶルリ

 ここへは時々来ていた

 ここにはあのナデシコに搭載されていたスーパーコンピュータ【オモイカネ】がいる

 オモイカネはルリの親友

 そういえば、この頃は随分ここへ来ていなかった

 アキト・ユリカとの生活があまりに楽しかったためである

  久々に来るこの施設は依然とあまり変わらぬ状態でそこにあった

 

「あ、ホシノルリじゃない?久しぶりね」

 

 入り口でエリナと会う

  以前よりも少しだけ優しげな顔つきになったそして、若干だが色気が増した気がする

 

「こんにちは、オモイカネ・・・元気にしていますか?」

「・・・・・オモイカネ」

 

  オモイカネという言葉を聞いたエリナは急にムスッとした表情になり

 

「ったくぅ・・・・オモイカネったら!」

 

 なんだかかなり怒ってるようだ

 一体、エリナとオモイカネに何が起きたのだろうか

 

「オモイカネ・・・どうしたんですか?」

 

 突然のエリナの様子に不安になるルリ

 まさか、オモイカネの身に何かあったとか?

  いや、無事なことは何となくわかるのであるが・・・・・・・。

  オモイカネはこの研究所を拠点として、全宇宙のNERGAL支社をつなぐいわばメインコンピュータをつとめているはずである

  オモイカネに何かあれば、マスコミ沙汰にならないわけがない

  それに、このエリナの怒りようからして、オモイカネと何かあったようである

 

「ったくぅ・・・・・あいつのせいなんだわ!」

 

 ルリの質問に答えずただ一人で怒り続けるエリナ

  時々出てくる「あいつ」という人物が気になるところなのであるが・・・・・・・。

 

「あの・・・・エリナさん?」

「あ、ごめんね・・・・あ、いけない!おくれちゃう・・・・・あ、そうそうオモイカネはいつもの部屋にいるから」

 

  プンプン怒っていたエリナだったが、ルリの呼びかけに気づき答えると書類ケースを抱え

  急ぎの仕事でもあるのであろう、じゃね♪と手を振ると足早に立ち去った

 

『何なんでしょう?』

 

 少しその場で考え事をしたルリだったが本来の目的を思いだし、オモイカネのいる部屋へ向かった

 

 

 長い廊下

 この研究所の広さを表すには十分である

  研究所の中央を突っ切る形で存在するその廊下をひたすら進むルリ

 結構少女の足には長い距離である

 研究所の所内では自転車で移動する人も多く見られる

 少女でなくても辛い距離・・・・・・ってことですね

 その一番奥の部屋にオモイカネはいる

  正確に言うと、一番奥の部屋の向こうにある大きなドーム状の空間に本体が設置されているのだが・・・・・

 

 プシュー

 

 指紋照合器に手を載せると、ドアが開く

  当然の事ながら、一般の研究所所員並びにNERGAL社員は立入禁止の部屋である

 ルリは特別な存在である

  それに、ここの管理をしているのはオモイカネ本人なのだから、ルリは無条件で入れるのである

  むろん許可されてる人間でも、オモイカネの機嫌次第では入室することができなくなるときがある

 

「こんにちは、元気だった?オモイカネ」

 

 部屋に入りつつ、いつものあいさつ

 

「あら?ひさしぶりね、ホシノルリ」

 

 入り口から見て左にオモイカネのコンソール

 ふと反対側から呼びかけられ視線をやると

 部屋にはイネスと小さな少年がいるようであった

 

「あっ、お久しぶりです・・・イネスさん」

 

 ふとイネスの横にちょこんと座っている、小さな男の子に目をやる

  オモイカネにアクセスをしている事から、ルリと同じIFS強化体質ということはわかる

 問題は、何故この少年がここに居るのかということである

  通常、NERGALでオモイカネが運用されるときにはIFSによるアクセスは必要ない

  IFSによるダイレクトな接続が必要とされるときは・・・・・・・・・・・・・。

 

 そう、戦艦に搭載され戦いに出るときだけである

 

  『NERGALはまた何か裏で考えてる・・・・・・・・・・・』

 

 ルリは直感した

 

「ほら、マキビ・ハリくん・・こちらホシノ・ルリさんよ」

 

 イネスは真っ赤な顔をしてうつむいている

 自分に会うのが恥ずかしい?

 モジモジしていた小さな「彼」は、すこしうつむき加減で挨拶する

 

「は、・・・はじめまして・・・・ハリです、みんなからはハーリーくんって呼ばれてます」

「私はホシノ・ルリ、どうぞよろしくねハーリー君」

 

 ルリがにっこり微笑むと、また少年は下を向いてモジモジしている

 

「・・・・・・・・・・・・そうね、アレ見たあとで女の子に会うのはずかしいわね、あなたの歳では・・・・・。」

 

 イネスは意味不明なことをいうとハーリーの方に優しく手をおいた

 この少年、一体どうしたのであろうか

 イネスのいった「アレを見たあとで」というのが気になる

 この部屋で一体何がおこなわれているというのであろうか

 

「一体、どうしたんですか?」

 

 ルリは素直に頭に浮かんだ疑問を口にする

  それが、久々の懐かしいアレの始まりとなることを忘れて・・・・・・・・・・。

 

☆☆☆

 

 3・2・1どっかーん☆ わーい♪

 

 なぜなにナデしこぉーーーーー!!!

 

 

「や・・・・やっぱり、やるんですね・・・・・これ」

 

 ちょっと引きつり気味のルリおねえさん

 ちょっときつくなったお姉さんの衣装に身を包んだルリ

 

『でもなんか懐かしい・・・・・・』

 

「ところで、うさぎさん・・・・いませんけど?」

 

 そう、今日はユリカがいない

 

「あ、今日はうさぎ君の代わりに・・・ほら、アライグマ君、いらっしゃい」

 

  イネスは柱の影でモジモジしているアライグマ君(ハーリー)を呼んだ

 

「はい・・。」

 

  恥ずかしそうにとぼとぼこちらへやってくるアライグマハーリー君♪

 彼も随分イヤそうだ

  何でボクがこんな事・・・・・って思ってることが表情から伺える

 

「ねえねえ、お姉さん・・・・・ってなに聞けばいいんですか?」

 

 ちょっとムスッとしてるハーリー

 一応芝居はしている

 

「そうね、ハリくんが聞くのもおかしいか?」

 

 一瞬考えたイネス

 

「そうね、普通に説明しましょう」

 

 こらこら、ここまでやっておいて・・・・・・・(^^;;;;;;

 

「ねえ、この部屋の中を良く見回してみてくれない?」

 

 イネスにいわれて、ルリははじめて部屋の全体を見回した

  薄暗いのでさっきまで気づかなかったのだが、この部屋には無数の箱が山積みになっていた

 小さい箱、大きい箱

  入ったとき以前より狭く感じたのはこの箱のせいだったようだ

 

「この箱・・・・・・・・何ですか?」

 

 ルリはその中のはこのひとつを手にとって眺める

 大きな少女の顔

 振るとカタカタ音がする

 どうやら中身が入っているようだ

  カパッとふたを開けると、中には一枚のDISKと数冊の説明書が現れた

 

 

  「恋愛シュミレーションゲーム【ToHeart 2200】<18禁>・・・・・・。」

 

 

 中身を元に戻し、箱の裏を見ると・・・・・・・・・・・。

 

「な、何ですか!これ!!!!!」

 

 裏面の絵を見て真っ赤になるルリ

 箱の裏には先ほどの少女を含めた数名の少女達の淫らな姿が描かれていた

 さらに、ルリは他の箱も確かめる

  ゲームソフト、ビデオディスク、フィギュア、トレーディングカード、設定資料集、アンソロジーコミック

  その他、これでもか!ってほどの数のグッツを目の当たりにするのであった

 

 呆然と立ちつくすルリ

 

「困ったモノね・・・・ほんとに」

 

 イネスがあきれ顔でつぶやいた

 

「つい数ヶ月前、ウリバタケさんがやってきてオモイカネにゲームソフトのコピー防止のプロテクトを解除させたみたいなんだけど

 その時偶然中身を見てしまって、オモイカネすっかりハマっちゃったみたいなの」

 

 困ったものねという顔をしてみせるイネス

 

「それで、この少年はそのオモイカネのやってるそのゲームの画面が頭に流れ込んできて、最近仕事にならないのよ」

 

 ほとほと困り果てたといった感じである

 

「ホシノルリとりあえず、なんとか言ってやってくれない?私たちではもうお手上げなのよ」

 

 無言でうなづくとオモイカネのコンソールパネルに手をおく

  とたんにルリの手の甲にあるコネクターが反応して光を放つ!

 ルリの中にオモイカネのイメージが流れてくる

  どうやら、まだ例のソフトのその場面の真っ最中のようである

 先ほどパッケージの表に出ていた少女の淫らな姿がうつる

 

<何やってるの!オモイカネ>

 

 少しムカッとしたルリ

 自分がアクセスしたことにも気づかずに夢中になってその淫らな場面に食い入っているオモイカネに無性に腹が立った

 

<ル、ルリ!!!、何故・・・・・ここに>

 

 驚き、急いで例のソフトを隠すオモイカネ

 

<・・・・・まったく、この状態はなに?、ほんとに・・・・・もう>

 

 怒るより、何となくあきれてくる

 

<だって・・・この頃、ルリが来てくれなくて・・・・・寂しかったんだよぉ>

 

 コンピュータでも泣き落としをするのであろうか

 オモイカネはそれ以上攻められなくなるセリフをルリにはいた

 

<ごめんね・・・・・・でも、それにしてもこのHなゲームは・・・・・・・・・・何?>

 

  自分が来ないこととHなゲーム、考えてみるとおかしな物である

 オモイカネは自分のことをそんな目で見ていたのであろうか

 ルリの目が不信に満ちてくる

 

<このゲームは決してHなことをするだけが目的じゃないんだよぉ、AIシステムを最大限に利用して、自分で考えて自分で行動して・・・・・それで、うまく行くとそんな関係になれる・・・・・・・・(///_///) ポッ、ある意味、現実の恋愛を体験できるゲームなんだよぉ>

 

 必死に弁解するオモイカネ

 

<だって、あなたならプログラムの解析しちゃえばすぐじゃない?>

 

 ルリはあきれながらも指摘する

 

<あ、それは大丈夫、ウリバタケさんにプロテクトを作ってもらったから♪>

 

 なんかとてもうれしそうなオモイカネ

 

<本当に・・・・・・もう>

 

 ふぅとため息をもらすルリ

 

<あかりちゃーん♪>

 

 もう完全にはまってますね・・・・・・・(^^;;;;;

 

 ルリはちょっと面白くなかった

 オモイカネが自分の他の女の子の名を呼ぶのが

 

  ちょっと不機嫌な顔をしているルリを見てオモイカネが急に真面目に言い始めた

<私は元々ルリが大好きでした、いえ、今でも好きです・・・・でも私はコンピュータ、ルリは人間・・・・・・・・・。決して結ばれることはないんです>

 <オモイカネ・・・・・・・・・・>

 

 突然のオモイカネの告白に驚くルリ

 コンピュータが人間に恋をする

 結ばれない想い、決してかなえられることのない願い

 

 そして・・・・・・オモイカネは少し寂しそうに続ける

 

<私はコンピュータ、あなたは人間・・・・ふれることのできるのはその手だけ・・・・・・・あなたが来てくれなくては会いに行くこともできないし、あなたが辛いときでもそばにいることもできない・・・・・>

「・・・・・・・・。」

 

 はじめて知ったオモイカネの想い

 胸の中に熱い物がこみ上げてくる

 ルリはじっと黙って聞く

 

<私の想いを最初にわかってくれた人は・・・ウリバタケさんでした、・・・・・私の辛い気持ちを紛らわせるために、このソフトを・・・・・・・、そして私は彼女と恋に落ちました・・・・・・・・・あかりちゃんはいい娘です>

 

 <そう・・・・・・・・・・>

 

 ルリにはわかりました

  オモイカネは決して結ばれることの無い自分への想いを断ち切るためにこのソフトを・・・

 決して結ばれることのない・・・・・

 

 そう、自分とアキトのように・・・・・・・・

 

 アキトにはユリカがいる

 アキトには、ユリカが・・・ユリカにはアキトが

 決して切ることのできない関係

 自分はユリカのようにはなれない

 そう、オモイカネにとっての私は私にとってのアキトなのだと

 

 オモイカネは自分で新しい恋を見つけた

 私にもそれができるのだろうか・・・・・・。

 

 <ありがとう、オモイカネ・・・・・・>

 

 そういうとルリはオモイカネとの接続を解除した

 

 

「どう?「彼」と話はついたかしら?」

 

 ルリのIFSの発光が収まると

 イネスが問いかけてきた

 

「私は馬に蹴られて死にたくありませんから・・・・」

 

 そうつぶやき、部屋を後にする

 

 

「あら?もう帰りなの、もうちょっとゆっくりしていけばいいのに」

 

 入り口付近で一仕事終えたエリナに再びあった

 

「ええ、話も終わりましたし・・・・」

 

 少しうつむき加減で返事をすると立ち去ろうとする

 

「まあちょっと待って、お茶でも飲んでいかない?」

 

  エリナはこの後の仕事まで時間があるらしく、目の前の喫茶店にルリを誘う

 

「はい・・どうせすることありませんし・・・・」

 

 ルリは別にどうでもいいといった感じで素直に従う

 


 

 小さな喫茶店

 その中の一番奥の席に座る2人

 窓から外の景色が見える

 

「何にする?私はミルクティーにするけど」

「じゃ、私はコーヒー」

「♪〜彼女はいつもミルクティー・・・なんてね、ここは駅のそばじゃないけどね」

 

 なにげに鼻歌を歌うエリナ、どうやらお気に入りの歌らしい

 

「何の歌ですか?」

「ああ、私の好きな歌なの、200年ぐらい前の曲なんだけどいまだに人気あって、いろんなアーティストがカバーしてるのよ」

 

 得意げに説明するエリナ

 ルリは「仕事ばかり」といった様子の彼女の意外な一面を見たような気がした

 どうやら随分機嫌がいいらしい

 

「なんかいいことあったんですか?」

 

 問いかけてみるルリ

 

「あ、わかる?・・・・でも、内緒よ♪」

 

  そういっているエリナの左手の薬指にきれいなリングが輝いていた

 

「そういえば、アキト君と艦長の結婚式もそろそろよねぇ、ほんとうらやましいなぁ」

 

  ここで、アキト君と艦長の結婚式「も」という言い回しから、エリナもプロポーズされたようだ

 先ほど急いでいたのは、仕事ではなかったのである

 そう、プロポーズの相手との待ち合わせに遅れるといっていたのだ

 

 「結婚式」といったとたんルリの表情が曇る

 それに気づいたエリナはあわてて話題を変える

 

「そ、そうだ!、オモイカネ・・・どうだった?」

「幸せそうでした・・・・・」

 

 そう一言告げる

 

「まったく・・・オモイカネったら、NERGALの経費でHゲームやら、フィギュアやら・・・・みんな私の名前で送りつけてくるのよぉ!」

 

 先ほどの幸せそうな顔から、思い出したように怒り出すエリナ

 

「ふふふ・・・・・・オモイカネらしいです」

 

 エリナの言い方がおかしかったのか、にっこりするルリ

 

「笑い事じゃないわよぉ、あんな・・・その・・・・Hなゲームを私の名前で・・・・・・・コレでも私、嫁入り前なんですからね!変な噂が流れたらどうしてくれるのよ!」

 

 ぷりぷり怒り続けるエリナ

 

「私に怒っても・・・・・・・・・・・・」

 

 口でそういいながら苦笑するルリ

 

「そうね・・・ごめんね、愚痴っちゃって」

 

 優しそうな顔をするエリナ

 

「オモイカネをよろしくお願いします」

 

 そういって頭を下げる

 

「そういえば、今日は何しに来たの?」

 

 エリナがルリに訪ねる

 

「その・・・・オモイカネに聞きたいことがあったのですが・・・あの調子だったから」

 

 ルリは少し残念そうな顔をする

 

「私で良ければ、聞いてあげるわよ」

 エリナは優しく微笑む

 

 

「エリナさん、父親ってどういうものですか?」

 


 

 結婚式当日

 

 いつもより早起きした3人

 緊張している2人いまいち会話が弾まない

  少しぎくしゃくした時間を過ごし、2人はルリより少し早めに家を出た

 

「じゃ、準備とかあるから先に行くね・・・そうそう、ルリちゃんはこの前買った水色のワンピース着てきてね♪」

 

 2人の出かけた部屋の中でぼぉーっとしているルリ

  横目でユリカの用意していった水色のワンピースを眺めている

 

「結婚式・・・・・・・・・か」

 

  自分の初恋は後数時間で終わりを告げ花嫁を夢見た少女は今、妹のまま置き去りにされようとしている

 ルリは水色のワンピースに手を伸ばしたが途中で手を止め

 

「違う・・・・」

 

 と一言つぶやき

 

 そして手に取ったのは・・・・・・・

 

 花嫁衣装のような、白いワンピース

 そのワンピースをじっと見つめる

 

 

『これが最後のわがままです、ユリカさんごめんなさい』

 

 

 ルリは白いワンピースに身を包むと会場へと向かった

 


 

 結婚式は最高の盛り上がりを見せていた

 ルリがついたのはちょうど2人が誓いの口づけを交わすところであった

 思わず目を背けるルリ

 ルリの初恋は今終わりを遂げた

 

 しずかに席に着く

 

「遅かったね、ルリルリ」

 

 隣の席でミナトが優しく微笑んだ

 

「遅いわよ、何してたのよぉ」

 

 その向こうでユキナが言う

 

「・・・・・・・・。」

「何よぉ、黙っちゃってぇ」

 

  何もしゃべらないルリに腹を立ててユキナがプーブー言っている

 

『おめでとうございます、アキトさん・ユリカさん』

 

  ルリは・・・・口づけを交わす2人をじっと見つめながら心の中でつぶやいた

 

『・・・・・・・・・やはり・・・・・しかないですね』

 


 

 やがて、式は終わり

 ホウメイの店でおこなわれた

 披露宴を兼ねたパーティーは最高に盛り上がった

 酔いつぶれる者、歌い続ける者、ひたすら食い続ける者

  パーティーの途中、ケーキ入刀の瞬間、ウエディングケーキが変形合体をするアクシデント(^^;;;

 

「どうだ、この俺様の作ったウエディングロボ18号をとくと見よ!!!」

 

 暴れるウエディングロボ(?)戦うアキト・ユリカ

 パワフルなケーキ入刀を終え、パーティーはさらに盛り上がった

 

 そんなこんなで、トラブルはいろいろあったが、

 参加した全員がそれぞれにパーティーを楽しんだ

 

 

 そして、明日は新婚旅行

 予算もない2人は自分たちのアパートで1夜を過ごし、旅行に出かける

 

 

 寝る前の3人

 川の字に並んで寝る3人の姿

 

「今日の結婚式、素敵だった・・・・・・ねっ、アキト♪」

 

 笑顔でユリカ

 

「そうだな・・」

 

 照れくさそうなアキト

 

「ユリカさん・・・・とても綺麗でした」

「やだなぁ・・・もう、ルリちゃん・・・・・・(///_///)ポッ」

 

 照れて赤くなるユリカ

 笑顔で今日の結婚式のことを振り返る2人

 

 明日からしばらくはルリ一人

 

 少し不安なルリ

 ナデシコをおりてから今日まで

 いつも2人がそばにいた

 

「ルリちゃん、明日からひとりぼっちだけど大丈夫?寂しかったら一緒に行く?」

 

 優しくルリの髪を撫でながらユリカがいう

 優しげな瞳

 ほんのりいい匂い

 この人に包まれているとなんか落ち着く

 ルリはユリカの胸に顔を埋め少し甘えてみる

 

「ふふっ、ルリちゃん♪」

 

 ユリカは優しくルリを包み込む

 

「一緒に行こうか?ルリちゃん」

 

 再度ユリカは問いかける

 

『そうだ、2人は結婚したんだ・・・・いつまでも2人の邪魔をしてはいけない』

 

「いいです、ほんの数日間じゃないですか、大丈夫です」

 

 ルリはユリカの顔をいとおしげに見るとそう言った

 だが、ルリは心の中である決心をしていた

 

「大丈夫かな・・・・ほんとにいいの?」

 

 心配そうにルリを見るユリカ

 

「大丈夫ですよ」

 

「そう?じゃあもう寝ようか」

 

 3人のアパートの電気が静かに消える

 

☆☆☆☆☆

 

☆☆☆

 

 

「あ゛っーーーーーーー!!!! もう、こんなじかーん!!!」

 

 翌朝・・・・・・というか、もう昼過ぎ(笑)

  昨日はパーティーで遅くまで盛り上がっていたためすっかり寝過ごしてしまった3人

 シャトルの時間まで後30分

 もう、まず間に合わない

 ここから空港までどんなにとばしても車で40分はかかる

 2人の新婚旅行は幻と消えた

 もちろん、キャンセルしてもう一度・・・・・といいたいところだが、予算はもう無い

 

「えーん、新婚旅行がぁ・・・・・・」

 

 大きな声を出して泣くユリカ

 

「しょうがないですね・・・・・・・私も寝過ごしてしまいましたから・・・・・・」

 

 すまなそうな顔をしているルリ

 そのルリの顔を見たユリカ

 

「しょーがない、過ぎたことは気にしないでチケットキャンセルしたお金で、みんなでDズニーランドにでも行こうか?」

 

 急に笑顔になるユリカ

 立ち直りの早いのが取り柄である

 

 突然のユリカの提案に驚くルリ

 でもうれしそうだ

 

「ユリカさあ・・・・Dズニーランドにカップルで行くと別れるって知ってる?」

 

 アキトはちまたでささやかれている噂を持ち出した

 どうやら、200年以上前からいわれている噂らしい

 信憑性というか、別に当人達の問題で別れるんだろうけど

 あんまり気持ちの良いものではない

 

  「あ、その噂知ってる・・・・・・じゃ、ゲキガンランド・・・・にする?」

 

 ユリカはDズニーランドをあきらめ

 この近くの他の遊園地であるゲキガンランドを提案する

 

「のった!! 俺、急いでキャンセルの払い戻ししてくる♪」

 

  ゲキガンランドと聞いたとたんアキトは急にはりきりはじめた

 

「もう・・・アキトったら、私そっちのけで遊んだら、離婚だからね」

 

 あまりに盛り上がるアキトにちょっと面白くないユリカ

 ぼぉっとその様子を眺めているルリ

 

 

『臨時ニュースを申し上げます、1時30分発の月面行きシャトルが何者かに爆破されました、繰り返します・・・』

 

 

 突然TVが2人の乗る予定だったシャトルの爆発事件を報じていた

 突然の空中爆発、生存者は絶望的とニュースでは言っていた

 

「ちょっとぉ、アキトォーーーー大変大変、私たちの乗る予定だったシャトルが爆発したんだって」

 

 TVのニュースを見たユリカは顔を青ざめる

 もし、このシャトルに乗っていたなら・・・・・・・・・・

 そんな恐ろしい光景が目に浮かぶ

 

「ほんと・・・・・・寝坊したおかげで命拾いしたなぁ・・」

 

 アキトも同じく青い顔をしてTVのニュースを食い入るように見ている

 

「ほんとですね、何が幸いするか・・・・わからないもんです」

 

 ルリは口ではこんな事を言っているのだが、内心すごくホッとしている

 アキトとユリカがこの世からいなくなってしまったら・・・・・・・

 そんな不吉な光景が頭をよぎる

 もし2人がいなくなってしまったら・・・・・

 押しつぶされそうな気持ち

 だんだんと涙が浮かんでくる

 

「どうしたの?ルリちゃん」

 

 涙を浮かべるルリを見て驚いているユリカ

 わぁーとユリカに泣きつくルリ

 優しくルリを抱きしめるユリカ

 

「さ、みんなでゲキガンランドにいこ♪、ねっ、ルリちゃん」

 

 ようやく泣きやんだルリをみてユリカがいう

 

「はい♪・・・・・・・・・・・・・泣いちゃいました」

 

 泣きはらした目をこすりながら、にっこり笑うルリ

 

「そうだな、行こうぜ!」

 


 

 こうして、2人の新婚旅行は中止になり、3人でゲキガンランドに行って1日中遊んだ

 途中、アキトが一人で盛り上がって置いてけぼりにされたユリカとルリがへそを曲げるといったトラブルもあったが

 3人の楽しい思い出がひとつ増えた

 

「楽しかったね、ルリちゃん♪」

 

 途中で見つけた怪盗ジャンヌのお面を頭に載せたユリカ

 アキトは、手に持ちきれないぐらいゲキガングッツを抱えている

 

「はい、楽しかったです♪」

 

 楽しそうににっこり笑うルリ

 

「アクアマリン・・・・テンクウケン・・・・・・・・・・ウミガンガー」

 

 アキトは先ほど買ったグッツを見ながらうれしそうにその名前をつぶやいている

 

「まったくぅ、アキトったらぁ」

「ほんとです・・・私たちが見えてませんよ」

 

 苦笑する2人

 

「でも、そこがアキトらしいんだよね」

「そうですね」

 

 楽しそうに笑いだす2人

 

 

 その夜

 

 

「突然ですが、私ピースランドに住む父の元へ帰ろうと思うんです」

 

 うちにつき、夕食をとった後

 突然にルリは話を切り出した

 

「え!?、ルリちゃん」

 

 驚く2人

 だが真剣な顔をしてルリは続ける

 

「私、これ以上ここに居るわけには行きません、お二人もいろいろとあるでしょうし・・・・」

 

 どきっとする発言をするルリ

 若い2人の邪魔をしないために、父であるピースランド国王の元へ帰るというのだ

 

「ルリちゃん・・・そんな・・邪魔だなんて・・・・・・・・・・。」

「そうだよ、ルリちゃん・・・・・邪魔だなんてこと無いんだ、ルリちゃんは俺達の大切な家族じゃないか」

 

 ルリの突然の発言に困惑する2人

 さっきまで楽しくやっていたが、もしかしたら何かルリを怒らせる結果になったのではないだろうか

 

「2人の元を離れるのは辛いです、でも私・・・・考えたんですユリカさんのお父様をみてから・・・・・・・・」

 

 ルリは語った

 ラーメン勝負の時のコウイチロウの姿を見たルリ

 その胸の中に、1度だけ見た実の父親の姿が浮かんだ

 親子のつながり

 血のつながり

 心のつながり・・・

 ふと、自分の父のことが浮かんでくる

 あの時自分は父の元に残ることを拒みナデシコに戻った

 父はどんなことを思っただろう

 自分にあったことをものすごく喜んだ父

 そんなことをいろいろ考えたルリはさんざん悩み

 あの日、研究所に行ったのだ

 そこで、エリナに父親について聞いたルリは

 エリナの父親の話を聞いた

 

「え?父親ねぇ・・・・・父親って結構馬鹿な生き物なのよ・・・・・変にすねてみたり、強がってみたり・・人一倍娘にかまってもらいたいくせにいじはってみたり・・・・・・・でも、いつも見ていてくれる・・・・」

 

 そう言ってフフッと笑うエリナ

 

「どうしたの?こんな事聞いて」

 

 じっと真面目に話を聞いているルリを見たエリナはルリに問いかける

 

「じつは・・・・・・・・・」

 

 ルリは自分の胸の内にしまっていたことを話し始めた

 自分は父親の元に返った方が良いのだろうか?

 アキトとユリカの元にいつまでも居ていいのだろうか

 エリナは目の前のルリの真剣に語る姿に何も言わず黙って聞き入っていた

 

「私はこのまま、アキトさんとユリカさんの元にいても良いんでしょうか?」

「そうねぇ、それはあなたが決める事ね・・・・・後悔しないように、しっかり考えて決めるのよ」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・・・・。

 ・・・・・・・・・。

 そして出た、結論

 

 

「別に、宇宙に出るわけではありません、同じ地球上ですよ会おうと思えばいつでも会えます」

 そうきっぱりと言い切ったルリの顔はとても爽やかだった

 


 

 ルリの旅立ちはそれから3日後の日曜日だった

 

 ルリが旅立ちを決めてから3日の間

 別れを惜しんだ旧ナデシコクルー達が毎晩のようにアキトのアパートを訪ねた

 毎日が宴会、毎日がパーティーのようだった

 

 3人で過ごす最後の夜

 いつもはアキト・ユリカ・ルリの順で寝ているのだが、今日はルリを挟んで本来の川の字に寝ている

 

「明日だね・・・ルリちゃん」

 

 寂しそうな顔をしてユリカが言う

 

「そんな顔しないで下さい、一生会えなくなるわけではないんですから・・・・・それに、ユリカさんは笑顔の方が素敵です」

 

 ルリは、そう言ってにっこり笑う

 その目にはうっすら涙が浮かんでいた

 

「そうだね、艦長は笑顔が大切だったね・・・・ルリちゃん、幸せになるんだよ」

 

 そう言ったユリカの目にもうっすらと涙が浮かぶ

 

「たまには遊びに来てくれよな、俺達も行くからさ」

 

 そう言って、アキトはルリの髪を優しく撫でる

 

 

『私はここでのことは一生忘れません、アキトさん・ユリカさん・・・・ありがとうございました』

 

 翌日昼過ぎのシャトルでルリは旅立った

 実の父親ピースランド国王のもとへ

 

 離れていくエアポート

 窓際の席に座ったルリは、じっと外の風景を見つめる

 見慣れた町がしだいに遠ざかっていく

 ルリは自分の2番目の故郷をあとにする

 そう・・・ルリの心の故郷

  やがてその景色が見えなくなると深くため息をつき機内放送のイヤホンを耳にかける

 イヤホンからは機内放送のクラシック音楽がかかっている

 そして静かに目を閉じる

  アキト・ユリカと共に過ごしたいろいろな思い出がよみがえってくる

 

『臨時ニュースです』

 

 突如、クラシック音楽が消え臨時ニュースが飛び込んできた

 

『地球連合宇宙軍の発表によりますと、火星の後継者と呼ばれるテロ組織がNERGAL重工の新型戦艦により鎮圧されました』

 

 臨時ニュースは、NERGALが新型戦艦を用いてテロ組織を鎮圧した様子を報じていた

 A級ジャンパーを各地で拉致していたその組織の目的はボソンジャンプを独占し、現在の政治体制を転覆させるという物であった

 首謀者はかつての木蓮のリーダー草壁春樹

 早々とその存在に気づいたNERGALは独自に調査して対応していたようだ

 

『そうか・・・・・あの子・・・・やったんだ』

 

 ルリの脳裏に研究所で出会った少年の顔が浮かんだ

 あの小さな少年は大きな仕事をやり遂げたのである

 オモイカネを搭載した新型戦艦、ナデシコBで・・・・・・

 

「ナデシコか・・・・・」

 

 ルリは窓の外をただぼぉーと眺めながらつぶやいた

 

 

「行っちゃったね・・・アキト」

 

 ルリの乗ったシャトルをじっと眺めているユリカ

 シャトルは雲を突き抜け、次第に小さくなっていく

 

「そうだな・・・また会えるさ」

 

 アキトはユリカの肩を抱き寄せる

 

「うん」

 

「アキト・・・・・・・・・・・」

 

 2人の影が重なり合った

 


 

<エピローグ>

 

 ルリが旅立って数日後

 2人のアパートは火が消えたように静まり返っていた

 心の中にぽっかり穴のあいてしまったような感じである

 ちょうど娘を嫁にやってしまった両親とは、こんな感じなのであろう

 

「ねえ、そろそろ屋台を出す時間だよ・・・・アキト」

 

 屋台の仕込みをしているアキト

 

「そうだな、ルリちゃ・・・・・・そうか・・・・・・・・」

 

 ルリの名を呼びかけてやめるアキト

 そしてため息をつく2人

 

「ルリちゃん・・・・今頃、お父様とうまくやってるのかなぁ・・・・・」

 

 ユリカはピースランドの方角の空を眺めてつぶやいた

 

「大丈夫だよ・・・うまくやってるさ」

 

 ユリカの肩に手を載せて

 にっこり笑うアキト

 ユリカもほほえみ返す

 

「ねえ、アキト・・・・・・赤ちゃん欲しいね♪」

「い、いきなりなに言うんだよぉ」

 

 真っ赤になるアキト

 

「だって・・・・ルリちゃん、行っちゃったし・・・・なんか寂しくなっちゃったじゃない」

 

アキトの腕にからみついて甘えるユリカ

 

「ねえねえ、作ろうよぉ・・アキトォ♪・・やっと2人きりになったんだし」

「あ、ああ・・・・・そうだな(///_///)ポッ」

 

 真っ赤になりたじたじ状態のアキト

 

「さあ、今日もはりきって屋台始めよ♪ アキト」

 

 寄り添って、屋台をひいていく2人

 

 

「アキトさん・ユリカさん!」

 

 背後から2人を呼ぶ声

 

「ん?」

「え?」

 

 振り返る2人

 

「ルリちゃん!」

「ルリちゃん!!」

 

 驚きの声をあげる2人

 そこには、大きなリュックを背負って、ルリが立っていた

 

「どうしたの?ルリちゃん・・・・・」

 

 ユリカはルリの姿を見て訪ねる

 

「ユリカさん、聞いて下さいよぉ〜〜〜〜」

 

 ルリはユリカに抱きついて話し始めた

 

「どうしたの?お父様と何かあったの・・・・もしかして、お父様とうまくいかなかったの?」

 

 ユリカはルリの頭を優しく撫でながら、言う

 

「朝起きると・・・・・・・・・・・・・・その・・・・・・」

 

 ルリは重苦しい雰囲気で話し始めた

 

「???」

「父が私の横にいるんです・・・・・それで、「おはよう、私の可愛いルリ♪」といって私の顔を舐めるんです・・・・私・・気持ち悪くて・・・おまけに、トイレまでついてくるし、片時も私のそばを離れようとしないんです」

「ははは(^^;;;;」

 

 引きつった顔をするユリカ

 自分にも身に覚えのないことではない

 小学生の頃までは良く、コウイチロウに同じ様なことをされていたから

 

 なおも泣きじゃくってルリが続ける

 

「それから、私の半径3メートル以内に男の人が入ると、警備の兵隊さんが発砲するんです」

 

 おいおい(^^;;;;

 

「この前も、近隣の諸国の王子様がお城に遊びに来たとき、私に挨拶代わりに手にキスをしただけで、その国と戦争始めようとしたんです!」

 

 こらこら(^^;;;

 

「私があの国にいると、多くの犠牲者が出てしまいます・・・・だから、家出してきちゃいました・・・・・・お願いです、ユリカさん・アキトさんここにおいて下さい」

 

 ははは・・・・( ̄▽ ̄;)

 それが良いかもね・・・

 しかし、すごい父親だ

 

「と、とにかく・・お帰り、ルリちゃん」

 

 とにもかくにも、2人は返ってきたルリを喜んで迎えた

 

 

 こうして、また3人の生活がはじまったりして(^^;;;

 

 

「それで・・・・ほんとに、うちの父ったら・・・・・・・・・・」

 

 夕食後、実家ピースランドでの話をするルリ

 次から次へとでてくるはでてくるは、ピースランド国王の武勇伝(笑)

 娘かわいさのあまりしでかす事件の数々

 ルリが滞在したほんの数日の間に出た多くの犠牲者

 どこがピース(平和)ランドなのやら

 ルリの話を聞きながら、久々に笑い声が響くアパート

 

 楽しそうな3人

 

『でも、ちょっと残念かなぁ・・・アキトと2人きりになれなくて』

 

 なんてユリカは思ったりしていた

 

 

 ガチャ

 いきなり開く玄関の扉!!

 

 

「アキトくぅーん、ユリカさぁーん(T_T)」

 

 泣きついてくるこの人は?

 

「ふえぇ〜〜ん、原稿が間に合わないよぉ・・・・かくまってぇ」

 

 そう、アマノ・ヒカルである

 

「ひ、ヒカルちゃん!?」

「ちょ、ちょっとぉ」

「はい、これアキト君の分」

「それでこれがユリカさんの分」

「あ、ルリちゃんも帰ってきてたのね、お帰りなさい♪はい、ルリちゃんの分」

「こ、これって???」

 

 ひきつる3人(^^;;;

 

「こういうとき、持つべき物はやっぱり同じ戦火の中をくぐり抜けてきた戦友よねぇ(^^)♪」

 

  ヒカルは3人の冷たい視線も物ともせず、てきぱきと準備を進める

 

 

 ガチャ

 

 

「おーい、テンカワ、少しかくまってくれぇ〜〜〜〜」

 

 今度は(^^;;;;

 

「う、ウリバタケさん!?」

「裏でHなビデオ売ってるのがかみさんにバレちまってよぉ、ほんのしばらくでいいんだ、たのむぜ!」

 

  いきなり、背負ってきたリュックの中から、怪しげな機械を組み立て始めるウリバタケ

 

「え、え・・・なにがおこってるのぉ???」

 

 唖然とするユリカ

 

 

 ガチャ

 

 

「こんばんは・・・・・・・狐が扉を叩いて、コン・バンは」

 

「い、イズミちゃん???」

 

 

 ガチャ

 

 

「はぁるか君!!、また変な発明品作ってぇ〜〜!!!」

「み、みゆき君、お、落ち着いてぇ・・・・話せばわかる、話せば」

 

 すらりとした美人と小太りの医者・・・・・・ってあんた達は誰?

 

 

 次々と訪れる来客

 小さなアパートはさながら、動物園

 次々に訪れる旧ナデシコクルー達

 なにやら、見知らぬ人までいるような・・・・・・・

 

 

「ふぇ〜ん、せっかくの新婚生活がぁ」

 

 ユリカたんの苦悩は続く(笑)

 

 

 (おしまい)

 


 

 <後書き>

 

  ども、私のつたない文章(おまけに長い)におつきあいいただきどうもありがとうございました

  このたびは「ユリカたん祭り」ということで、HPの更新も、掲示板のレスも放り出して(笑)

  全力投球で仕上げました ←そのわりにはチャットばっかりやっていたりする(笑) o(><)=○)‘ο’) げふっ!

 

  なにはともわれ、今回のイベントを企画された成瀬師匠、お疲れさまです

  すばらしい企画にお誘いいただいてまことにありがとうございます

  おまけにこの小説のレイアウト&HTML化もお願いしちゃいましてどうもすみません

  はたして自分の小説がどのような形で仕上げていただけるのか、楽しみにしております

 

  今回の話は・・・まあ、お祭りということでギャグ満載でいかせていただいて・・・・・・

 

 

 どっかーん☆

 

 

「ふう、やっと出られた・・・・・・・・私が主役のミスマルユリカでーす(^^)Vぶいっ」

「同じく、ホシノルリです・・・・あれ、この人死んでます?」

 

 し、失礼な・・・・・生きてますよぉ(T_T)

 私がせっかくユリカたん祭りのお祝いメッセージを書こうと思ってるのにぃ・・・・・・・

 

「まあまあ、とりあえず今回の主役はこの私ミスマルユリカなんですから♪」

「人気では私の方がありますけどね・・・・・・・・ボソッ」

「あー、ルリちゃん・・・・ひっどーい」

 

 まあまあ、2人とも(^^;;;;;

 

「あなたは黙っていて下さい、艦長命令です!」

「ユリカさん、とっくにナデシコの艦長ではありませんよ?」

「えーん、アキトォーーーールリちゃんがいじめるぅ」

 

 あの・・・・私の後書きが・・・・・・・

 

「おっとっと・・・・・こんばんは、テンカワアキトですって・・・・おい、ユリカお前はもうミスマルじゃないんじゃない?

 その・・・・俺と結婚して・・・(///_///)ポッ」

 

 お、そうだった結婚おめでとうユリカたん♪

 

「あ、そうだった・・・・・・では、やり直し・・・・『私が主役のテンカワユリカでーす(^^)Vぶいっ』」

 

 ところで・・・・・その、何しに来たの?

 私、後書き書いていて忙しいんだけど(^^:::

 

「あ、そーだ・・・・・って何しに来たんだっけ?ルリちゃん」

「とりあえず、このSSの作者がつまんない後書き書かないように、見張りに来たんですよね・・・ユリカさん」

 

  つまんない後書き・・・そこまで言わなくても・・・・ルリちゃん(T_T)

 

「だってそうじゃないんですか?」

「そうそう、あなたのつまらない後書きよりも、みんな呼んでパーッとさわいじゃいましょう♪お祭りだし(^^)Vぶいっ」

 

 ひ、ひどい・・・・・・・ぐすん(T_T)

 

「そういうわけで、ここで私たちの結婚式の3次会をパーッとやっちゃいましょう!(^^)♪」

 

「おう、3次会の会場はここか・・・・・っておれはウリバタケセイヤだ、パーティーの演出はまかせろ!!」

 

 ウリバタケさん?

 

「よいしょっと・・・いけませんなぁ皆さん、むやみに飲むのは体もこわしますし・・・・体を壊したとなると経済的な損失は・・・・・・ほれほれほいっとな、とこのぐらい・・・・いけませんなぁ、世の中不景気ですし、新しい仕事を見つけるのは・・・・・・・・・」

 

 プロスさん?

 

「ここだここだぁ、えっとぉ・・・・これ何次会だっけ?リョーコォ」

「そうだな・・・・この前の前の店が確か256次会ぐらいだった気がするんだけどよぉ???」

「3次会、さんじかい、惨自壊・・・・・・くくっあはははは」

 

 3人娘・・・・・

  って、あの結婚式の後からずっと飲んでいたのか・・・・こいつら・・・・・・・258次会って・・(^^;;;;

 すごいパワーだ(^^;;;;;;;

 だいたい、結婚式からかなり経ってるぞぉ、ラストまで

 

「だってさあ、出番終わっちゃたしぃ、暇だからつい・・・・・・」

「同じく」

「同じく、女だらけの塾・・・女塾・おんな塾・おんなじゅく・・・・・・・くっくく・・・・」

 

「ミナトさん、ここみたいですよ・・・次の会場、ってガラガラ・・扉を開けるユキナ」

「うぇー、どうぜ私は・・・・・・・・・・・・白鳥さーん・・・・ひっく」

 

 ユキナちゃんとミナトさん・・・って

 ユキナちゃん・・・・それト書きだよぉ・・・・ >ガラガラ・・・・扉を開けるユキナ

 

「ユリカおめでとぉ(T_T)」

 

 あ、ジュン君

 

「ちょっと待って下さい、私今回の話出てないですよぉ!」

 

 あ、メグちゃん(^^;;;;・・・・忘れてた

 

「ひどぉーい、・・・・・・・私嫌われてるんだ・・みんなに、ネット上のSS見渡しても私が出ている小説見たこと無いし(T_T)」

「ありますよ・・・・・ほら、私と競馬に行ったヤツ♪ メグミさん歳ごまかしていて補導されちゃうっていうのが・・・・・・」

「それも複雑だなぁ・・・・・でも、他には見たこと無いよぉーー<再び泣きモード>」

「たんに忘れられてるだけだと思いますよ・・・メグミさん」

「もっとひどいぃーーー!!!<痛恨の一撃!!>、ルリちゃん・・・私監督にも嫌われてるのかなぁ・・・・劇場版でも出番少なかったし・・・・・きっとそうなんだぁ・・・・えーん(T_T)」

「いいじゃないですか、メグミさん・・・監督にあまり好かれるとろくな事になりませんよ・・・私、監督に好かれたために裸にされて石像のように劇場で90分あまり大衆の面前にさらされた可哀相な女性を知っています」

「ルリちゃーん、それ・・・・・・私のこと?(T_T)」(注:ユリカたん)

「まあ、どちらにしてもこの話(SS)には何ら関係のない話なのでお構いなく」

「ルリちゃんだって・・・・お風呂覗かれたじゃない<反撃モードユリカたん(笑)>」

「う、・・・・・もうお嫁に行けません(T_T)」(注:ルリ)

「ほらほら、10月にはルリちゃんのお風呂シーンがみんなの手に渡るんだよぉ<やけくそのユリカたん>」

 

 あの・・・・・何の話してるんですか!

 <ピー>版ネタは今回はやばいんですってばぁ 

 今回のイベントはあくまで<ピー>版ネタ抜きって言うのが原則なんだから

 

「なんか、<ピー>版・・あれ?、なんか「ピー」って(^^;;」

「おかしいですね・・・げ<ピー>版・・・・・やはり、「ピー」が入りますね」

 

  上の方の指示で、<ピー>を入れさせてもらうことにしました

 

「チェッ、こうなったら<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、<ピー>版、劇場版・・・・やったぁー、ユリカの勝ち(^^)V」

(編者注:ぐはっ……高橋名人も昔になりにけり、か(謎))

 

「何の勝負をしているのやら・・・・・・・・」

 

 だから皆さん?(^^;;;

 

「だから、私の出番は・・・・・」

「ユリカの勝ちだもん、えっへん♪」

「ふぅ・・・・・・・・・」

 

 続々と登場するクルー達

 皆さん勝手に盛り上がって・・・・・・・・・・・・・

 もはや私の出番は・・・・・・(^^;;;;;;

 

「無いでしょうね・・・・・・・初めっから・・・ボソッ」

 

 ひどいよぉ・・・ルリちゃん(T_T)

 せっかくの後書きスペースなのにぃ・・・

 

「仕方ないですね、あきらめて下さい」

 

 シクシク(T_T)

 ルリちゃん冷たい・・・・・・。

 

「ところでさあ、アキトォ・・・・ウリバタケさんから結婚祝いにコレもらっちゃった♪枕元に置いて寝るんだぁ(^^)♪」

 かわいいクマのぬいぐるみ

 大きさは中ぐらい

 ユリカは大切そうに抱えている

 

「ウリバタケさんから?・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」

 

 ルリは何か思いついたらしく、ユリカの元へ行きぬいぐるみを奪い取る

 げしっ

 おもむろにぬいぐるみの背中を破るルリ

 中から妙なメカが出てくる

 

「あールリちゃん、かわいいぬいぐるみだったのにぃ・・・・・・・・・・あれ? なんか入ってる」

「盗聴器と隠しカメラですね・・コレ」

「ウリバタケさん!!!」

 

 真っ赤になって怒るユリカ

 

「しまったぁ!!バレちまったかぁ(^^;;;;;;」

 

 捨てぜりふを残すやいなや、一目散に逃げ出すウリバタケ

 

「おまけだ・・・・・・・えいっ!!」

 

  手に持っている小さなスイッチを押すとさらにかけだして逃げていく

 

 

 ガガガ・・・・・・

 

 

 目の前のシャンペンシャワーがガタガタと音を立て

 変形していく

 

「みたか!、ウリバタケオリジナルウエディングロボ30号の雄志を!!」

 

 走り去りながら、自慢げに言うウリバタケ

 ちなみに、ウエディングロボは1号からあるらしい・・・・・(^^;;;;

 

 ガガガ・・・・・・

 

 ゴゴゴ・・・・

 

 ピーーーーーーーーーー

 

 突如暴れ出すウエディングロボ30号

 

  うわぁ・・・・めちゃくちゃだぁ・・(^^;;;;;;;;

  騒ぎの中、隅の方でクリームソーダをのんびりと堪能しているルリ

 

「ほんとに・・・・・・・馬鹿ばっか」

 

 

 お後がよろしいようで・・・・・

 

 

 最後までおつきあいいただきありがとうございます

 まあいろいろと制作秘話などを話してみようと思ったのですが、御覧の有様でして

 それはまたの機会ということにいたしましょう

 

  このSSに関する、ご感想・ご指摘・アドバイス・苦情などありましたら

  こちらのメールアドレスまでメールいただけるとありがたいです

 

 ryuichi@gold.interq.or.jp <新アドレス:メイン> 

 

 また、大塚のHPはこちらになります

『大塚りゅういちの隠れ家』

 http://www2.odn.ne.jp/~aaa71450/index.htm

 

 それではまたお会いいたしましょう

 

 では(^^)V


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