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Soeur Caressante
type REFLECT
2000.01.30初出 
text and edit by 成瀬尚登

……急に乃絵美の唇が去った。

 快感の連続から解放され、正樹は激しい呼吸を繰り返す。

 そして我に返ると、乃絵美はスカートをたくし上げながら、再び正樹の上で馬乗りになっていた。

「お兄ちゃん、ダメだよ……」

 少し困った顔で乃絵美が言う。

「赤ちゃんはこっちに……」

 乃絵美は腰をずらし、花びらが正樹のそれにあたるように位置を合わせた。

「いくよ、お兄ちゃん……」

 ゆっくりと、確かめるように、腰を落としていく。

 乃絵美の唾液でぬるぬるになった先端に、わずかに濡れている乃絵美の花弁が当たる。

 そこで、乃絵美はひとつ大きく深呼吸をし、花弁の中へと正樹のそれを押し入れていく。

「……痛っ……!」

 わずかに乃絵美の中に入ったところで、乃絵美は声をあげた。

「乃絵美……」

 正樹が顔を曇らせる。

 それを見て、乃絵美は微笑をつくった。

「だいじょうぶ、お兄ちゃん……」

 そして、さらに中へとめりこませていく。

「いたっ……いたい……うう……あああぁぁ……!」

 正樹の先端が、乃絵美の締め付けの中に入り込んだところで、それまでスカートをたくし上げていた乃絵美の手がはなれ、正樹の胸板につっぱるように手をついた。

 苦痛に喘ぎながら、それに耐えるように肩で息をする。

「乃絵美、もういい。やめろ」

「ダメ……お兄ちゃんの……赤ちゃ……」

 正樹の言葉が逆効果となったのか、乃絵美はさらに奥深くへと突き進ませた。

「んん!」

 上体を大きく反らせる乃絵美。

「乃絵美!」

「いや……いや……」

 頭(かぶり)を振って全身で拒絶する。

 乃絵美は右手の人差し指を曲げ、その部分を口に含んで噛んだ。

 そして、再開する。

「ん!……んん!……」

 口の中でぐぐもった声が、口と指の隙間から漏れてくる。

 正樹のそれは、確かに乃絵美の中に入っている。何者にも侵されたことのない乃絵美の内で、強烈な締め付けにあっている。それは快感と言えるものかもしれない。

 しかし、眼前の妹の喘ぎを見て、そんな気持ちはまったくしなかった。

「……あああっっ!」

 指を口から出し、乃絵美は髪を振り乱した。

「裂けちゃう! お兄ちゃんので、裂けちゃう……!」

 両腕を正樹の胸板に突き、喘ぎながら頭を垂れる乃絵美。

 ポタポタと涙の雫が正樹の腹の上に落ちてきた。

 そして、噛んでいた右の人差し指からは、微量とは言えないくらいの血が流れ、筋を描いて胸板を流れていく。

「乃絵美……」

 正樹は、首をひとつ軽く振った。

 そして、意を決して、血の流れている乃絵美の手を取った。

 指には乃絵美の歯形がくっきりと残り、やや深めの傷口からは止めどなく赤い液体が流れ落ちている。

「ひどい傷だ……」

 正樹はそぉっとそれを口に含み、傷口を舐めた。

「お兄ちゃん……」

 涙に濡れた赤い瞳で、乃絵美が正樹を見返す。

「……昔、乃絵美が転んだときさ、こうやって舐めたよな……」

 いたずらっぽく言いながら、正樹は指を舐め続けた。

 やがて、傷口は血がうっすらとにじむ程度になった。

「お兄ちゃん……優しい……やっぱり、乃絵美のお兄ちゃんだね」

 その乃絵美の言葉に、正樹は敢えて答えなかった。

 腕を乃絵美の乳房へと伸ばす。

「あっ……」

 ていねいにもみしだく。

「あっ……ん……お兄ちゃん……いい……」

 瞳を閉じ、乃絵美が正樹に快楽を委ねる。

 痛みのあまり萎縮していた乳首が、また段々とかたくなってくる。

 それを摘み、優しくひねり、乃絵美をうながして正樹の口へと寄せさせる。

「あん! はぁ……お兄ちゃんの、あたたかい……ああ!」

 舌を出して、ちろちろと舐め、口に含んで吸い上げる。

「ううん……あっ! あ、だめ……」

 乃絵美は、正樹の肩をつかんで、耐えている。

 正樹は手を乃絵美の腰に回してスカートの中に入れ、ソックスにおおわれていない太ももを這わせた。

「くすぐったいよ、お兄ちゃん」

 その手を乃絵美の身体の前へ回し、そして、身体がつながっている部分に指を沿わせた。

 完全に開ききった花弁の合わせ目が大きく膨らんでいた。

 それを指の腹で撫でる。

「あああああ!」

 乃絵美が身体をよじらせる。

 すると、わずかに乃絵美の中がうごめいた。

 正樹は、さらに乃絵美の真珠を愛撫した。

「あっ……あああっ……お、おかしくなっちゃ……うう……!」

 胸板に手を突っ張って喘ぐ乃絵美……だが、それは、痛みに耐えていたころとはまったく違っていた。

「違うの、さっきお兄ちゃんに触ってもらったのと、ぜんぜん違うの……」

 指が触れるたび、乃絵美が喘ぐ。

 それがおもしろくて、正樹は何度もそこをこすった。

「あ! お兄ちゃん! だめ……乃絵美……壊れちゃうの……!」

 そして、乃絵美の中が潤いだしたのか、進むことも退くこともかなわなかった正樹のそれが、少しずつ動き出した。

「痛……痛いけど……お兄ちゃんので……いっぱいなの……」

 切ない顔を見せる乃絵美。

 その顔を見ながら、正樹は腰を前後に動かした。

「あ、動いてる……お兄ちゃんのが動いてる……」

 進んでは割り拡げ、退いては削るように、正樹のそれが、再び乃絵美を侵食しはじめる。

 だが、乃絵美の貌は、先程までの苦痛とは遠い物だった。

 切なそうに、未知の感覚と既知の快楽にどう対処していいのかわからない少女の顔だった。

 ようやく乃絵美の中で自由に動けるまで潤ったその時、乃絵美の手が、彼女の腰に置かれていた正樹の手をつかみ、床の上に封じた。

「乃絵美……」

 しまったという顔を見せる正樹。乃絵美の中から引き抜こうと思っていたのが読まれてしまったのだろうか……。

「ありがとう、お兄ちゃん。あとは……乃絵美ががんばるね」

 微笑みながら乃絵美はそう言うと、抜けそうだった正樹のそれを、一気に一番深いところまで沈めた。

「ぐっ!」

「はあぁ……!」

 喉を上げて、乃絵美が悶える。

 正樹もまた、一気に快楽の淵にもどされていた。

 乃絵美の口、そして乃絵美の中での動きで、すっかり高まっていたところが、気を抜いた瞬間にそれを思い出したのだった。

 と、同時に、冷たいものが過ぎる。

「乃絵美、だめだ!」

「あっ……あ……」

 正樹の叫びを無視するかのように、乃絵美は腰を動かす。

「頼む、抜いてくれ……でないと、オレは……」

「ダメっ……お兄ちゃんの……赤ちゃん……乃絵美の中に……」

「くっ……うう……乃絵美……乃絵美……」

 正樹の快楽は、もう抑えられないところにまで来ていた。

「……あっ、お兄ちゃんの、また大きくなった……もうすぐなのかな……」

 乃絵美はさらにぐっと腰を落とした。

 正樹が背中を反らす。

「ふっ……はあ……やめ……やめろ……乃絵美……」

「きて……いっぱい……お兄ちゃん……」

 びりびりという感覚が正樹のそれに走る。

 それを乃絵美がこすり上げる。

「ぐぅ! ダメだ……乃絵美……のえ……!!」

……正樹の本能が、乃絵美の中で弾けた。

「あっ……入ってくるよ……あ……」

 乃絵美の内が、絞り上げるようにうごめく。

 そして、完全に射出した後、正樹は呆然とし、抜け殻のように脱力してその場に身を投げ出した。

 乃絵美が、その脇に寄り添い、耳許でささやく。

「ありがとう、お兄ちゃん」

 罪悪感が重くのしかかり、正樹はその言葉に応える気にならなった。

「私は身体が弱いけど、きっと丈夫な赤ちゃんを産むよ。お兄ちゃんみたいに、元気な子がいいな……」

 力無く、正樹は首を横に振る。

「はじめてがお兄ちゃんでよかった……これからもずっと、お兄ちゃんがいいな。お兄ちゃん……愛してる」

 乃絵美が嬉しそうな笑顔で正樹の頬にキスをする。

 だが、正樹の意識は、既に遠かった。それはやがて視界に闇がかかったようになり、そのままどこか闇へ落ちていくような感じだった。


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