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Moreover, let's start here(また、ここからはじめよう) ※あらすじ風駄文 舞台は今から400年前のイギリス。 腰は低く志は高く、夢はいつかあのグローブ座で自分の台本が使われること、 …な、売れない舞台作家イルカは、台本制作にとりかかるわけでもなく、なぜかひとり、裏通りをとぼとぼと歩いていた。 自分のイマジネーションをカタチに出来る台本制作に、飽きたわけからでも、スランプになったからでもない。 本当はもっと忙しくしなくてはならないはず…なのだ…なのに。 お客が思うように"こう"と台本を作れないイルカに、仕事が舞い込んでくる様子はなかったのだ。 ―――今日だって、さっきまた一つの劇団に断られたばかりだった。 「はあ…」と、タメイキをひとつ。 暗く沈んだ気持ちを胸にかかえながら、なにか少しでもいいことがないかと、訪れた大通りをぼんやりと見回す。 そこでイルカはオンボロ道化師カカシと出会うことになるのだ。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大通りには、小さな人だかりができていた。 なんだろう…と興味が沸いて来て人だかりの後ろにつく。 黒山の間から、何が行われているのかと首を伸ばすと、人の輪の中に踊る炎が見えた。 火の点いた俸がいくつもくるくると宙を回って、一つ残らず、すべてその手中にキャッチされる。 ぼろきれがひらっと舞い、逆立ちのカッコで片腕だけで着地する。 なにもない素の手のひらから、花びらが、鳩が飛び出してきて、空中で踊る。 わっと沸く観衆。 イルカも大興奮。 すごい!目を瞠った。 まるで魔法をかけられたみたいに、その妙技に、しぐさに、一発でやられた。 懐から、さっと羊皮紙の束を取り出し、その場でむちゃくちゃ書き殴る。 まるでなにかにとりつかれたかのように。 しゃべれない道化師カカシは、見事な技を持っていた。 そこに惚れこんでイルカは、カカシをモデルに台本を作ってみたところ、これがまた、出来るわ出来るわ、自分でも大満足な作品が! イルカの力はついに認められ、台本はグローブ座で使われ公演することに。 イルカとカカシは誘われ、華やかな劇場の世界にデビュウ!…するも、カカシは目の前のごちそうや美しい女たちに興味はなく、イルカの尻を追いかけまわし、挙句のはてにその夜、ついに二人は禁断の一線を超えてしまう…!!!! 「…なんでこんな目に」とベッドの上でシーツをひっ掴み、裸体のまま青ざめるイルカの横で、 腰まで毛布をかけたカカシは、右ひざをたてタバコを「フー」と吹かしつつ、口をぱくぱくさせて、 『嬉しいな、イルカさんと…』 と言って、両手の人差し指と親指をくっつけで、ハートマーク(←mekeloveと言いたいらしい)をつくって にこっと笑ってみせた。 それに不覚にもジーンときてしまったイルカは、ほだされ、その体験を元に「貧乏作家と気狂いピエロのシャルウィ―ダンス」を発表し、これまた拍手喝采を浴びることとなる。 いちやく有名人、大金持ちとなったイルカだったが、カカシはといえば謙虚なものでイルカの横にいられるだけで幸せらしく、舞台役者になりたいと言い出すわけでもなく、最初から変わらぬオンボロ姿のまま、イルカの尻を追いかけ回す日々。 …さすがにこのままでは困ると、事後、息をあがらせながら、カカシに「舞台役者になってください。さもなくば、俺の前から去ってください」と懇願説得する。 …が、カカシは悲しい顔をして「NO!」と言い、ふろしきに、荷物(イルカの写真とかイルカの下着とか)をまとめて、台本で稼いだ金で建てた大きな屋敷をでていってしまう。 カカシが出て行ったあとのイルカの生活は散々なものとなる。 書けども書けども思い通りの台本が出来上がらず、女を与えられても抱く気にすらならない。 台本を急かすグローブ座の団長の激しいノックの音を聞きながら、すさんだ気持ちで酒に逃げる毎日。 イルカは一気に転落の人生を歩み、…あれだけ稼いだ財産も、大勢いたメイドや従業員や、自暴自棄になって走った賭け事や暴飲暴食で、あっという間にパァ。 メイドA:「聞いた?とうとうこのお屋敷、差し押さえになったんですって?」 メイドB:「どれだけ才能があっても、落ちぶれちゃおしまいよね」 背後からそんな陰口を聞きながら、イルカは目を閉じる。 そこで、自分の華やかな人生が幕を閉じたことを知った。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ …再び無一文になったイルカは、あの場所へ向かう。 はたして、そこにはカカシはいた。 少ない人を相手に、街の片隅で行うにはあまりにもったいない技を惜しみもなく披露する。 二人の目があうと、どちらからともなく笑いあう。 人々の笑顔。 湧き上がる拍手。 息もつかせぬ大技の連続に、頬を赤くし、息をあがらせ微笑むカカシ。 自然と、手が、紙と羽ペンを探して空を掻いた。 ああ、ここには、ずっとほしかったものがある。 色々失敗してきたけど、いいじゃないか。 もう一度、何度でも、また、ここからはじめよう。 自由に舞うカカシを見ていると、自然と、そんな気にさせられる。 ―――再び取り出した羊皮紙に、イルカのペンは、ひっかかりもなくすらすらと走った――――… ここまで読んでくださってありがとうございます。 しかしなんて説明文くさい小説なんだろう。 色々痛いです。イルカが自信家だったり、「貧乏作家と気狂いピエロのシャルウィ―ダンス」とか…(汗) |