(※グロテスク表現、性描写有なんで注意してください)











―――同じところまで堕ちてきて欲しいと、何度願っただろう。










彼と、いわゆるプラトニックな関係になったのはつい最近のことだ。
清廉潔白な人だから、そんなことは無理だとわかっているけれど。


時間があっては立ち寄る遊里で、華やかな吟じをたしなみつつ、 その裏では、いつもそんな欲求に苛まれていた。








――眠れない。





どろりとした、墨のような雲が浮かぶ夜空。
月は雲に隠れ、林で、ぶっぽうそうが低い声で鳴いている。

家の前の木の幹に腰をかけ、あの人のことを思う。
「カカシ先生、カカシ先生」と、心底憧れているという高めのイントネーション。
子犬のようにしっぽを振って、少し遅れて、後からついてくる。
それから、振り返ると、ふわりとした笑顔をくれる。
あの笑顔をずっと見ていたいと思う半面、その微笑をめちゃくちゃにしたくなる。
心のどこかで、彼の持つそれらいっさいがっさいのものは、いつも自分には過ぎたものだと分かっていた。






…戦闘が終了して、ふと我に返ると全身血塗れだった。

もはや、返り血ところか、自分の出血の有無すらわからない。
敵の忍がなまじ強かった分、手加減もフォローもできなかった。
片足をずるずると引きずりながら、歩き出した俺を、背後から呼ぶ声がした。

「よくやった、と火影様から、伝令があった。
任務は続行する。
明朝、東の空にて鷹の鳴く声がすれば、それが合図だ」

まだ、殺すのか。

頭の中で次の任務の自分の行動を綿密に計画立てながら、 頭の隅で、別のことを考える。




このままの格好で帰ったら、イルカ先生はどんな顔をするだろうか。
…きっと驚く。顔を青くして、手にもっていたものを落とすだろう。
物が割れる音と、ふるえる唇で「カカシせんせい」と呼び、大丈夫ですか?と続く。

…そんな言葉を吐きつつ、タオルを手にしたまま、怯えて近づくのをためらうんだろう。
むせかえる血の匂いに顔をしかめて。


そんな彼の腕をとって、無理やり、その頬に血のりをなすりつける。

頬だけといわず、

服を剥いで、体中全身に塗りたくって、 床に押し倒して、馬乗りになって、殴りつけ、痛めつつ、バックから犯す。

彼が、泣きじゃくって許しを乞う姿を想像すると腰がずくんと熱くなった。
まだ若いな、俺も。

腰の熱をもてあましながら、安住の地を求めて、森の中をふらふらとさ迷い歩く。

目的地はどこだっただろう?



もう分からなかった。










忍びだから、敵だからと色々理由をつけてもやっていることはただの人殺しだ。
それに罪悪感を抱かなくなって傷つかなくなった自分に今では誇りすら覚える。
そんな風に考えて、自然と、くつくつと喉の奥から笑いがこみ上げてきた。
だから、彼にはここまで堕ちてきて欲しいと強く願う。
痛みのない世界があるということを知ってもらいたかった。

里に戻れば、またいつもと変わらぬ日常が迎えてくれる。
アカデミーの帰り道で彼と行きあって。

「こんにちは」といわれて、俺は優しく微笑む。

生き物の、湯気立つ血を素肌に塗りたくられ、貴方のために殺したんだと言うと、目を潤ませ、喘ぐ姿を想像しながら。
















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