●ある春の出来事(右の絵の下から話が始まります)



…ホントは、この任務、上忍三人でこなすほどのレベルなんですけどねえ、面白そうなんで、引き受けちゃいました。


やめてください、そんな任務。包帯もとれたばかりだっていうのに…危険です。


と、言うと思ったでしょ。残念でした、本当は断ったんですよ。前の任務から体力も回復したばかりで、そのうえ、働きづめでろくに有給すらもらってないのにこき使いすぎだ――――って。





ははは、その顔。
イルカ先生が驚くと思って嘘ついてみました。
その顔いいなあ、可愛くて。今、心配してくれましたよね。嬉しいなあ。


(〜〜〜〜…っ…まったくっ…この人はっ…!)


ま、結局別の依頼は回ってきたんですけどね。他に空きのある忍がいないからって、 受付の中忍がおろおろしちゃって。
でも、依頼を断ったって火影様あたりに知られたら、怒鳴られかねない。減俸必至だ。


はは。違いない。


…もう行きますよ。
鉄も熱いうちになんとやらと言いますし。
イルカ先生に心配してもらえるうちが花だ。


…(ふっと視線を緩めてその背中を見る)


大きな背中は、勇ましく、その強さは誰にも追いつけないだろう。


だが――――…つい、すがるような目をしてしまう。


…言葉にはしないけど、心配なんだ。
あなたの前じゃ、こんな顔は絶対しないけれど。


それに答えるように、去り行くカカシが片手をあげた。


まるで「分かってます、大丈夫ですよ」と言ってくれているかのようで。


…そんなことわかりっこないのに。


いや、うぬぼれでもいい。


見てないと知りつつ、それに手を振り返すイルカ。


二人の間を、穏やかな春風が、一陣、吹き抜けた。






















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