ドラコ:「どうした? 大丈夫か?」
ハーム:「わーーーん! ドラコ〜〜〜!」(泣)
ドラコ:「なんでひとりなんだ? ロナルドは? ハリーはどこにいる?」
ハーム:「もう、アノひとたち勝手なんだもの! そのへんでご飯食べたりお茶飲んだりしてるのよっ!」
ドラコ:「泣くなよ。食事なら僕がつきあうから。もういいのか?」
ハーム:(ぐすぐす)「まだ質問が残ってるの。協力してくれる?」
ドラコ:(笑って)「いいよ。“からだはどこから洗いますか”なんてやつじゃないだろうね?」
ハーム:「それよりもっと答えにくいかも」
ドラコ:「そうか」(苦笑)
ハーム:「まず、これからね。『初恋の相手は?』」
ドラコ:「きみは?」
ハーム:「ちょっと、わたしのことはどうでもいいでしょう?」
ドラコ:「ロナルドには内緒にしておくから。教えてくれよ」
ハーム:「えーーー……、近所の男の子よ。パン屋さんで、あそびに行くといつもすごくいい匂いがしたな。はじめはおやつ目当てだったの。学校の帰りにその子の家に行くと、甘い菓子パンが出るのよね」
ドラコ:「食べ物で釣られたのか」
ハーム:「いつのまにか誘われるのはわたしだけになってて、そうね、わたしも悪い気分じゃなかった。ふたりでナイフを持ってアップルパイを分けッこしたりね。かわいいものよ。でもある日、別のおんなのこにマドレーヌをあげているのを見たの。それっきり。……なに笑ってるの?」
ドラコ:「悲しい結末だ」
ハーム:「ぜんぜん悲しそうな顔してないじゃない。それで?」
ドラコ:「僕は本で釣られたんだ。それとレコード」
ハーム:「レコード? って、あの丸い、溝の刻まれてる、音がでるやつ?」
ドラコ:「そう。電気で動くやつだよ。近くを川が流れていたんだ。それで水車をまわして発電していたんじゃないかな? ラジオもあった。ほとんど雑音しか聞こえてこなかったけど、たまにマグルの電波を拾ってたよ。僕はサー・ジョンズって呼んでたけど、たぶん本当の名前じゃなかったと思う。伯母はべつの呼び方をしていたしね」
ハーム:「えっと、それって親戚ってこと?」
ドラコ:「そうなる筈だったんだけど、伯母が亡くなって、彼もどこかに消えてしまった。写真も残ってないし、……なにも残ってない。僕も顔は忘れてしまったけど……、とにかくしずかな人だったよ。机の上にわけのわからないものをいっぱい並べて、何時間でもそれを組み立てたりしてた」
ハーム:「それがはじめて好きになったひとなの?」
ドラコ:「あとになって思い返してみればね。伯母の屋敷は山の中にあって、そこからすこし離れたところに彼の……、研究室なのかな? があったんだ。日が暮れるととにかく冷えるんだけど、ちいさな暖炉の火じゃなかなかあたたまらないんだよ。隙間風はすごいし、ランプの火しかないから暗いしね。それなのに、機械によくないって魔法は使わせてくれない。それでも毛布にくるまって、そこにいたのを覚えてる。本を読んだり音楽を聴いたりもしたけど、ほとんどの時間はただそこにいて、作業している姿を眺めてたんだ」
ハーム:「そうかぁ……」
ドラコ:「日が沈む前に屋敷にもどりなさいって言われるんだけど、聞こえないふりをするんだ。わざと厚い本を手にとってめくったりね。迎えが来るぎりぎりまでねばる。そうすると、運のいいときは手をつないで帰れる。もっと運がいいと背負ってもらえる。10分か、15分か、そんな距離なんだけど、すごくうれしかったのを覚えているよ」
ハーム:「今日聞いたなかでは一番いい話だわ」(しんみり)
ドラコ:「僕にだって、かわいい思い出のひとつくらいはある」
ハーム:(笑)「とにかく、あなたに対する質問は恋愛絡みが多いのよ……えーと、『忘れられない恋の相手はいるのでしょうか?』」
ドラコ:「うーん……」(しばし沈黙)
ハーム:「言いたくなかったら、無理に答えなくていいのよ?」
ドラコ:「いや、そういうわけじゃないよ。それはつまり、ちゃんとつきあった相手ということだよね……。そういう人のことは、みんな忘れられない。いつまでも頭の片隅にひっかかってる」
ハーム:「そのなかでも、特別な思い入れのある相手というのはいない?」
ドラコ:「そうだな……」(またしても沈黙)
ハーム:「えと、じゃあ、これ。『たまにはハリーを怒ってほしい気もちょっとします』。わたしもそう思うんだけど。もしかして無理してない?」
ドラコ:「僕が?」
ハーム:「そう。喧嘩しても、ハリーが一方的に怒っているように見えるんだけど」
ドラコ:「表現がわかりやすいからね。僕だって腹をたてるときはあるし、ちゃんとハリーは譲ってくれるよ」
ハーム:「ハリーがぁ?」(疑わしげ)
ドラコ:(笑って)「譲るというのとはちがうかな? でも、受け入れているだろう? きみや、ロナルドや、僕のことを。怒りながらでも、切り捨ててはいないじゃないか」
ハーム:「え? でもそれって、あたりまえのことじゃない? 友達だし、恋人なんだから」
ドラコ:「当然のようにそれができる人もいるけど、そうじゃない人もいる。ほかの人といるときのハリーを見てみるといい。全然ちがう顔をしているから」
ハーム:「……」
ドラコ:「きみたちははじめから友達だったからね、ピンと来ないかもしれないけど。僕は学生の頃のことも覚えているから。引いた腺の内側に、絶対踏み込ませないようなところがあったよ。すごくやりにくかったし、冷たく見えた。いまも本質的には変わってない。……たぶんね。ただ、寂しがりやだから、ある程度は我慢してまわりに合わせているんじゃないのかな」
ハーム:「えー、そんな風に思ったことなかった。そのときそのとき行き当たりばったりで、何も考えてないんだと思ってたわ」
ドラコ:(笑)「まあ、そういう見方もある」
ハーム:「でも、その調子ならおつきあいは長くつづきそうね? いまの時点ですでにハリーにとっては最長記録みたいだけど」
ドラコ:「どうだろう? もしべつの道を行くことになったら、それこそ僕にとっては“忘れられない相手”になるだろうね」
ハーム:「あまりにも手がかかったから?」
ドラコ:「……そういうことにしておこうか」
(騒がしい声が遠くから聞こえる)
ドラコ:「それで? 質問は終わり?」
ハーム:「うーん、ハリーのが残ってるんだけど……。これは……」
ドラコ:(メールの束をのぞき見ているらしい)「『早く気づいてあげて』。『靴はまだ見つからない?』。……なんだろう? ハリーは勘がいいから察しが悪いってことはないけどな……、まあ、物はよく無くすよ。たぶん、部屋の中のどこかにあるんじゃないのかな? ベッドの下とか、クローゼットのなかとか」
ハーム:「いっしょに探してあげたら?」
ドラコ:「勘弁してくれ(笑) もうあの部屋には口を出さないことにしたんだから」
ハーム:「その気持ちはわかるけど(笑) ……じゃあ、こんなところかしら? 最後になりますが、げろんぱさん、ティモシーさん、ひかるさん、みうのささん、玲さん、お名前をあげていませんでしたがご協力ありがとうございました。その他、匿名希望の方たちにも参加していただきました。ありがとう。それではこのへんで……、いま、なにか下を通らなかった?」
ドラコ:(イスを引く音)「……妖精が1匹まぎれこんでいるよ」
ハーム:「ええ?」
(突如スタッフの声乱入「隊長! ハリーを見失いました!」「どっちだ? でかいのか? ちいさいのか?」)
ハーム:「……ハリーったら! あれほど言ったのに連れ出したのかしら? ちょっと見てくるわね」(パタパタ)
すぐに「オブリビエイト!」を唱えてブラウザを閉じる