フェネルがお父さんとお母さんに引き取られてから、二度めの秋。 ある寒い晩のこと、いつものように、一人でおふろをすませ、一人でベッドに入ろうとしていると、お母さんがうしろからぎゅっとフェネルをつかまえました。 「フェネル、今日もお母さんといっしょにおふろに入ってくれなかったねぇ…」 「あわ…」 しつけのきびしい修道院でそだったフェネルは、まだこうして誰かにくっつかれるのに慣れていません。お母さんの大きな胸が背なかにあたると、はずかしさで耳まで真赤になります。 「せめていっしょに寝ようよー。ね、ね」 「え、えと…いいです…ひとりで…ねます」 ぴったりくっついてくる白い肩をそっと手で押して、腕のあいだから抜けだそうとすると、お母さんはいきなり飛びはなれ、目をまんまるにして、かなしそうに叫びました。 「お父さんっ…フェネルが…フェネルが私のことをきらいになっちゃったぁっ…」 すると扉がひらいて、背の高いお父さんが部屋に入ってきました。 お母さんはすぐにその広い胸板に飛びこみます。 すぐにおしころした泣き声が聞こえてきます。 フェネルは、どうしたらいいからわからず、ただ立ちつくしています。 お父さんは、キツネのように切れ長の瞳をまたたかせて言いました。 「だめだよ。フェネルがこまってるじゃないか」 「でも…でも…」 「ぼくらは、いつでもフェネルが明るく暮らせるようにしようって、約束したでしょ。さあ笑って。なかよく、楽しく、ね」 お父さんはお母さんを抱きしめながら、フェネルにむかってにっこりしました。 「ごめんねフェネル。お母さんはフェネルのことが好きでたまらないんだけど、つい自分のきもちだけでフェネルを楽しくさせようとしてしまうんだ。ちょっとイヤだったよね」 フェネルはいそいで、首をぶんぶんと横にふりました。フェネルだってお母さんのことが大好きだったのです。 お父さんはそれを見て、もっとにっこりしました。お母さんも泣きやんで、本当?というようにフェネルのしぐさをながめています。 「フェネルはやさしいね。でもむりをしなくていいんだよ。ここは修道院とはちがうんだから、そろそろフェネルが、やりたいことしていいんだ…そうだ!」 お父さんは、きゅうになにか思いついたようにうなずくと、ふところから宝石のついた首輪を取り出して、お母さんの首にカチっとはめました。次いで、そで内から小さな箱を探りあて、おどろいているフェネルに手わたします。 「これは、”お母さんスイッチ”というんだ。これを使うとお母さんはフェネルの命令にしたがうんだよ。ためしてごらん」 「え、だめですそんなの」 すぐにそう答えるフェネルの頭を、お父さんはいいこいいこしました。お母さんはなんだかうれしそうに首輪を指でなぞっています。 「フェネル、やってみて。お母さん、フェネルのいうこと聞いてみたいな。フェネルがしたいこと、知りたいから。ね、おねがい♪」 「お父さんからもおねがい♪」 夫婦はそろってぶりっこのポーズをします。フェネルはまたしてもこまってしまいました。ためらってから、おそるおそる小箱をあけると、なかには「ま」「み」「む」「め」「も」の五文字のスイッチがならんでいます。 お父さんはじまんそうに言いました。 「それはお父さんの発明なんだ。使うときは、スイッチを押して、”お母さんスイッチ、ま”、”お母さんスイッチ、み”という風に言うんだよ。さぁやってみて。やってみてよぅ」 フェネルは真剣なおももちで説明を聞くと、すすめられるまま、勇気をだしてスイッチの一つを押します。 「お母さんスイッチ、”ま”」 ―まんぐりがえし― お母さんの首輪についた宝石があおみどりに光ります。お母さんのひとみがガラス玉みたいになって、ぱたんとベッドに横になると、ネグリジェをたくしあげ、股をひらいて、足首が肩につくまで引き上げます。お母さんの筋肉はとてもやわらかいようです。 でも目の前にいるフェネルは感心するどころではありません。あおくなったり、赤くなったりしながら、金魚みたいに口をぱくぱくさせています。 お父さんはキツネのような目をさらに細めると、いきなりフェネルの背なかを押して、ベッドのお母さんの上にうつぶせにたおしました。 「ひゃっ」 フェネルのかおがお母さんの胸にぶつかり、ふっくらしたほっぺが、乳房にこすれます。お母さんは無表情のまま、フェネルをぎゅっと抱きしめます。 はずみで、お母さんスイッチは床の落ち、お父さんはしっぱいしっぱい、と首を振ってスイッチをひろいあげます。 「おやおやスイッチがおちてしまったね。ではお父さんが代わろう」 「お、お父さん!?」 フェネルがもがきながら問いかけますが、お父さんはただにこにこしています。 「いいからいいから、お父さんとフェネルは一心同体みたいなものだよ。はい、お母さんスイッチ”み”」 ―みみなめ― お母さんが、フェネルの耳もとにふーっと息をふきこみます。びくっとかたまったフェネルの耳のあなを、お母さんのあつい舌がなめまわし、孔のなかをねぶります。 「ふぁぁっ…ぅぁっ…ぁんっ…」 フェネルの三角をした耳は、とてもよわいので、ほそい体はすぐに抵抗を止めてしまいます。お母さんはなめるだけでなく、とがった先っぽをかじったり、歯でしごいたりしながら、フェネルからあえぎを引きだしていきます。両手はたえまなくフェネルの骨ばった背なかをなでて、わきばらや首のつけねなど、フェネルのよわいところをくすぐります。 「やだぁ…お母さっ…だめ…ですぅっ…ひっ…ぅっ」 お父さんはしあわせそうに家族をながめながら、スイッチに感謝のキスをします。 「うんうん。フェネル、楽しそうだね。発明してよかった。次いってみよう。お母さんスイッチ”む”」 ―むねいじり― お母さんは、フェネルの胴を引きずりあげると、うすももに色づく乳首のかたほうに舌をのばしました。 「ふひゅっ…ぅっ…もっ…」 息子のもらすかぼそい声をばんそうに、びんかんな肉の芽をかるくころがすようにしながら、右、左と口にふくみ、たっぷりだえきをまぶすと、おもむろに歯をたてます。 「ひぃぃぃぃっ!!!」 かん高い悲鳴がほとばしり、フェネルが弓なりにそりかえりますが、お母さんは乳首をかじるのをやめません。おさない息子の反応を楽しむように、上下左右にひっぱったり、何度もかみしめたりしては、二つの小さなむねかざりがざくろのようになるまで、いじりまわします。 「ぁぎぃっ!!…とめっ…てっ、お母さんスイッチとめてっ…ひぐぅぅっ!」 フェネルはおおつぶのなみだをポロポロこぼしながら、お父さんにおねがいします。 お父さんはさわやかにほほえみながら、ただじっと見まもっています。お母さんは乳首にあきたらず、うっすら脂肪ののった息子の胸全体に歯がたをつけはじめます。 「ぁっ…ぎゃぅっ…ぎっ…ひぅっ…ひんっ…ゃ…おかあ…さっ…」 フェネルの悲鳴に、だんだんと甘いひびきがまじりはじめます。ほっぺをほんのり染めて、うずく胸をお母さんの舌がねぶるたび、うらがえった声も聞こえるようになりました。 「そろそろかな。お母さんスイッチ、”め”」 ―めりこませる― 「これはお父さんも手つだっちゃおう」 言うがはやいか、お父さんはスイッチをそでにしまい、あいた手でフェネルのふるえるおしりをつかみ、のこる手でちいさなものをつまむと、かるくしごきました。いたいたしいくらいかたくなったそれを、びしょぬれになったお母さんの秘所にあてがい、ゆっくりとしずめていきます。 「ふあぁっ…」 「んぅっ…♪」 ボーイソプラノとアルトが重なって、フェネルとお母さんのかおがちかづきます。お母さんはぎゅっとフェネルを抱きなおすと、ふたりの体に電気がはしりました。 「うあああっ、おか…ぁさぁんっ…!!」 「フェネルっ…フェネルっ…んっ♪きもち、いいよぉっ!」 ほんのすこし動いただけで、しびれるようなきもちよさがつたわります。フェネルははじめ、お父さんの手にゆすられてそれをあじわい、やがて自分からきゃしゃな腰をめちゃくちゃにうちふって、お母さんをつきあげました。 「おかあさんっ、おかあさんっ…ひぁっ…とまんないようっ、うごくのがっ…」 「いいのっ、いいのっ!フェネルっ!…もっとお母さんのことめちゃめちゃにしてぇっ!」 二人はどちらともなくくちびるをかさねると、たがいの口のなかをむさぼります。お母さんはつたない息子の舌をみちびくようにして、甘いだえきをかわしながら、ながいながいせっぷんを続けました。 「ぅぶ…んむっ…ふぅっ…♪」 「ぁふ…むぁ…ふぐっ…!…んっ…」 フェネルはすぐにか達してしまいますが、まだ赤ちゃんのもとをだせない秘具はなえることを知りません。腰と腰がぶつかりあう音はとめどなくつづきます。 とりのこされたお父さんはちょっぴりさびしそうです。 「いいなぁ。お母さんばっかりフェネルとなかよしで…いいけど…お母さんスイッチ、”も”」 ―もみほぐす― また首輪の宝石が光りました。お母さんの手がフェネルの背なかをすべりおりると、そこだけ肉づきのよい、まんまるなおしりをつつみこみます。十本の指は、おしりをわしづかみにすると、大きくわりひろげて、らんぼうなほど強くもみはじめました。 「っ…痛ぁっ…やらぁっ…もまなっ…もまなひでぇっ…んむっ」 もう一度、せっぷんがかわされます。小さな息子が動きをとめると、お母さんは自分の体をゆりかごにして、やさしくゆすってやりました。でも手はあいかわらず、おしりの肉をほぐして、白い肌にくっきりとあとがつけていきます。 フェネルは、きもちよさと、つらさでわけが分らなくなり、されるがままになっています。お母さんの指はだいたんになって、かたくすぼまったおしりのつぼみをつつきだしました。 「い゛っ」 びくっとフェネルが首をすくめます。お母さんはほほえんで、手をはなしました。 「…ごめんちょっとまってね」 そっとささやくと、二人のつながったところからあふれるしずくを指にからめて、よくぬめらせました。そうして、もう一度つぼみに指をあてると、今度はゆっくりとなかへ入れます。 「あ゛っ…あ゛っ…あ゛っ…」 「フェネル、力ぬいてね」 指はきついお尻のなかを、じっくりくつろげていきました。息子のほほをつたう涙をおしそうになめとりながら、お母さんはなぐさめのことばをかけます。 「だいじょうぶ、だいじょうぶだよ。ほら、もう一本入ったね。フェネルのなか、とってもあったかいよ。きゅうきゅうしめつけてるよ」 「ひっ…ぅっ…ひぅぅっ…おかあさっ…」 お母さんの言うとおり、フェネルのおしりには、なん本もの指が入っていきました。いつしか、しめつけのゆるんだつぼみから腸液がこぼれ、指が粘膜をこするのにあわせ、みだらな音を立てます。 フェネルは大好きなお母さんとつながったまま、もうなん回も絶頂をむかえていました。 お母さんは、そのたびに小犬のようにふるえる息子のほっぺに、自分のほっぺをよせていとしげにすりあわせます。 「あらら。フェネルは、おしりいじられるの好きね」 「ぁっ…おひり…っ…おしり…ぁっぃ…のっ」 フェネルがままやくと、お母さんはくすくすわらって、指をぬきました。かわりにまたおしりのにくをわしづかみして、大きくわりひろげます。 すっかりひろがったうしろの穴が、うすもも色のねんまくをさらしました。体のうちがわに冷たい空気がふれるかんしょくに、フェネルは息をのみます。 「あ…おしりぃ…」 「ふふ。どうしたの?おしりどうしてほしいの?」 「…っ…っ…やめちゃ、やぁっ…」 フェネルはもだえながら、はずかしいねがいを口にしました。お母さんはちょっといじわるなかおをして、へんじをします。 「でももう、お母さんスイッチ、ぜんぶおわっちゃったからなぁ」 「ゃぁ…やだぁ…やめちゃ…」 「うしろでまってる、お父さんにおねがいしてみて?」 フェネルは首をねじって、ふりかえりました。こわさと、もどかしさのまじったうわめづかいで、さみしそうなお父さんを見つめます。 「おとぉ…さぁん…」 「え、なに?なになに?お父さんのこと呼んだ?」 お父さんはようやくかまってもらえた犬のように、うれしげにこたえます。 「あの…ぉっ…おしり…ぐすっ…おしり…ぅっ…」 くちごもってしまうフェネルの耳もとへ、お母さんがなにかささやきかけました。フェネルは消え入りそうな声で、おしえられたとおりのせりふをつむぎます。 「お父さんのち○こ…ぼくのおしりにくださ…い」 「えへへ、だってさ。お父さん」 お父さんは、ややだらしないかおをすると、ズボンの前をくつろげて、線のほそい体つきににあわない、ごついものをあらわにしました。さきほどから、奥さんと息子のからみあうさまを見せつけられて、たけだけしくいきりたっています。 「ふふふ。お父さんのちょっとおっきめだけど、がんばってね」 フェネルはお母さんの胸のあいだで、こくんとうなずき、うながされるまま、すこし腰をもたげました。お父さんは、息子のひくつくつぼみにじぶんのものをおしあて、はなうたまじりにねじこんでいきます。 「あ…かっ…ぁっ…ぎっ」 おなかが破裂してしまいそうなくるしさに、フェネルはえずき、歯を打ち鳴らして、ひどいカゼにでもかかったようにわななきました。おしりの穴はいっぱいにひろがって、筋肉が切れる、ぷちっという音が聞こえてきそうです。 「ん…、フェネルのなか、きつくってきもちいいよ…それじゃいくよ」 お父さんが、自分のものを直腸の奥までつきこむと、フェネルのしゃっくりのような悲鳴と、お母さんの嬌声が重なります。すぐに、お父さんがはやい調子で腰が動かしはじめたので、母子の二重唱はとぎれなくつづきました。 「あんっ、あんっ、あんっ…お父さ…すごっ…なんかっ…フェネルに…っ…めちゃくちゃに…おかされる…っみたい…」 「あはは、フェネルっ…しめつけてるっ…お父さん…フェネルのおしりに…くいちぎられちゃいそう…」 なんだか、お父さんとお母さんはけっこうよゆうがあるようです。呼吸をあわせて、息子を前と後ろからなぶっていきました。 フェネルは、頭のしんがまっ白になってしまい、目から火花をちらせながら、お母さんの乳房に鼻をうずめて、ふうふうと息をつきます。お父さんが動くたび、はらわたが太い火かき棒にかきまわされるようでした。お母さんのなかはどろどろになった熱い蜜のようです。 かぞえきれないほど打ちこみを受け、小さな体はしだいにぐったりしてきます。するとお父さんの手が、馬にムチをあてるように、息子のしりたぶをたたいて、きれいなもみじをつくりました。一度、二度、三度、フェネルはいたさに身をそらせます。お父さんは、サルのように赤くなった息子のおしりをつまみ、ちぎらんばかりにつねりあげると、かん高いさけびをしぼりだして、小さな穴のしめつけをたのしみました。 「フェネル、まだねちゃだめだよ?」 お父さんが、やさしくたしなめながら、ひときわつよくつきあげると、フェネルはお母さんにしがみついて、声もなくむせびました。お母さんは、息子のかおに舌をのばし、なみだと、はなみずと、よだれをていねいになめきよめます。ややあって無言のなぐさめをおえると、お父さんのほうをむいて、おこったようにいいました。 「お父さん…もっとやさしくしてくれないと…フェネルがこわれちゃう」 「んっ…そっか…ごめんね…いつものくせで」 お父さんは、キツネ目のめじりをこまったようにたらすと、すこし腰の動きをおそくしました。けれど親におこられた子供が、さいごのつまみぐいをするように、フェネルの汗ばんだうなじにすばやくくちづけして、きつく歯をたてます。 「ぎぅっ…!!」 フェネルのからだがこわばりました。お父さんのものをくいしめる穴がしまり、お母さんのなかに入ったものがけいれんします。 夫婦はしあわせそうにほほえむと、息子のあたまごしにかるいせっぷんをしました。 「ん…フェネル…そろそろ…でるっ…よ…はっ…ん……ほしぃ?」 お父さんの問いかけに、フェネルは答えられず、ひとみをいっぱいにみひらいたまま、お母さんにむかってうったえます。お母さんは、ぺっとりはりついた息子のまえがみをかきわけて、おでこにくちづけると、お父さんに目をあげました。 「フェネル、いっぱいだしてほしいって」 「っ…じゃ…もうっ…だすねっ…」 お父さんは、つかれたようにつげると、精をはなちました。どくっ、どくっと、心臓が打つのにあわせて、フェネルのおなかは焼けつくようなほとばしりでみたされていきます。 「ふにゅ…ぅっ…」 フェネルは、とがった耳をふせ、手足の力をぬいて、すべてをうけいれました。もうろうとしているのか、うっとりしているのか、どちらともつかない面もちです。 「フェネル、大好きだよ。お父さんは世界で一番フェネルのことが好きだよ」 お父さんが小さくつぶやいて、フェネルのひだりの耳をかみます。 「ひぅっ!」 フェネルはすぐに目をいっぱいにみひらき、けいれんします。見ていたお母さんは、ちょっとくちびるをとがらせました。 「でもお母さんのほうが、お父さんよりフェネルのこと好きだからね」 言いきかせてから、フェネルのみぎの耳をかみました。 「ぃ゛た゛ぁっ!!」 フェネルが、さけびをあげます。さっきより大きな声でしょうか。 「ひゃひほぉ…」 お父さんは負けまいと、さらにつよく耳のさきっぽにかじりつきました。お母さんは歯で耳をはさんだままぐいぐいひっぱります。 「やぁっ!!…もぉやっ…ぅぅぅっ!!」 息子がべそをかいても、両親はやめようとしません。フェネルは、とりわけびんかんなところをいじられているうち、また甘いあえぎをこぼしてしまいました。 まだつながったままでいた、お父さんとお母さんの、すぐにフェネルの反応を感じて、いっそうはげしく、いじをはりあいます。 「ひゃぁっ…んっ…きぃっ!!…あひっ…ぃっ!」 小さな体は、なん度もなん度も、つづけざまに達します。お父さんとお母さんは、なおも五分くらい息子の耳をいたぶってから、やっと口をひらきました。 「ぷは…むぅ…耳だけだと勝負がつかないね…」 「そうね…じゃぁ、お父さんとわたし、どっちが長くフェネルをきもちよくさせられるかで勝負しましょっか♪」 「よーし、負けないぞ♪」 かわいい息子のしたいようにさせてあげる、というはじめの話はどこへいったのやら。夫婦はかってに競争をはじめてしまいます。フェネルは、むねやおしりをつねられ、あちこちをかまれ、眠ることも、気をうしなうこともできず、時のすぎゆくまま、もてあそばれつづけるのでした。 夜明け。ベッドのうえで、フェネルたち親子三人は川の字になっています。フェネルはどろのように眠り、お父さんとお母さんはここちよいつかれに、まどろんでいます。とてもしずかなひとときでした。 ふいに、お父さんがねがえりをうってお母さんのほうをむきます。 「お母さん」 「なあにお父さん」 「スイッチはどうだった?」 「そうねぇ…ま行はちょっとむずかしかった…」 お母さんは、はずした首輪をいじりながら、ねぼけたように答えます。 「そっかぁ…じゃぁつぎは、か行あたりでいってみよっかな」 お父さんがつぶやくと、お母さんはにっこりして、いきなり首輪をお父さんにはめます。 「あー」 「つぎは”お父さんスイッチ”ね。フェネルがおきたらためしてみよっ」 「ちぇー。いまからか行考えとかないとなぁ…フェネル、なにがいい?」 お父さんがたずねると、息子はもぞもぞとみじろぎしました。 ゆめ見がわるいのでしょうか。フェネルはしばらく動いてから、お父さんとお母さんの腕のあいだに、ここちよいばしょを見つけて、またふかいねむりにすべりこんでいきます。そのねがおは、一人でねむるときより、ずっとしあわせそうでした。 |
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