はるかなる夢の国。眠りの森の、お菓子の家に、六人の小人とともに白雪姫が住んでいた。雪の膚と血の唇、豊かな竜胆の髪。遠い地の王の娘で、とてつもない魔女。逆らうものを蛙に変えて踏み潰すという噂のある大変な気性で知られ、周辺の住民からは容赦なく貢物を取り立てた。代わりに気が向いた時は人間や家畜の疫病、怪我を直し、雨を呼びあるいは雲を払いして不作を豊作に変え、ありとあらゆる不思議の技で恵みを施しもする。あくまで興が乗った場合に限りだが。 ほつれ木の絡む奥に立つ、ビスケットとケーキの豪壮な館では夜毎酒盛りが開かれ、小さなお付きが思いつきのままに芸を命じられていたという。賑やかな音曲だけが、しばしば闇を渡って寝静まった村にも届くのだった。 「酒じゃ酒じゃーい!!ほれ長女!」 地上に在ってはムーンブルクの嗣君。今は夢の国きっての魔女、あきながあぐらを掻いたまま盃を突き出すと、傍らに立った金髪の少女が頬を染めながら脚を広げ、蜜壺に納めたシェリーを注いだ。白雪姫のあざな持つ娘はそのまま人肌に温まったのをがぶりと煽ると、おやじ臭い笑いを上げて、小人の”長女”を抱き寄せ、乱暴に唇を吸った。舌を潜り込ませて幼い口腔の粘膜を嬲ると、最前まで胎内に入っていた酒を移して嚥下させる。盃を持たぬ方の指はよくほぐれた菊座をまさぐって直腸を抉ると、酒瓶兼媒妁にくぐもった呻きを上げさせる。 「ふぁっ… 「うん?ちゃんとくじ引きで決めたんじゃない?役目果たしてね♪」 「…ぅ…もぉ…もぉ…養母さまのものでぇっ…してくださぃっ…」 不意に合奏が止む。笛も、鼓も、琴も。肌も露に楽器を手にしていたほかの小人が、一斉に潤んだ目付きで、白雪姫と仲間を見つめていた。 「ずるいよ!ねえさま」 「ぬけがけしちゃだめ!」 「だれが養母さまにだいてもらうかは、あとできめるって」 「やくそくしたもん!やくそくしたもん!」 黒髪の少年二人と、金髪の少女が二人。もう一人、まだもの慣れないようすの末子らしいのが兄弟姉妹の背後に隠れて、羨ましそうに長女と養親の睦み合いを窺っていた。しかし所作と呼び合い方を除けば、どれが上でどれが下か分からない。同い年のようだが、まさか六つ児でもないだろう。 「あは。もてて困るね。さてと…六人の小人じゃかっこがつかないから…七人目を作ろうって話なんだけど…」 好色そうに微笑みながら、あきなは、なおもへばりついている長女の尻を撫でる。ほかの五人が妬ましげにするようすが面白くてならないらしい。 「ぼ、ぼくが養母さまのおなかにこどもをつくる」 「だめ!にいちゃんよりぼくがさき!」 「…わ、わたしが養母さまのこをうむの!」 魔女はくっくと喉を鳴らすと、裸の脚のあいだに掌を当てて、モシャスの術を唱えた。たちまちギガンテスのものかと紛うでだらめな寸法の屹立が現れる。 「ほら。取り合わずにね」 そろって歓声を上げた小人は、秘具が特大の飴の棒でもあるかのようにしがみつく。黒髪の男の子二人は鈴口に鼻を付き合わせて吸い付き、長女と三女は太幹を伝う汗と先走り、兄弟の唾液をすすり、次女は末子を導いて根元の辺りに屈み込み、小振りな尻を並べて懸命に舌を使う。 「ったく…んっ…げんきだねぇ…ふぅ…」 シェリーを手酌でやりながら、養い児等の熱心な奉仕を見物する。ややあって、怜悧な面差しが興奮に染まり、喘ぎを漏らすと、噴火のように異形の剛直は白濁を迸らせた。直撃を受けた長男と次男がえずきながら貴重な賜り物を飲もうとするのを、ほかの四人が加わって、舐りっこを始める。 「ふふふ…そんなに喜ばれると照れるな…ではと…まぁ七人の小人で数が合わなければ十二のしもべでもいいか…まとめて可愛がってあげる」 魔女は嫣然として、盃を放り捨てた。 「おごぉ゛お゛お゛おおっ!!」 「んむっ…ほら♪やっと根元まで入ったんだからちゃんと動きな♪」 金髪の少女が白眼を剥いて喚くのへ、双生の妖姫が愉快そうに歌いかける。巨人と同じ大きさの逸物を、小さな腟が一杯に広がって包み込んでいた。未熟な三角形の胴は歪に歪み、胃の辺りまで剛直の形がはっきり見えるほど張っている。無毛の股間は在り得ざる異物の挿入に軋み、牡の機能を果たさない幼茎を弱々しくひくつかせていた。 あきなが種付けに選んだのは末子。生まれつき男と女の性を備えた半陰陽だった。ほかの兄弟姉妹はといえば、長男は養親の大きな尻に敷かれ、念願の蜜壺に雛菊を挿れたまま、座布団代わりに喘いでいる。次男は血のつながらぬ母の右拳を肛門に咥え、喜悦に泣きながら、さらに秘具に口淫まで受けていた。 長女と次女は、魔女のたわわな乳房にしゃぶり付いて、膝に股を擦り付ける。三女は養親の左手から愛撫を受けながら、長く伸びた紫髪を抱えて、うっとりと香りを吸っている。 「…可愛い…ちびども…あむっ……悪い魔女に虐められて…恨むなら…この眠りの森に…じゅる…産み捨てた…本当の母を恨みな…夫のために子を差し出した…あのばかをね…」 「ひゃぅ…うらまないっ…ぼくらにはっ…養母さまが…いるから…」 「さびしく…ないように…して…くれる…もの」 「ちゅぶ…んっ…だから…あっちの母さまをゆるして…」 「んむ…父…さまも…」 「…養母さまほど…強く…ない…から…」 「養母…さ…ま…すきっ…」 あきなは苦笑すると、快楽の呪文を口遊み、玩弄の強さを増す。六人の嬌声が輪唱となって可憐に響き渡った。 「あーあ…でもだめ。許さない。ふぬけの旦那も、勝手な女房もね…当分はこっちに来ようとしても蹴り返してやる。お前たちはまだ、ここで両親には会わせて…やらないよ」 すると黒髪の少年と金髪の少女、いずれもが蕩けた眼差しで相次いで囀る。 「うん…」 「かわいがって…」 「養母さまぁ…」 「あい…してます…」 「そばにいて…」 「ずっと…」 「はいはい」 ムーンブルクの王女が唱える魔法は網となって小人を捕え、比類なく強く、暖かく、優しく、包み込んでいった。 はるかなる夢の国。眠りの森の、お菓子の宮殿に、女首領が率いる恐るべき一味が住んでいた。金髪、黒髪、紫髪と、いずれも若く、ほんの童児も混じっていたが、剣も魔法も諸邦で右に出る者はなく、想うままにあちこちを荒らしまわり、富豪や貴顕から金銀宝石を巻き上げ、時には竜や巨人の巣窟さえ襲って怖れるところがなかった。よほどの悪党相手でも殺しはやらない代わり、精神が再起不能になるような、手ひどいいたずらを仕込んで颯爽と去っていく。 財貨を強奪した帰りに、月の旗を掲げて堂々と行進するそのさまに、まるでどこかの王族と郎党のようだと人々は噂した。頭目の雪の膚と血の唇、波打つ苧環の鬣は雄々しくも麗しく、目にする者に畏怖を呼び起こさずにはいられなかった。さらには勇壮、剽悍にして美しい配下の多さも相俟って、一味はかく呼ばれた。 白雪姫と三十人の盗賊と。 |
[小説目次へ] | ||
[トップへ] |