「もうこの夢は見ないんじゃなかったの!?」 「寒い」 泣き笑いする四肢のない双生の妃を、幼い王子は容赦なく逆さにすると、大きな漏斗を後ろの孔に挿し入れた。 「ひゃっ…冷たっ…」 「すぐ温かくする」 さらに白湯よりやや熱した紅い粉の入りの薬湯を、柄杓で掬って漏斗に流しいれていく。 「にゃ?あづあづあづ!!!やめなさい!こら!ズィー!!いぎっ!!」 例によって兄だか姉だかぶりたがる相手を、秘具の輪飾りを捻って静かにさせると、どんどんと注いでいく。やがて半陰陽の娘の腹ははちきれそうなほどになり、大桶は空になった。折角詰めたものが出ないようにと、漏斗を外し、下着のような拘束具と一体になった太い栓で菊座を塞ぐ。 「ひゃひこひぇぇ…ひりひり…ひりひりしゅるぅ!!」 「デルコンダルから取り寄せた…何とかの爪という温かくなる薬だ。だけど辛かった。だから飲むのは無理だった…」 「ひぎゅ…しょ…しょしょれをぼくにぃ?きみってやつはぁ…あぐぅ…おにゃかぁ…おにゃかじゅうがひりひりしゅるぅ…だしゃしぇてぇ…だしゃしぇてぇ!」 あどけなさの残る顔やたわわな乳房、妊婦のように丸々とした胴、切り株の手足と、そこらじゅうがちょうど蒸し風呂にでも長く入ったように、赤みを帯びていく。苦しげに身をもがく金髪の伴侶に、黒髪の童児は手をかざしながら、考え込みつつ眺めた。 「…熱くはなってきた…けど……」 全身の毛穴から汗を噴いて、高貴の奴隷はまるで油を塗られたように肌をてからせている。年若い主人は、関節から先のない腕を上げさせ、脇の苅り揃えられた金毛を嗅ぐ。 「うん…いい匂いだ。へいきだ。寝れる」 毎日のように香り草と花をどっさり入れた湯を使わせ、より濃い汁での浣腸も欠かさず、腟と腸、臍にはいつも香玉を入れ、食事も特別に調整している。嫁の体臭は寝室の調度として、最も好みに合うよう整えておくようにと、父は助言してくれた。 「うしょらぁっ!しょんにゃの…あぐっ…じぇったいこどもにょ…ちしきじゃにゃひぃ…あぐうう」 「本当は…バズズが…下界から仕入れた本に書いてあった…やっと母上のよい匂いの理由が分かった…」 うすぼんやり答えてから我に反ると、短躯には似合わぬ怪力で、白い繻子の寝台へと連れ合いを放り上げる。ぼふんと着地した衝撃でまた腹中を攪拌され、半陰陽の娘は再び泣き叫んだ。 「ふぎぃぃ!おにゃきゃやけりゅう!!やけちゃうかりゃああ!!」 「温かそう」 王子は服を脱いで畳むと、妃の一回り大きな躰を敷布代わりにして乗っかる。次いで齢に似合わぬ剛直を当然のように秘裂にあてがった。臓腑を掻き毟る香辛料入りの湯にもかかわらず、肉襞は開いて、山吹の叢を露に輝かせている。 「んしょ」 声変わり前の喉で小さく呟くと、年若い主は太幹を産道に捻じ込んだ。ただでさえ上にのし掛かられて、浣腸済みの腹が重く苦しいのに、さらに腟ごしの圧迫まで加わっては奴隷もたまったものではない。 「んにゃあああああ!おにひぃいいい!!ふぎゃあああっ!!!あぐうぅっ…!!」 「温かい」 毛布と掛布を引きずり上げながら、ローレシアの世継ぎは幸せな夢の中の睡み、すなわち夢のない眠りへと落ちていった。サマルトリアの元摂政だけはいつまでもいつまでもすすり泣きと喘ぎを漏らして、湯たんぽにされた生き達磨の体を揺すっていた。 「うわあああああ!!!!」 ロンダルキアの闇の后はがばと身を起こすと、慌てて両手両足を確かめた。側では昨夜遅くまでしつこくがっついていた夫が、少年のような寝顔でいまだ眠っている。 「う…ひきょうな…ひとだなぁもう…」 「んむ…湯たんぽ…」 「ふぎっ!?」 思わず臥所の縁へいざろうとすると、いきなり長い腕が伸びてきて抑え込まれる。 「逃げんな…湯たんぽ…」 「ひぃ…もういやぁ…何で変な夢ばっかり見るんだよぉ…!」 トンヌラが嘆く横で、ズィータは依然睡みながら、ぬくぬくと幸せな冬の暖をとっていた。 |
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