The Mother's Day

「今回の提携交渉もうまくまとまりましたね」

「ご苦労様。シュガーとハニーが二人で頑張ってくれたお陰だよ」

エプロン姿の妻が料理を運びながら話しかけると、ソファーに腰掛けた夫がにこやかに応じた。股間には一匹の雌が鼻先を埋めて、幸福そうに肉棒を頬張っている。柳井家のいつもの団欒風景だ。

「ほとんどシュガーのお陰です。あちらの担当者はとっても気に入られてヘッドハンティングを持ちかけられてました」

「それで何て?」

「会社と主人を愛しているからできないと。埋め合わせに随分熱心に尽くしていましたけど」

「すばらしいな。ビジネスパーソンの鑑だ。偉いなあシュガー」

主人が頭を撫でると、奴隷はうっとりと目を細め、肉置き豊かな尻を振って喜びを示す。

聡子はおかしそうに口元に手を当ててから、伴侶の耳元に顔を近づけて囁いた。たちまち彫りの深い面立ちが笑み崩れる。

「そうだ。一生懸命に働くお母さんにご褒美を上げないとね。丁度いい日だ」

含みのありげな言葉に、三江が口をいっぱいにしたまま怪訝そうな上目遣いをするのを、楽しげに見返すと、柳井は強かに欲望を放った。


朝の光のもとで、三江は立ちつくしたまま拳を握りしめていた。久しぶりに家に戻ると、居間には贈り物が置いてあった。

生きものだった。滑らかな素肌をピンクのリボンで縛り上げ、首にも手首にも足首にも、果ては左右ふたつに分けて縛った髪や、投薬によって育てられた幼くも逞しい秘具の根元まで蝶結びで飾った、子供。痩せがちな体格に似合わず腹は妊娠したように膨らみ、胸もどことなくふくよかになっていた。菊座には冗談めいた大きさの丸い栓が嵌っている。

「章一…」

呼びかけると、硝子玉のように澄んだ、しかし光のない双眸が母を認めて瞬く。猿轡の嵌った唇から呻きが零れる。近寄って外すと、掠れた喉から語句がこぼれる。

「ぉかあ…さぁん…」

少年の声に反応したかのようにテーブルのタブレットが起動し、伝言を再生する。

“やあシュガー。ここのところリトルシュガーを会わせなくて済まなかったね。彼はとても物覚えがよくて、もう君に負けないぐらいのスラットだ。今日はシュガーへのご褒美に一日レンタルしてあげよう。下ごしらえはしておいたからエンジョイして。ちなみにお尻のはトウーアワーズで抜けるけど、無理に外そうとすると怪我をさせるからね”

リボンをほどいてやりながら、母は歯噛みして陽気な説明に聞き入る。息子は胸にしがみついて、喘ぎながら乞うた。

「ぉかぁさ…おねが…おしりの…とって…」

「章一落ち着いて」

「おなか…ぐる…ぐるじっ…ぶるぶる…入っ…ぃぎぃっ!!!」

慌てて満月のようになった臍の辺りに耳を当ててみると、たぷんという水音と、腸内で暴れているらしい機械の蠕動音が幾つも聞こえた。

「ぉかぁさ…おねが…おねがい…とって」

「待って…くっ…」

菊座を塞ぐ瓜のような器具を外そうと手がかりを求めて表面をひっかいたが、まるで受け付けない。ずっといきんでいたはずの章一が排泄できていない以上、外す方法は壊すしかなさそうだったが、周りの括約筋を傷つける恐れがあった。

助けを求める我が児に何もしてやれない絶望に髪をかきむしりたくなってから、女親は思いあまって口づけをすると、細身に似つかわしからざる巨根に指を絡めて扱いてやる。

「んんぅっ!んっ…んっ…」

快さで少しでも苦しみを紛らわしてやろうと、日々の奉仕で愛撫に長けた指で腹をさすり、秘具をくすぐり、舌で口腔をねぶっていく。少年は薬のためか、あるいは、ずっと男に弄ばれていたためか、ちょっとした刺激にも過敏なほど反応する。

全身に気を散らさせようと、そこかしこにキスの雨を降らせながら、あまりに容易く弄べる息子のようすに、母はつい頬を染めてしまう。まるでいつもビデオで見せつけられる己の姿を鏡映しにしたかのようだった。

「ぉかあさ…ら…めぇっ」

「だめじゃない。お母さんに任せて」

力なく横たわる章一を眺め降ろして、三江は上着を脱ぎ、ブラウスのボタンを千切るように外して袖を振り捨て、ブラジャーを取り去ると、たっぷりした胸鞠を自由にする。屈み込んで谷間に剛直を挟み込むと、先走りを潤滑液代わりに捏ね広げ、左右から揉みしだき、鈴口に溜まった雫を吸う。

「ひぁっ」

偽りの孕み腹を浮かせて、子供が海老ぞりになると、女親はいっそう熱心に柔肉で太幹を包み込みながら、尋ねかける。

「気持ちいい?ちょっとは楽?」

「ぁ゙…ぁ゙っ」

幼い牡は涙ぐみながら、どうにか顎を引いて頷いてみせる。雌はほっとしたような表情を浮かべ、いきなり亀頭を咥え込むと、頬を凹ませて吸い立てる。裏返ったボーイソプラノの嬌声とともにあっけなく精が放たれる。

母は大量の迸りを口に含み、じっくり味わうと、恍惚としてから我に返り、普段の躾け通り唇を開いて、舌に載せた白濁を見せつける。しかしいつも他の男に対してしている時と異なり、屈従の印というよりは、征服の証のような、勝ち誇った気配があった。

息子は呼吸を乱しながら、疚しさと恐ろしさの入り交じったような眼差しで淫らな光景に魅入った。だが不意にまたのローターが暴れたのか、弱々しく喘いで瞼を閉ざす。

三江は血の繋がった相手の子種を飲み干すと、タイトスカートのホックを外し、艶めいた仕草のかけらもなく素早く脱ぎ捨て、びしょ濡れになった下着を剥がし、すんなりした脚を引き抜いた。次いで、あおむけのまま重たい胴を抱えて苦しむ章一をまたぎ、萎えた若茎を掴む。

親が軽く裏筋の当たりを指でなぞってやるだけで、子供の逸物はまた屹立した。

誘われるように、がに股になった女の脚はさらに曲がり、双臀が降りると、早くも蕩けきった蜜壺にゆっくり肉杭をめりこませていく。

「ぁっ…ん…」

目的を見失ったかの如く、純粋な歓喜に囀ってから、成熟した雌は髪を振り乱して、下半身を一息に打ち付け、根元まで未熟な雄の印を受け入れると、きつく締め付ける。そのまま、内側から振動する腹を両の掌でさすってやりながら、我が児を眺めやり、あどけない容貌が眉間の皺を解いて、陶然としているのを認めて、自然に頬を緩める。

「しょぉいち…」

「ぉかぁさ…」

「章一…ふふ、んっ…動くよ…」

告げると腰をひねり、揺すり、跳ねさせて硬く熱く脈打つ巨根を膣の粘膜すべてで満喫した。胎児の揺り籠となるべき場所を固い穂先が鼓つたび、爛れた喚きを奔らせる。母は髪を振り乱し、乳房を上下させ、汗の飛沫を午前の優しい光に煌めかせつつ、夫の前でも、カメラの前でも、仕える主人の前でさえ見せた試しのない華やいだ様相で我が児と番った。

「章一…章一、章一ぃ!!」

存在を確かめるように名を呼び、産道で快楽を搾り取ながら、女の手は無意識に少年の膨らんだ胴を指でなぞり、慈しみ、いたわる。

悶えと悦びの交差する輪唱の涯に、二人は同時に官能の窮みに達した。どちらも陶磁の如く滑らかな膚がびっしょりと濡らして折り重なる。女親はうっとりとしながらも、息子をすっぽりと両腕のあいだに収め、その腸を絶え間なく襲い続ける機械の責苦を封じ込めるように、固く抱きしめた。


指定した時間が経つと、アナルプラグは空気の抜ける音をさせて縮み始めた。少年は風呂場の壁に手をつき、両脚を八の字に開いて、出産時の妊婦のようにふうふうと息をはきながら、使い込まれてなお薄桃色をした粘膜をめくらせ、硬質の塊をどうにかひりだし終えた。長く広がったままでいた括約筋は、驚くべき強靱さでまたつぐむ。

「すご…」

後ろから見守っていた母はつい独りごちてから、しまったと口を噤んだが、たちまち子供は耳まで朱に染めてタイル張りの壁に叫ぶ。

「あっち行ってて!!」

「だめ。ちゃんと全部出るか確かめないと」

冷徹な話しぶりは日常のそれと変わらなかったが、珍しく反抗した我が児に対して、覚えずして意地悪な響きが混じっていたかもしれなかった。

「何でっ…お母さん見ないでよっ」

「いいからほら」

三江は黙らせるように目の前の尻朶を平手打ちする。いつも主人から受ける折檻を真似るように。思ったより力が入ってか、やけに小気味のよい音がする。とたんに章一はうずくまり、水音とともにとろみを帯びた透明な液体を溢れさせ、ついで固い響きをさせて、小さなカプセルを次々と転げさせていく。

どれも親指の先ほどの大きさだが非常な激しさで振動し、浴室の床を跳ね回った。優に二十を超えている。肘を抱き背を丸め、無防備に尻を浮かせたまま、排泄を続ける息子に、女親は胸の辺りに拳を当て、眉を顰めながら、しかし頬を上気させて魅入る。

「こんなの…入ってたのか…」

呟くと、無言の啜り泣きが返ってくる。母は玩具を素早く数えてから尋ねた。

「何個入れられたの?」

「…っ…ぇっ…?」

「玩具、何個入れられたの」

「…さ、三十個…」

「間違いない?」

子供は消え入りそうな声で答える。

「数えた…三十個…頑張れたら…お母さんに…会えるって」

しばらく静けさがあってから、母はまた淡々と告げた。

「…二個足りない」

「ぇ…でも…ぶるぶる…止まって…」

とまどいつつ肩越しに省みる章一に、三江は抑揚のない口調で言った。

「多分電池切れたんだと思う。立ってお尻こっち向けて。取って上げるから」

「やっ…いいよ…あとで」

「だめ。電池入ってるやつだから。そのままにしてちゃだめ。ほら」

「や…だよ…」

「章一!」

鞭のような叱責に、少年は首を竦ませ、先ほどのように壁に手をつき、わななく脚を広げて腰を突き出す。女親は声がうわずらないよう努めつつ続けて命じる。

「見えない。広げて」

そっくりの指示をいつも接待の場で与えられているという考えが脳裏をかすめたが、止められなかった。

すると幼い奴隷は首から上を酸漿のようにしながら、壁に付いていた両腕を後ろに回し、小振りな双臀を割り広げて、ぽっかり開いた肛門を露わにする。柔穴は腸液を涎のように垂らし、粘膜まで覗けそうな仕上がりだった。

「これで…見える…」

「うん」

心臓が早鐘を打つのを悟られまいと、先輩奴隷は過剰なほど無愛想に振る舞いながら、屈み込み、未熟ながら開発され尽くした排泄口を凝視する。口づけできそうなほど顔を近づけて、熱い息を吹き込むと、氈鹿のような脚が引きつり、かそけき悲鳴がこぼれる。

「おかぁさん!そういうのやめてっ」

涙のせいで鼻にかかった抗議を、聞いているのかいないのか、三江は病みついたかの如き視線で章一の恥部を見つめ続ける。

「うん…トイレでするみたいにいきんで」

白魚のような指をひくつく後孔に伸ばし、慎重に沈ませていく。熱さと湿りと軟らかさが包んで、第一関節から先が溶けてしまったかのような錯覚に襲われる。一本、二本、三本、四本と、粗野な男の玩弄に耐えるよう調教された菊座は繊細な女の手を容易に呑み込んでいく。

「おがぁ…さっ…ぬいで…も゙っ…むり゙…」

えづくようにして懇願する息子を、母は短く励ました。

「もうちょっと」

とうとう手首まで埋めると、ひねるようにしてさらに奥へ入る。狭い子供の体内だけあって、結腸まで達したろうか、小さなカプセルに指が触れ、摘むと、またゆっくり引き抜く。

「はい、一つとれた」

「あ゙ー…あ゙ー」

口を大きく開けて、よく分からない喘ぎを零す子供に、女親ははっきり嗜虐に歪んだ声で囁きかける。

「もう一個あるから」

喋り方は隣人夫婦が、獲物を追い詰める時によく似ていた。ツインテールの髪を振って嫌々をする幼い奴隷を、先輩奴隷はまた尻叩きで窘める。

すると、ぐずりながらも、華奢な体は素直にまた後ろをもたげた。再び腕が直腸にめり込み、今度はさっきよりも時間を掛ながら内側を探り、動かなくなった玩具を捕らえて退く。

限界まで拡張された括約筋はしかし、異物がなくなると何事もなかったのように縮んでいく。これもまた投薬の効果だと、母は己の身で知っていた。

「これでおしまい」

うずくまってしゃくり上げる子供の肩を抱いて、頬に接吻し、穏やかに語りかける。

「がんばった」

「うん…」

「お風呂入ろうか」

「う…ん…」

給湯を命じてから、女親は息子を立ち上がらせ、あまり広くない空の浴槽に移る。軽く舌の触れ合うキスをすると、器用に脚を開いて落とし、剛直を秘裂に導いて、繋がりながら湯船の中に填り込み、二人で一匹の蛹と化したかの如く密着した。御影石を模したアクリルが四方を囲む空間は、身動ぎする余地もないほどだったが、ただ互いにしがみつくだけで十分だった。

飽かず唇を吸って唾液を与え合い、甘露の如く味わいながら、体温ほどのぬるま湯が浸していくのを感じてまぶたを閉ざす。

「しょーいち」

母が呼ぶと、子供は疲労の澱がたまった瞳でぼんやり見つめ返す。

「なぁに」

「ふふ。何でもない」

戯れに柔らかな耳をかじると、腕の中に捉えた矮躯が緊張するのが分かる。

「痛くするのは…やめて」

不平を述べるあどけない唇を素早く接吻で塞いでから、もう一度同じ場所を噛んで告げる。

「固くなってる」

蜜壺に収めた秘具を締め付けると、声変わり前の喉がまた甘やかに啼いた。

「うん…」

許しを得たとばかり、三江はまた耳を食みながら、指を滑らせて章一の菊座に潜り込ませる。一本、二本、三本。寛げて直腸に湯を導き入れながら、力なくもがく華奢な肢体をしっかりと抱き締めて押さえ込んだ。

「そこや…やだっ」

女親は耳を噛んだままぐいと引っ張ってから、ねだるように囁く。

「したい。させて」

「ぇえっ…ぇっ…」

惑乱する息子にたたみかけるように問う。

「だめ?」

「う…ぁっ…ぅう…」

思い乱れた少年は、たわわな乳房に頭を伏せて表情を隠すと、もごつきつつ返事をした。

「じゃぁ…ちょっとだけ…いいよ…」

「いっぱいしたい」

「ぃ、いっぱいすれば!」

やけになって叫ぶ章一に、三江はくすくす笑ってまた玩弄を続ける。

「うん…章一のここ…指、咥えてくる…赤ちゃんみたい…ふふ…おしめ…お父さんが替えてたから…ここ…あんまり触ったことなかった…」

「んっ…んっ…」

答えの返しようもなくなり、子供はうつむいたまま溢れそうになる嬌声を押し殺す。母は膣を満たす若茎と、絡みつく直腸粘膜の感触を同時に楽しみながら、いっそう口元を綻ばせる。

「また固くなった」

「知らない…」

「ここ?」

人差し指が前立腺を押すと、細い背が弓なりになって、胸と胸が強く押しつけ合った。湯船の中で水をはねかす音がやかましくなる。

「ここか」

「や、ぁっ、ぁっ、ぁっ!!!」

女親が急所を容赦なく突き続けると、息子は電撃を流されたように痙攣して首をそらせ、舌を突きだして金切り声を放った。

「ひぃぃぃぃっ!!!」

「んっ…いいよ…出しちゃいな」

ひときわ強く性感帯を抉ると、幼い奴隷は三度射精する。先輩奴隷は恍惚と目を細めて、命の素を受け止めた。

唐突に給湯が終わったことを示すチャイムが鳴る。気怠い余韻に身を任せながら、三江は懐かしい胸の疼き、夫と初めて会った頃と同じ息苦しいときめきに喉を詰まらせる。震えながら肺に溜まった空気を吐き出し、喘ぐ我が児のうなじを撫でつつ、頭を振る。叶わぬ、叶えてはならぬ恋を振り払うように。


深更にはもう、幼い雄の躰は薬のもたらす活力ですら打ち克てないほどに困憊しきって、昏睡に似た眠りに落ち込んでいった。

しかし大人の男に抱かれ慣れた雌はなおも飽きたらず、情欲の駆り立てるままに萎えた秘具にむさぶりつき、口で一度、膣で一度子種を搾り取った。すんなりした脚を乳房の間に抱え込んで、親指と人差し指の間をねぶり、恍惚と子供の汗の匂いを嗅いでから、やがて辛うじて理性の箍を締め直し、さんざんに貪った餌食を解放する。

名残惜しげに身を離して、ガウンを羽織ると、汚れていない布団を敷いて、死んだように寝入った息子を移し、しっかり掛布をかけてやる。まだ性別の定かでない容貌を窺うと、ふと良人の面影を重ね見て目を逸らし、居間へ向かう。

飲み物をとろうとして冷蔵庫の扉を開き、一番下の段の奥に紙箱が入っているのに気付く。誰かに見つかるのを恐れて隠したかのような配置に、ふと手を伸ばして取り、蓋を開ける。

中には折り紙が入っていた。緑と赤の組み合わせで作った花が、五輪ほど。やや拙いが、折り方を手ずから教えたから、形が何を象しているのかすぐに分かった。

そっと掌に載せて、あるかなきかの重さを確かめるように持ち上げてから、また箱に戻す。握り潰してしまわないように、破り裂いてしまわないように。

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