畜従の少年王子・表紙
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Acid-Alkali Hospital Power
本文:帽子男(Acid-Alkali)、挿画:おばたやよい(Hospital Power)
当作品の無断転載等を禁じます。

畜従の少年王子・冒頭

迷宮ラビリントス夜闇ニュクスのつばさがつつんでいた。雲のとばりのためか、天からはわずかの明かりもとどかなかったが、そこかしこに衛士のともす灯が地上の星のごとくまたたき、羊の腸を思わせる、いりくんだ防壁の輪郭をほのかにしめして、あるいは幾重もの守りのもとでまどろむ都のすがたをうっすらと浮かびあがらせていた。

ひときわ多くの光が集まっているのは、中心の丘にたつ御殿だった。遠目にはかがやく巨大なたいまつともまがうまばゆさだったが、城内は墓所のごとくひっそりとしずまりかえっている。

ただ、あざやかな緋にぬられた柱がならぶ広間のいや奥、王の御座所では、しじまをかき乱すかすかな空気のそよぎ、みだれた息吹きが聞こえていた。

炎があまたの影をおどらせる高壇では、うねる潮とからみあう娘ら、半獣半魚を彫りあげた御影石みかげいしのいすに、かぐろき君主は腰かけていた。ねじれ角をはやした雄牛の面のかぶとをかぶり、おもざしはうかがい知れない。かたいいわおにかわって肉をもって海神ポセイドンの姿をけずりだしたかのごとき体躯は、微動だにせず、片手につかんだ土器かわらけにみちる葡萄酒はかすかにさえ波だたない。

船索をよりあわせたようなたくましい両脚のあいだには、ほっそりとした影がひとつうずくまっていた。橄欖かんらん色の肌をあますところなく夜気にさらした、ほそみの少年。ちぢれた赤褐の髪をゆすり、大蛇のかまくびじみた逸物へそばかすの浮いた鼻をこすりつけ、いとしげににおいをかぎ、舌でえらをなぞり、裏筋をなめあげ、ついにふっくらしたくちびるをひらいて、のどのおくまでのみこむ。

「巧みになったものよ。あるいは、これまで出しおしみをしていたのか?アテナイでは王の子にまで男を喜ばす技をしこむとか」

あざけりのこもった賛辞に、寵童は太幹をほいっぱいにおばったまま、まるみをおびた尻をふりたて、もごついた声で答えようとする。

すると有角の王は、ごつごつと剣だこのできた掌で相手の頭を軽くなぜ、ひたいのあたりをさぐってなにかを確かめるようにしながら、だまって奉仕をつづけよとの合図をし、また語句をついだ。

「シティアにたたせた使者が帰ってきた。生贄の貢納はいますこしまてと、返事をもってな」

迷宮の司は仮面をのけぞらせてひくくわらった。股間でけんめいに口淫をつづける稚児は、話を聞いているのかいないのか、ひたすらほほへこませ、舌をろうとのようにつかって先走りを吸っては、熱心に頭を前後にふっていた。

「時をかせいでなんとするつもりか。あるいはアテナイのごとく、おろかなくわだてをかくしておるのか」

ひとりごちるように告げた異貌の君主は、ひじかけに片腕をあずけ、こめかみにひとさし指と中指をあてて、じっと物思いにしずむ。一糸まとわぬ少年だけが、うすくらがりにおよぐ魚めいて腰をくねらせ、ひきしまった尻をふって歓喜をしめしながら、肉竿にむしゃぶりついていた。

やがて、まえぶれもなく剛直が白濁をはなつと、つぶらな瞳がせつなのあいだ驚きにみひらいたが、たちまちうっとりと細められる。同時に、乙女のささげもつ水さしにもにた優美な首の、のどのあたりが動いて、音を鳴らしつつ、ねばつく命の素を嚥下していった。

男の欲望すべてを胃の腑におさめた少年は、ゆっくりと竿を口からひきぬいていく。濡れたひびきとともに、くちびるからはなすと、今度は宝物をみがきあげるようなていねいさで後しまつをはじめた。すばやく、やわらかなくちづけの愛撫に、屹立はつかれを知らぬごとくよみがえると、まだ、おさなさののこる鼻先を、いきおいいよくたたく。

「ふひゃっ?」

まのぬけた嬌声をあげつつ、ふたたび隆々とした逸物にみいる稚児を、牛面の王はわずかな手ぶりでさしまねく。

「ひざにのるがよい」

「はい、おとぉさま」

おもねるような答えとともに、若柳の枝をよりあわせたかのような四肢がたわんで、はねると、猿とまがう軽やかさで、玉座の巨躯へとまたがった。小ぶりな双臀を、おのれのほっそりした指でつかみ、割りひろげると、腸液に濡れてひくつく後孔を外気にさらし、かそけく啼いてから、魁偉な亀頭にあてがい、ゆっくりと腰をしずめる。だが途中で感きわまったかのごとく、きゃしゃな背がうしろにしなってこわばり、両眼はなかば白眼をむいて虚空をあおいだ。

「ぁぉっ…ぉっ」

「おかしなものよ。こちらの方は、あれほどかわいがってやっても、まだ手こずるか」

からかうようなつぶやきがこぼれると、武器をにぎるのになれたたくましい腕が、やせた腰をとららえ、むぞうさに引きずりおろし、肉杭を根もとまでくわえさせてしまう。

「ひきぃいぃいいっ!!!」

声がわり前の喉から悲鳴をほとばしらせると、寵童はたおれこみそうなほどのけぞり、手足をけいれんさせた。もはやあどけないかんばせに、媚びた笑みを浮かべるゆとりもなく、ただ、あえぐばかりだった。

だしぬけに柏葉のような掌が空をよぎって、ふくよかな尻たぶをようしゃなく打ちすえると、ひくくおもい声が命じる。

「やすめとはいっておらぬぞ。動け」

「で…でもぉ…おとぉさま…ぎゃんっ!!」

かたい手が、また弾力のある臀肉をたたき、口ごたえを封じる。

少年は頭のうしろで左右の肘をつかんで腕をくみ、上半身をひねり、下半身をはずませてはまたしずめた。排泄のための穴に異物をむかえいれ、いたいたしく粘膜をめくれさせながら、いささかでもあるじを楽しませようと、のぞんで臓腑のおくふかくをえぐらせる。

迷宮の司はがぶりと暗紅色の酒をあおると、土器を石床へたたきつけてこなごなにし、稚児の腰づかいに合わせて左右の掌をふるい、血が鬱するまで尻から太腿にかけてを折檻する。

「あぎぃっ…おどぉざまぁ…も゙……もぉっ!!?」

「痛みがこころよいか?ではぞんぶんに味わえ」

ごつい指が、寵童の股間に張りつめた幼茎にのび、先端をつねりあげると、魂消るような絶叫とともに、わずかな精液がはぜさせる。

君主はからからとわらうと、丸太のような腕で、もろげな肢体を抱きつぶし、立ち上がると、骨をもくだけよとばかりのはげしさで突きあげににかかった。泡をふいたいとけないくちびるが時おりもらす、命ごいのようなたままやきを聞きながしながら、まるで快楽を得る玩具かなにかのごとく扱い、ただえんえんと、たがやしつくした菊座をまた掘りかえす。

雄牛のいななきににた咆哮が、いくどか御座所をふるわせ、たいまつさえゆらがせたが、交合は終わるけはいすらなかった。剛直は子種をそそいでも、直腸におさまったまますぐに活力をとりもどし、また未熟な体内を攪拌する。

魔人の荒淫は、太陽ヘリオスの戦車が、東の山のはをうすむらさきにそめるまでつづいた。

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