9.
「はぐぁあっ!だめっ!しげきすると,ぶるーすらいむ,どんどんぶんれつしちゃいますぅっ♪しきゅうも,だいちょうも,もうぱんぱんになっちゃいますぅっ!」
「うん,でも,まだ胃が残ってるよリフォル.頑張って,そう,君は,あの,魂砕きの,原料,ね,製造器,みたいなもの,だし.これから,そう,沢山の,娘に,スライムを,産み付ける,ね?」
「ああああっ,はやくっ,うみたい,うみつけたいっ!みんなにっ!」
「そうだね,でもその前にね,君が狂う前,手を出さないよう,泣いて頼んだ子.絶対,傷つけてはいけない,ええと,預かり物の,お姫様」
「じぜる?わたしのじぜるでしょ?あのこには,てを,ださないでください.あのこは,とくべつなこなんです…ほかのえるふは,ぜんぶおかして,ころしますからぁっ」
「うんうん,うん.ジゼルを捕まえたら,そう,魂砕きを打って,ええと,兵士達の玩具にしよう.ぼろ雑巾みたいになったら,君にあげる」
「いやぁっ!どうしてぇっ!?,わたし,ここの,みちもおしえたしっ,もりを,ねむらせるのも,やったのに…やくそく,まもって」
「えーと,本当に,うん,リフォルは,頭が悪いね.そんなの,まぁ,嘘,でしょ,普通?だって,結婚する,その,前から,長い年月かけてさ,冒険者として,名声を得て,エルフの,友達になって,ずっと,計画,してたんだよ.僕等人間より,長生きする,種族なんて居らない.うん,全部,壊すよ」
男爵は,ぽんぽんと鼓でも打つように妻の腹を叩くと,騎馬に一鞭呉れて飛び出し,ゆっくり片掌を空へ向けた.
「炎の地獄(ヘルズ・バーン),2倍掛け(ダブル・バインド),4倍掛け(テトラ・バインド),8倍掛け,16倍掛け,32倍掛け,64倍掛け…」
詠唱に答え,太陽を偽る巨大な火球が虚空に膨らみ,赤から青へ,青から白へと変色し,伸縮を繰り返す.背後の臣下達は,唯々巻き込まれまいと必死で激を飛ばし,味方を退らせる.
「1024倍掛け…さ,燃えちゃえ」
超気体(プラズマ)の塊が大量の物質を分解しながら,森を食い千切る.魔導師は大気の悲鳴に耳を傾けながら,幸福そうな微笑を浮かべた.
「あー,その,早く出ておいでね,ジゼルちゃん?隠れる所が,ん,なくなっちゃうぞ」