お仕置きだよ。 卯月に入り、熊野の桜はもう満開。 空を舞う花びらと共に、バタバタと足音をたてて君がやってくる。 「ヒノエくん!聞いて聞いて!」 「どうしたんだい?姫君。満開の桜が驚いてしまうよ?」 「その桜の事なんだけどねッ! さっきお散歩してたら、真っ白な桜見つけちゃったんだ〜!一緒にみにいかない?」 そんな愛らしい笑顔で聞かれたら、いやだなんていえるわけないだろう? まぁオレは君のお願いを断るなんて無粋な奴でもないけどね。 「俺を置いて一人で散歩に行ってたのかい?」 「あっ…ごめんね?だって、ヒノエくんお寝坊さんなんだもん。」 ふてくされて見せると、君は少し困った様に機嫌を伺いに近寄ってくる。 君の色々な表情が見たくて俺はこんな子供みたいな事してるのかな…? 自分の行動に自問自答しつつ、ヒノエは望美と目を合わせ、笑顔を作った。 「白い桜か…みたことないな。 花見がてらに行こうか?神子姫さま。」 「で?白い桜は何処だい?」 熊野の山の中、満開の桜の木が空を覆っている。 そんな桜の屋根の下を2人は手を繋いで、歩いていた。 「ふふふ…!実はね、嘘なんだ〜〜!」 「え?」 「今日って4月1日じゃない? 私の世界だとエイプリルフールっていって嘘をついてもいい日なんだ♪」 大成功!とばかりに無邪気に笑う望美。 また、やられたみたいだね。 2人の関係は俺が主導権を握ってる様だけど、実はまだ決着がついてない。 この駆け引きが楽しかったりもするんだけどね。 でも、今日の俺は違うネタを一つ持っている。 「ふ〜ん…じゃあ、今日が俺の生まれた日だってしってたかい?」 「えっ……!ヒノエくん、今日誕生日だったの!?」 目を見開いて驚く望美。 くるくる変わる君の表情。本当に可愛いね。 「譲が、誕生日は贈り物を貰える日だって聞いたけど、神子姫様からは何か貰えるのかな?」 「もちろん!!でも、何にも用意してないや… ヒノエくんは何が欲しい?」 俺は困った様に考え込む望美の顎を掴むとそのまま上を向かせてキスをする。 そして、そのまま耳元に唇を寄せ――― 「満開の桜の下で、君を抱きたいな。」 顔を真っ赤にする望美。 これから、するであろう快楽によがる望美の表情を想像しながらヒノエは薄く笑う。 今日は君の色んな表情を引き出せた俺の勝ちかな? 「さっきの嘘の分のお仕置きもあるから、望美に拒否権は無いよ?」 「ちょ…ヒノエくん!!!!」 誕生日の件も君を頂く為に黙っていたんだけどね。 まさか、ここで君を抱ける事になるなんてな。 さぁ、お仕置きだよ。 |