味見、かな…。





カシャカシャカシャ



オレは朝の日差しと何かが何度もぶつかる音で目を覚ました。

昨夜の行為の激しさをを物語るように、寝ている布団のシーツは大量の皺をよせているが、激しく愛した相手の姿が隣にない。



望美?



シーツにはすでに温もりすらなく、オレはまだ覚醒してない身体をむりやりおこした。

オレとしたことが、寝過ごしたかな?

そんなことを考えながらオレは妙な音のする台所へ足を向ける。

オレの知らない音や感覚はすべてオレの神子姫様が連れてくるものだから。



「おはよう神子姫様」

「あっおはようヒノエくん!でももう昼だよ?」

望美は手を止めにこりとオレに笑いかけてくれる。

春に咲く満開の桜よりも美しく可愛らしく笑う望美にオレの頬はゆるむ。

「ごめん。寝過ごしたみたいだ。あんなに可愛い神子姫様を昨日みてしまったから、頑張りすぎちゃったみたいだな。」

オレは望美の綺麗な長い髪を一束手に取り、口づけた。

昨夜の行為を思い出したのか望美は顔を赤らめて恥ずかしがる。

それを隠すように手元をまた動かしはじめた。



再びカシャカシャと響く音はオレの耳にはやっぱり馴染みが無くて、望美の手元をのぞき込んだ。

深めの皿の中に白い液体状の物が泡立てられている。

「何を作ってるんだい?」

「生クリームだよ!」

「なまくりーむ??」

「うん。乳製品っていったらわかるかな?」

「牛乳とか?」

「そう、その系統!だけど甘いんだ〜!

急に甘い物食べたくなってどうやったら作れるかな?って譲くんと話してたんだけど、

そしたら景時さんが泡立て器を作ってくれて!」

他の男の話を嬉しそうに話す神子姫様にちょっぴり嫉妬心を感じたけれど、望美の嬉しそうな顔は好きだから我慢する。

「へぇー景時もやるじゃん。」

「形教えたら、すぐに作ってくれたんだよ!凄いよね〜!」

「で、これどうやって使うんだい?」

ひょいっと望美から景時の発明品を取り上げてオレは眺めた。

「これでこうやって泡立てるんだよ。そうすると固まってくるの!!」

神子姫様はオレの手をとって、使い方を教えてくれた。

その手の温もりがとても暖かくて、オレをイケナイ気持ちにさせて…

「あっそろそろいいかな?ヒノエ君味見してみる?」

指であわを掬うって食べてる望美の顔はとっても幸せそうで。

「そうだね。でもオレは望美を味見、かな…。」

そのまま、望美の指を口に含んで…あとは流れに身を任す。





新しいものすべてが愛おしい。

キミのすべてが…愛しい。

望美、愛してるよ。





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