音色 ―――――――♪ 「あ…んッ、まさ…おみく、ん……ッ」 古いがどこか懐かしいオルゴールの音色と女性の喘ぎがマッチして空に音を奏でている。 淫靡で、どこか神秘的なその音色が制服のまま交わる男女に重なる。 「気持ちいいか?望美」 「あっ…んんっ…!」 強すぎる羞恥と快感に望美の乱れた制服から見える素肌は薔薇色に染まっている。 ビッショリと濡れた下肢は将臣のソレと繋がり、更なる愛液をもたらし絶頂の時を待ちわびて震えていた。 「まさおみくん、、、ッ!」 切羽詰った望美の声に将臣は「わかってるよ」と囁き、望美に深い口付けを贈る。 「ん…っ、あっ、あっ、あぁん……っ!」 「望美……っ!」 「あーあ、屋上なんかでするなんて……将臣君のバカ!」 「すまなかったって。さっきから謝ってるだろ?」 「しらなーい」 口では憎まれ口を叩く望美だが、絶頂のあとの気だるい身体を俺の背に預け音の鳴り終わったオルゴールを手にとって動かしていた。 なんで、抑えられなかったんだったかな…。 俺はちょっと前の出来事を思い出していた。 放課後の屋上で、あの世界から帰ってきた時のことを二人で話していた。 俺も望美もあっちの世界でやら無ければならないことを全てやってきてもとの世界に戻ってきたんだ。 あっちの世界に未練が無いわけではない。 でも、こっちの世界に帰って来た選択を間違っていたとは思っていない。 だから、初めは俺達はまるで昔話のようにあの時の事を話していただけだった。 しかし、あのオルゴールを開いたところから話はおかしくなっていた気がした。 あの戦乱の世界に行く前に渡そうと思ったオルゴール。 再び出会った時にお前が持っていたオルゴール。 望美と会えなかった三年間、その音色が俺の頭に深く刻みついていた。 会えなくなるとそのぶん、相手への思いはその分深まっていく…と昔TVで誰かが言っていた。 それは本当だと身体で実感した三年だった。 ―この手でお前に触れたい。 ――お前を抱きしめたい。 ―――お前を感じたい。 欲望は大きくなる一方で… オルゴールの音を口ずさみながらの夢の中でお前を抱く。 そんな日々が続いていた。 だから、あのオルゴールは俺の身体の欲望のスイッチになっているらしい。 ―――――――♪ あぁ、またあの音だ…俺の理性を崩す音。 「……将臣くん?」 いきなりぎゅっと後ろから抱きしめられて望美は驚いた声を上げ、俺を見上げる。 あぁ…その視線も反則だろ。 「なぁ…そのオルゴール、いつも持ち歩いてるのか?」 望美の胸に抱かれ、音を奏でるオルゴール。 「もっかいやりてぇ…」 「なっ……!」 真っ赤な顔をして俺を睨み付ける望美の唇を無理やり奪う。 そっと音色の蓋を閉めながら……。 |