海 広い海原。 目の前に見えるのは果てしない塩水のみだった。 「はぁ……」 不意にため息が漏れた。 「どうしたの?将臣くんがため息だなんて珍しいね。」 何時の間にか背後にいた望美が俺の横を陣取る。 この海はどこまでいったら陸に辿り着くのだろう…? なんて考えていたなんて口には出せない。 俺は苦笑いをして、どう誤魔化そうかと考えていた。 しかし、俺が言い訳を考える間もなく望美が口を開いた。 「今この船どの辺にいるんだろうね?」 「………」 俺は黙ってしまう。 まさに俺がいままで考えていた事を言ったから。 「だから、この間安徳天皇たちに大まかな世界地図を教えてあげたんだ!」 「はぁ?世界地図?」 一緒の思考かと思ったら突拍子も無い事を言う望美にあれはあっけにとられる。 「そう、世界地図。」 なんで、この話の流れで世界地図が出てくるんだ…? 俺は時々範疇外の事を言う幼馴染兼恋人の頭の中を覗き込みたくなる。 だって、いきなり世界地図だぜ? 「だって、この世界は私たちの世界と大体似たような形してるじゃない? だからあてずっぽでも今はこの辺にいるんだよ〜って分かったら少しは安心するじゃない。」 正直、俺は驚いた。 俺でさえ自分の不安だけで精一杯で回りの不安を解消させることが出来なかったのに。 こいつは周りにまで気を使ってくれたんだなって。 この間まで敵だった俺たちに……。 俺は急に胸が熱くなって、望美をぎゅっと抱き寄せた。 望美は一瞬驚いたような顔をしたが、一瞬わらって静かに目を閉じた。 初めは触れるだけのキスをして。 次は痺れるような熱いキスをした。 抱きしめる手の力を緩め俺たちは顔を向かい合わせる。 「タイタニックみたいだね」 と微笑みながら望美はいった。 「あそこまで、はしゃぎはしねーよ」 俺は少し照れながらいう。 お前がそばに居れば、俺の心は穏やかになる。 夢の国はすぐソコに――― |