「束縛」 好きだ…好きだ…好きなんだッ――― 最近、何処に居ても、何をしていてもアイツの顔が浮かぶ。 そんな考えを持ってはいけない。 俺は。俺自身はアイツと一緒の未来を歩むことを諦めたんだ。 なのに…心の底ではアイツを望んでいる。 傍にいることを、笑いかけて貰う事を、愛される事を…… 「将臣くんが好き…。」 望美の口から突然出たその言葉に俺は言葉を失った。 「驚いた?」 「え…いや……え?」 「驚いてるんだ。」 口篭もる俺に望美は苦笑しながらそう言う。 「ずっと好きだったんだよ?気付いてると思った。」 月明かりが俺と望美を照らす。 「………」 「将臣くんが黙り込むなんてめずらしー」 くすくすと笑う望美。 あっけらかんとした表情を作っていたが、そこに流れている緊張した雰囲気を俺は見逃さなかった。 ……だからなにも言えなかった。 望美はきっと俺がお前と一緒に進めない事に気がついている。 でも、心の一端で一緒に居たいと思っている事も。 「好き」 望美がもう一度そう呟く。 きっと、そう。 望美の最後の賭け。 しかし、俺の最後の賭けでもある。 ここで、望美の手を取るか取らないか。 俺の道が分かれる―――。 沈黙が俺達を包む。 「……いいよ。無理に返事しなくても」 沈黙を破ったのは望美だった。 「将臣くん、また一人で大きな物背負ってるでしょう?」 俺は肯定を黙秘という手段であらわした。 「一緒にその荷物背負いたかったんだけど…その束縛を解きたかったんだけど…ね。」 悲しそうなその笑顔に、俺は心を締め付けられる思いだった。 …そして、気がついたら望美を抱きしめていた。 「……まさおみくん?」 「ごめんな。ごめん。」 俺は力いっぱい望美を抱きしめる。 俺の顔を見られないように。 俺のこんな顔、お前には見せられないから… いや、見せたくないから。 「俺を束縛してるものはそう簡単には解けない…。けど……」 「……けど?」 「俺はお前を束縛したいと思ってる。」 抱きしめた望美の肩が一瞬びくっと震えた。 「お前の事、捕まえて、がんじがらめにして縛り付けておきたい。 俺の傍に居て、俺の事しか考えられないくらい…俺のものにしたい…ッ!」 俺はそのまま望美にキスをした。 望美は驚いたように大きな目を更に大きく見開いていたが、 俺は自分の目を閉じ、望美の唇だけを貪った。 俺が目を閉じれば俺の顔を見られないのでは、と錯覚しながら――― 「ん……。」 望美から抵抗らしき物は感じなかった。 俺はそのまま手を胸に持っていき、着物の上から少し強くそれを揉んだ。 望美は一瞬目を見開いたが、少しの間の後目を閉じた。 「…はぁ……んっ」 甘い声が漏れる。 それが、望美の答えなのだろう。 そして、望美の優しさであるとも思った。 好きだから。 ―――お前を放したくない――― 「ん…ぁ……」 望美の甘い声が俺の全身に甘い痺れをもたらす。 身体の下に俺の着物をひいて、一糸纏わぬ姿で俺の眼下で身悶えるその姿。 それを見るだけでイきそうな俺の息子を叱咤しつつ、俺は望美のナカに射れた指をソコをほぐす様に動かした。 「背中痛くないか?」 「ん……へい…き……あぁ!」 クチュクチュと音をさせて愛液を流すソコに、俺は顔を寄せた。 「指が溶けそうだぜ?」 俺は笑いながらそう言うと自分の目の前にあるアナをそっとなぞった。 「ぁん…」 快感から身体をくねらせる望美。 その姿に俺は唾を飲んだ。 ヒクつく望美のソコは俺の指では足りないというような締め付けをするし、 何よりあふれ出る愛液が下にひいた布を広い面積に渉り濡らしていた。 俺は身体を起こし望美にキスを贈り、そっと囁いた。 腰を望美のソコに押し付けながら……。 「そろそろイイか?」 望美は快感に酔っている様に目を瞑ったまま小さく頷いた。 その頷きを合図に俺はまた軽いキスを贈ると、望美が辛く無いよう一気に貫いた。 「っ…!!」 声にならない悲鳴が望美の口から発せられる。 「ク…ッ」 望美のナカは締め付けが半端なく、容赦なく俺を追い詰める。 だけど、望美の苦痛の表情から動くのを我慢した。 そして、痛みが和らぐ様にそっと望美の頭を撫でた。 「ぁっ…ん…まさおみ…く……ん。」 それが気持ち良かったのか、望美は目を開け恍惚の表情を浮かべ、こちらを見た。 「どうした?」 「うごいても……いいよ……?」 涙の溜まった目を向けられ、俺はその瞬間、我慢の限界を知った様に腰を激しく動かしていた。 「ひぁっ!!や…あぁ……!!」 それから、絶頂を迎えるにはそう難しくは無かった。 ビクビクと痙攣する望美の身体をぎゅっと抱きしめ、望美のナカに俺は欲望を吐き出していた。 情事を終え、俺は望美のナカから自身を抜こうとしたとき望美から小さな声が聞こえた。 「え?」 「抜かないで………。」 か細いその声はあの強気で明るい望美の声とは思えなかった。 「もうちょっとだけ…こうしていたい。」 ぎゅっと俺の胸に顔を埋め、望美はそのまま動かなかった。 俺も動けなかった。 御互いの少し早い鼓動が聞こえる。 この後、起こるであろう御互いの運命を現すかのように……――― |