「弓」 本当は貴方に剣を持って欲しくない。 これは貴方を思うなら当たり前の考えだと思います。 貴方が傷つく姿が見たくないから。 貴方が辛くなるのを見たくないから。 貴方が剣を振るえば必ず何かを斬る。 斬った物が怨霊であれ、人であれ… 貴方は傷つくでしょう? 貴方は感受性が豊かな人だから。 表には出さなくても、きっと貴方は斬った物から何かを受け止める。 怨霊ならその悲しみを 人ならその気持ちを でも貴方は決意したから。 俺は貴方の決意に従います。 貴方が考えなしに物事を決める人じゃないのは知ってますから。 だから、貴方を守る為にこの弓をふるう。 貴方の気持ちの支えになるために一緒に戦う。 全部じゃなくていい。 その悲しみを。痛みを。俺に少しは分けてくれませんか? 愛しい貴方と同じ気持ちで居られる事が、俺にとて最大の喜びだから――― |