「不安」 神子…神子……! 暗闇の中で目の前を行く彼女がその暗闇に吸い込まれていく。 必死にその姿を追うが頑張っても追いつかない…。 どうして? 待ってくれ、神子! そっちへ行ってはいけない。 すると何かに足を捕まれ、私はその場に倒れてしまう。 足元を見ると私が倒してきた怨霊たちが私を飲み込むかのように這いあがってきた。 やめてくれ…神子が! 目の前を歩いていた神子はどんどん先に行き暗闇に吸い込まれていく―――。 「神子――――ッ!!!」 はっと目が醒めると神子が横で私の手を握っていた。 「大丈夫ですか?」 心配顔で私を見つめている神子を自分の胸元に抱き寄せた。 「敦盛さん…?」 「すまない…。大丈夫だ。」 私がそういうと安心したかのように神子も私の背中へ手を回してくる。 その体温が神子が近くにいる事を実感させてくれる。 「神子がいなくなる夢を見た。」 「え?」 「神子が暗闇の中へ消えていってしまうんだ…。」 私は抱きしめる力を一層強くして続ける。 「不安なんだ。神子がいつか居なくなってしまうのではないかと…」 気付かないうちに私の目には涙がうかんでいた。 その涙をそっと神子が拭いてくれる。 「大丈夫だよ。私はどこにも行かない。ずっと敦盛さんのそばに居るよ」 そういうとあとはずっと私の髪の毛を手で梳いて私の興奮が収まるのを待ってくれた。 その温もりに私の心は静まっていく。 その夜。縁側に2人で座り笛を奏でていた。 「敦盛さんが不安にならないようにするにはどうしたらいいのかな…?」 私は笛の音をとめ、そんな方法はないだろうと口にしようとしたとき 「子供…作ろっか?」 「…………………ッ!?!?」 月明かりに照らされた2人の顔は真っ赤であった。 |