胸の痛み 患者さんを巡廻して愛しい人が自分を待っている家に帰ってくる。 本当は少しだって離れたくないなんて考えている自分がいる事に昔はとても驚いていた。 自分はもう望むものなんて、何も無いと思っていましたから。 でも、貴方に出会って…貴方と共に一緒に居たいと思ったから。 早く貴方に会いたくてついつい早足になってしまう。 家の付近まで弁慶が近づいた時、庭の方が妙に騒しい事に気がついた。 ちくり 弁慶の胸に針が刺さった様な痛みが走る。 この胸の痛みは…… 少し気にしつつも、庭から聞こえる声の主は自分が知る者達の声な気がして、門を抜け玄関には向かわず庭のほうへ足をむける。 「もっと肩の力を抜け!つねに形を意識するんだ!」 「わかった。たーッ!!」 その場には美しい舞姫の様に剣をふりかざす望美とその相手をする九郎が居た。 ちくり…ちくり 2人の姿を見て先程感じた胸の痛みがまたしてもはしる。 その痛みを消すかのように弁慶は彼女の剣を振るう姿を目で追った。 以前は何度も見ていた彼女の姿ではあったが、その優雅さと力強さに思わず背筋に緊張が走る。 「本当に、綺麗ですね……。」 弁慶は思わず声を漏らしてしまう。 その声で2人は弁慶の気配に気がついた。 「あっ!弁慶さん、おかえりなさい!」 「弁慶。邪魔している。」 「望美さん、ただいま帰りました。九郎、いらっしゃい。」 僕を見つけると近づいてきてニコリと笑いかけてくれた。 そんな貴方に僕は微笑返す。 いつもはこの瞬間がとても幸せなんだけど…。 だけど、胸の痛みは増すばかりで―――…… 「もう一回合わせるか?」 九郎が望美を剣の稽古に戻らせるように促す。 望美は「分かった」と返事をして、九郎の方へ向かっていく。 僕の元から離れていく。 気がついた時には望美の身体を無理やり自分のほうへ引き戻した。 「すみません、九郎。今日はここまでにして頂けますか? まだ、新婚生活を楽しみたいので。」 クスッと笑って弁慶は九郎に微笑みかける。 瞬間、望美と九郎は固まった様に動かなけなくなった。 「べっ!弁慶さん!?」 驚きと恥ずかしさで声をあげる望美。 「………ッ!わ、、、わかった」 弁慶の言葉の意図がわかった瞬間、顔を真っ赤にして了承する九郎。 そして、そのまま縁側においていた自分の財布などを持ち上げるとそそくさと門へ向かっていった。 「弁慶さん!!何てこと言うんですかぁ!!」 望美も顔を真っ赤にしている。 君のそんな表情、九郎に見せたくないんですよ。 いえ、貴方が見せる表情のすべてを僕以外の男に見せたくないんです。 「弁慶さん…?」 いつもなら、弁慶は笑いながら望美の事をからかってくるのに今日は無言のまま無表情で望美を見つめていた。 そんな弁慶は望美の問いかけに無言のまま微笑みだけで答えると、手首を掴み腕を一纏めにして、そのまま壁に押しつけた。 「えッ…!べッ弁慶さん!?」 いきなりの行為に望美は驚きの声をあげる。 ちくっ 胸の痛みが激しくなる。 この痛みは、なんなのだろう… いや…気づいてはいるんです。 この痛みがなんなのかも。原因も。 ただ認めたくないけで 「私がいない間に、他の男と二人で居るなんて…。 いけない人ですね。君は。」 この痛みは嫉妬。 原因は望美さん。貴方ですよ。 「べん……んっ!!」 声を出そうとする望美の唇を自分の唇で塞ぐ。 そのまま堅く閉じられた唇に舌をねじ入れ歯列をなぞる。 「っ………!」 くすぐったさから浮いた歯の隙間から弁慶は舌を入れ望美の舌に絡ませた。 深い深い接吻 受け止めきれなかったどちらのものと言えない唾液が望美の唇から伝い落ちた。 「弁慶……さん……」 激しいキスの後、望美の顔は蕩けていた。 望美が抵抗らしい抵抗を出来なくなったことに気がつくと、弁慶は着物の帯をゆるめ始めた。 そして、望美の足を少し開かせ自分の足を割り込ませ、足を閉じられないようにする。 弁慶の手によって露わにされた胸元の頂点は快感を待ちわびるかのように立ち上がっていた。 「接吻だけで感じましたか?ここは、愛撫を待ち望むかのようですよ?」 ピンっとそこを弾かれると望美からは高い声が発せられる。 「あぁ………ッ!!」 乳首は敏感なスイッチだった。 ねっとりと舐めあげると、身を振るわせ、強めに摘むと一際高い声で鳴く。 そんな望美の表情を見ていると、ふと弁慶は思ったことを口にしてしまった。 「九郎にはそんな淫らな顔見せてませんでしたか?」 望美の顔が一瞬驚きを表す。 「九郎だけじゃない。他の八葉や前の世界でも……貴方のそんな顔を知ってる人が居ますか?」 その問いかけと共に、弁慶の指が望美の秘所へとつき立てられた。 「あぁ…………ッ!!!」 立ったままのその行為に望美のひざが折れた。 「………ふ、あぁっ……!!」 しかし、ひざが折れた分腰が沈み望美は弁慶の指を奥まで飲み込んでしまう。 とっさの事に弁慶の肩を抱きしめ体勢を保とうとするが、それにも限界があった。 「べん、けい……さぁ………ん」 「その体勢は辛いですか?でも、まだ許してあげませんよ。 質問に答えてくださらなくてわ。」 弁慶の指がナカをかきまわす。 内壁を軽く引っ掻く。 望美は何がなんだかわからなくなった様に鳴き声をあげ、弁慶に必死にしがみついく。 「僕以外に、その顔を知ってる人が居ますか?」 弁慶は眉を寄せ、寂しそうな表情でもう一度問いかけた。 なんで、そんな表情をするの……? 理性が沈み行く中で、望美はそう思った。 「みせ…て、ない………ッ。。。」 望美のその言葉に弁慶は表情をかえた。 「それは良かった。そんな顔、僕以外には見せてはいけませんよ?」 「あぁ…………っ!!」 いつもの穏やかな表情に戻った弁慶は御褒美とでも言うように指を増やした。 二本の指をナカでばらばらに動かすと望美の太ももを大量の蜜が伝い落ちてく……。 「や……や、あ…………」 快感が望美を包む。 甘えを帯びた声と切なそうな吐息が喉から次々に漏れ出す。 「べん……け…さん………もぅ…ッ」 「イきそうですか?ココからも蜜が沢山溢れてますしね。」 ずるっと指を引き抜くと、望美の蜜がたっぷりとついたその指を望美に見せ付け……舐めた。 「やぁ…………ッ」 「イや?そんなことは無いでしょう?ココはこれをまだ欲しがってますよ? ………いや、これよりももっと太い物の方がイイですか?」 意地悪な言葉を並べる弁慶に望美はぎゅっと抱きつき小さな声で耳元で囁いた。 「弁慶さんだけ……です。弁慶さん…が欲しい………」 「ッ………!」 弁慶はすぐさま自分の着物を解き、自分のモノを取り出し―――。 「その声も、その顔も、すべて僕のものですっ」 ぐいっとソレを望美の秘所へと押し付けた。 「………あ、や………あ……」 「っ……」 無意識に逃げる望美の腰を押さえつけ、背中が柱で傷つかない様に支えながらゆっくりと望美をつらぬいた。 望美は立ったままのその姿勢に息苦しさを感じ、望美は弁慶の肩を強く掴んだ。 「望美さんのナカ、凄い締め付けてきますよ……そんなに僕の指、よかったですか?」 ゆっくりと腰を動かす。 下から突き上げるような感覚に、圧迫感を感じ息がまる。 「ぁ………ッ」 甘い声をあげようと望美の唇を塞ぎ、そのまま足を抱えると弁慶は奥まで腰を突き入れた。 望美の体重もあいなって、弁慶は望美の最奥まで到達する。 「――――――っ」 限界だった。 望美はそのまま達してしまう。 「はぁはぁ………」 「もう少し頑張れますか?」 息をきらせる望美の背中をさすりながら言うと、望美はコクンと頷いた。 弁慶はニコっと笑って動きを再開する。 弁慶の動きに合わせ、望美も腰を動かす。 身体の重みを利用して望美の奥まった敏感な箇所を弁慶の硬い先端で強く突き上げられる。 その度に、たまらなくなって望美は自然と声をあげてしまう。 一度イッた身体は、本当に敏感で……。 「…………やっ、あ」 抜き差しされるたびに擦られる内壁から、甘いしびれがこみ上げてくる。 「あっ……も、う……べん、け…いさん…ッ」 「イきますか…?僕も、もう……」 そう言うと、弁慶は上体を屈め望美の乳首に吸いついた。 「い……いいっ、あ、いっちゃ……!!」 「―――――ッ!!」 「ねぇ、弁慶さん。私は、弁慶さんのものだよ。でも、そのかわり弁慶さんは私のものだからね?」 布団の中で貴方が囁いた言葉。 僕だけのものだと思っていた独占欲。 貴方にもあったのですね。 胸の痛みはもう感じない。 逆に、暖かなものが込み上げる。 これは愛しさ。 ずっと2人でいましょう。今までも、これからも――――――。 |