ANNIVERSARY(忍岳)
「お誕生日おめでとう〜!!!」
 
9月12日。今日は岳人の15回目の誕生日である。朝練の為にいつもより早く家を出て来たのだが、コートに誰も居ず、取り敢えず着替えようと部室に入った途端に岳人に向かってクラッカーが引かれたのだ。
 
「・・・ぇ??」
 
「今日はテメェの誕生日なんだろう?」
 
いつもは鳳と遅刻ギリギリの宍戸が言う。何でこんなに早く来ているんだ、と突っ込もうにも突っ込めない。
 
「お誕生日オメデト岳人っ♪」
 
朝練に来た事など数える程しかない慈郎まで。
 
「15歳おめでとうございますッッ!!!」
 
朝だというのに、眠そうな顔1つしないで鳳も言う。
 
「俺様より年上とはな・・。」
 
10月生まれの跡部が苦笑気味に岳人へと言う。
 
「良かったね、岳人。おめでとう。」
 
レギュラー落ちしてから部活ではあまり顔を合わせなくなった滝も、岳人の為に来ていた。
 
「な、なんだよ突然・・!」
急に恥ずかしくなった岳人は、顔を真っ赤にさせながら必死に言うが、誰もが「照れ隠し」と分かる様なその態度に思わず。
「可愛E〜〜〜〜/////」
「ぅわ、ちょ・・・・っ!!」
 
それこそ「突然」、慈郎が岳人へと抱き付いてきたせいで、受身の態勢をとっていなかった岳人は慈郎と共に床へと倒れた。
 
「イテテ・・。もぅ、なんだよ慈郎!!」
「だぁって可愛かったんだもーんっ」
「突然抱き付いてくんじゃねェよ!!!ビックリするじゃんか!」
「既にしてたクセに〜。」
 
こんな2人のやり取りを見ていたレギュラー陣(+滝)は、「朝っぱらからアレだけど・・」と言いつつも1人1人用意していたプレゼントを渡してゆく。
 
まず跡部のプレゼントは、お金持ちらしくロレックスの時計、宍戸はリストバンドとグリップテープ、鳳は以前岳人が欲しいと話していたゲームソフト、滝は羽のアクセサリー、慈郎は岳人がお気に入りのブランドのバッグと財布。それぞれが岳人の為にと用意した、気持ちの篭ったプレゼントだった。
 
「こんなに、貰っていいのか・・??」
 
目を丸くさせ、喜びを隠し切れていない様子でそう呟く。
 
「勿論だよ。皆岳人の為に買ってきたんだから、貰って??」
 
ニッコリと笑いながら、滝が岳人をまるで諭しているかのように言った。
 
「うん・・!皆、有難うな!!」
満面の笑みを浮かべて、岳人が全員の顔を見ながら礼を述べる。その顔には、もう照れた様子は一切なかった。
 
 
「そーいえば、侑士は・・??」
ふと、跡部にそう問う。いつもなら迎えに来るはずの忍足が、今朝「今日は迎えに行けんよぅなってまったわ。スマンな。」と云うメールが来たのだ。
 
「さ、さぁ?俺様は知らねェなぁ?」
 
視線を外しながら跡部がドモリ気味に言う。他のメンバーを見ると、全員岳人から目線を逸らした。
 
 
・・・・・明らかに可笑しい。
 
 
周りの空気を読み取る事が不得意な岳人でさえ、この空気の不自然さには感づいた。かと言って、教えてくれるような雰囲気ではない。
 
「休みかな・・」と言っている岳人に、
「じゃあ俺たちは練習してるから、早く着替えて来いよ〜〜!」
などと言って全員逃げるように部室を出て行く。追いかけようと身体は反応したが、追いかけても仕方がないだろうとそのまま部室に残った。
 
「意味わかんねぇ。何だってんだ、もぅ・・。」
ブツブツ言いながら制服を脱いで、ポロシャツに手を伸ばす。が。
 
 
 
「おはよう、岳人。誕生日おめでとさん。」
 
聞き慣れている声。
 
聞き慣れているこの発音。
 
 
「侑士〜!」
いつものように飛び跳ねて抱き付こうとしたが、一足早く忍足の方が岳人を抱く。
 
「え、なに・・!??」
 
予想だにしなかった展開に岳人が驚く。忍足が言うには、訳あってレギュラー陣に黙っていてもらいながら、ずっとロッカーの陰で見ていたのだと言う。
 
隠れる必要あんのかよ・・。
と心の中で思った岳人だが、次の瞬間、いつもは跡部専用と化している部室のソファに押し倒された。
 
「15歳、おめでとな・・」
切な気な声でソッと、岳人の耳元で囁く。こうなってしまえば、岳人も逆らう事は出来なかった。
 
 
 
 
 
愛しい君の誕生日
 
 
 
 
 
 
 
可愛い君の、ANNIVERSARY。
 
 
 
 
 
 
ずっとこのままでいたい、
 
 
 
 
 
 
 
 
そう思いながら、2人はしばらくこのまま抱き合っているのであった。
 
 
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