*
一緒にいたい*

[date:2004/03/01]


 

side*KAMENASHI

「ねぇ、亮ちゃん?」
「なんや?」 


ココは某番組の撮影現場。
俺は最近仕事が重なって会うことが出来なかった恋人の元へ来ている。
しかし、当の亮ちゃんといえば…
雑誌に目を落としたまま俺の方を見向きもしてくれなくて。


「もういいッ!亮ちゃんのバカッ!!」


亮ちゃんが持っていた雑誌にさえ嫉妬して、そのまま楽屋を飛び出した。 



side*NISHIKIDO

…なんや? 
俺はいきなりキレて楽屋を飛び出した恋人を、口をあけたまま見送った。


「お前、アホちゃう?」


後ろからいやみったらしい声がして振り返ると、ソコに立っとったんは内。


「なにがや?」 


それになんか気ぃたって、キッと睨むと内は俺を見てクスクス笑った。 
…ホンマ、なんなんやって。


「お前、乙女心っちゅーもんを全然わかっとらんわ」 


手を肩の辺りまで上げて、首を振りながらオーバーリアクション。
じゃ、お前にはわかるんかいな、その、オトメゴコロってやつ。


「うっさいわ。ちょっと黙れ」 


そう言って内にデコピンして楽屋を抜けた。
…ホンマ、バカメ梨。



side*KAMENASHI 

亮ちゃんの、バカ。 
いきなり亮ちゃんのデビューが決まって、なかなか会えなくて。
せっかく久しぶりに会えたのに。
なに、けんかなんかしてるんだろ。 
バカは、俺、じゃん。


「おい、バカメ梨っ!」
「ぅえぇ!?」 


立ち上がろうとした瞬間に、頭の上に響いた声。
思わず変な声を出した俺を見て、彼方はクスッと笑って。


「そんなトコでなにやっとんのかなぁ〜?」
「ぅっ…」 


口元にニヤニヤ笑いを浮かべながら、亮ちゃんが顔を出した。


「なに拗ねとんねん」

俺がちょっと強めに睨みつけても、ニヤニヤ笑いは止まらなくて。
それがなんか悔しくて…俯いた。 

「亀梨?」
「……じゃん」
「は?」
「亮ちゃんが悪いんじゃん!!」 

聞きなおしてきた亮ちゃんの耳元で、大声で言ってやった。



side*NISHIKIDO 

「…は?」 


何が悪いんか…わからへん。
顔をあげた亀梨の顔を見ると…涙目やし。


「亮ちゃんが悪いの!亮ちゃん、今日、何の日か覚えてないの!?」 


今日…?なんか特別なことあったか?
付き合い始めた日でもないし、亀梨の誕生日でもない。
…ん?誕生日…? 


「あぁっ!!」



side*KAMENASHI 

「…バカ」 


今日は、亮ちゃんの誕生日。
大好きな人が生まれた日くらい、何かお祝いしてあげたい。 
普通の人みたいに、一緒にケーキ食べて、パーティーして。
…そんなことは出来ないからこそ、少しでも一緒に過ごしたかった。 
そう思ってたのは、俺だけ、かな? 
嫌な沈黙が流れて、再び俯いた。 
そんな嫌な空気を切ったのは。


「カメ〜、リハ入れだってさ…と、ごめん、お取り込み中?」


仁だった。
更に一瞬、嫌な沈黙が流れる。
なんだよ!亮ちゃん、喋ってよ、バカッ! 


「ううん、いいの。行こっ、仁」
「え?あっ、まっ、カメ〜…?」 


キョドってる仁の腕を、半ば強引に引きながらステージへ向かった。 
もちろん、俺が背を向けて歩いている間も、亮ちゃんが口を開くことはなくて。
俺も口を開かず、そのまま本番が始まった。




side*NISHIKIDO 

亀梨とケンカ…したまま、俺らはステージに上がった。


「ステージに上がった以上、私情の持ち込みは禁止やで?」 


本番に入る前、内に言われた。 
…そんなん、当たり前の事やし。
わかっとるわ。 



「俺、翼君にTシャツ貰いました!」 


わかっとるけど。
亀梨が他の奴のこと話とると、むかつくし。 
亀梨は亀梨で、俺へのあてつけのように嬉しそうな笑みで話とるし。 
…嫉妬、ゆうんかな。コレ。
そんなん、恥ずかしくて口に出せへんけど。
見つめるこの視線に、気付いてほしい。
今すぐ、ココから連れ去ってしまいたい。
――二人きりで、話がしたい…。 
ときどき絡む視線にもドキドキして、‘何であんなコトでケンカしたんやろ?’って。
今更後悔する自分がおって。
仲直りしたい。
今度こそ、素直な気持ち、伝えたい。 
ただひたすらに、早く終われって唱えつづけた。




side*KAMENASHI 

最後の曲、『NON STOP DON’T STOP』も終わって、ステージには幕がおりた。 


「カメ、お疲れさん」


仁が、声を掛けてくる。
きっと、ステージ前の俺と亮ちゃんを見てたから。
気を使ってくれてるんだよね? 


「ありがと」 


差し出されたドリンクを、精一杯の笑みを浮かべて受け取った。
その時。


「亀梨、ちょっと来いや」 


突然腕を引っ張られたかと思うと、俺の耳に、少し高めに響く声。 
それは紛れもなく、今日のステージの気を逸らしていたモノで。




side*NISHIKIDO 

「亮…ちゃん…」 


ホンマ、むかつくわ。
何でこんなに怯えられなあかんねん。 
でも、何で嫌いになれへんのやろな。 
恥ずかしくて、本音も言えないままその場を離れた。 


「なぁ、亀梨?」 


俺が口を開くと、亀梨は微かに肩を揺らした。
――プッチン。 
俺の頭の中で、何かが切れたのがわかった。




side*KAMENASHI 

「ぅゎっ」 


亮ちゃんの表情が変わって、ビクッとした。瞬間には思いっきり壁に押し付けられていて。
強い力。
逃げようと思ってどれだけ暴れても、手を振りほどけない。 


「亮ちゃっ…」
「…なんやねん」 


…え? 


「なんやって!!」 


亮ちゃんが、泣いてる。 
初めて見た亮ちゃんの涙は、とても綺麗で。
気付いたら、亮ちゃんのこと、逆に抱きしめてた。


「亮ちゃん、」
「すまんかったな」
「え…?」


俺が言おうとしていた言葉を先に言われて、思わず疑問符を飛ばす。 


「ごめん」


なんで俺、亮ちゃんに謝られてるんだろ。 


「亀梨、俺にプレゼント渡しに来てくれとったんやろ?」
「っ…なんでそのこと」
「赤西に聞いたわ」


亮ちゃんと離れて、目をあわす。
亮ちゃんの瞳には、再びいつもの優しさが見えていて。


「それやのに…素気ない態度とってもうて…すまんかった」 


違うよ。謝るべきなのは、俺。
亮ちゃん、デビューしたばっかで疲れてたんでしょ? 
知ってるよ。
知ってて、それでも。嫉妬しちゃったんだ。
好きだから、第一に想っててほしいって。
…ただの、ワガママ。


「なぁ、亀梨…。プレゼント、くれへん?」 


何もいわない俺の顔を覗き込んで、亮ちゃんが言った。
いつもと違う、自身なさげな顔が可愛くて。


「…なに笑っとんねん」 


思わず吹き出したら。
亮ちゃんの顔が不機嫌そうな顔になった。 
慌てて顔を逸らしてたけど、知ってるよ。真っ赤な顔、してたこと。
そんな些細なことも嬉しくて、見逃す暇なんてないんだから。



side*NISHIKIDO 

「はいっ」 


笑顔のままキレイにラッピングされた包みを取り出して。俯いた俺に、手渡してきた。


「開けて…ええん?」
「うん、いーよ」


またしても笑顔のまま言われて、袋を開けた。 


「…コレ…?」
「うーん、やっぱ亮ちゃんには白かなーって思ったんだけど。やっぱ変?」


中から出てきたんは、真っ白なマフラー。
しっかりと『R.N』ってイニシャル入っとるし。
もしかしなくても、コレ…


「手編みなんだけどさー。」


照れたように顔を赤くして言う亀梨。
手編み、て。
亀梨だって、仕事ばっかりで疲れとったはずやろ?
いつ…編んだんや?
まさか…


「仕事の合間とかに編んでたんだけど。結構時間かかったなー」


やっぱり。
俺の悪い予感は、悉く当たっていって。
『バカ』って、怒ってやりたかったけど…
まぁ、ええわ。
なんつーか…嬉しい、し。 


「ありがとな」 


ココは素直にお礼を言って、口付けた。 


「お礼だけでいいじゃん。亮ちゃんのバカ」 


顔を赤くしていう亀梨が可愛くて。
笑いながら袋をたたんでいたら。

――チャリンッ 

音を立てて、袋から何か落ちた。
慌てて視線を下に移動させると… 


「指…輪…?」 


シルバーに光を放つ指輪がひとつ、転がっていて。俺が拾う前に、亀梨が拾って、恥ずかしそうに顔を赤らめた。 


「最初はさ、指輪だけ渡したかったんだけど…やっぱオーソドックスかなって思って。まぁ、マフラーはオプションってトコ?」 


赤い顔で笑って。
俺の左手を持ち上げた。


「仕事とかで、あんまり逢えないでしょ?俺、淋しいから…。一緒にいる、つもり」 


そう言いながら薬指にリングを嵌めると、自分の左手を見せた。 
その薬指には、俺の指に嵌っているのと同じシルバーの指輪が輝いていて。 


「なんかねー、ロマンチックじゃない?こーゆーの」 


自称、ロマンチスト亀梨が満足気にいう。 
こんなときにまで、ふざけんでもええやん。
そーやって恥ずかしさを隠すとことか…やっぱ、好きやなぁ。


「アホ」 


照れて赤くなった顔を俯いて隠して、呟いた。


「でも、ね」 


笑っていた亀梨の顔が崩れて、俯いた。 


「やっぱり、ホンモノの亮ちゃんがいい。だからっ…」
「わかっとるて」


亀梨が、なにを言いたいかなんて。 
わかりやすすぎて、一目瞭然やん。 


「ずっと、傍におる。亀梨のことしか考えてへん。わかったか?」 


一気に言う俺を見て、亀梨はビックリしたようやったけど。 
すぐに笑顔になって俺に抱きついてきた。 


「うんっ。亮ちゃん、大好き」 
「わかっとるわ、そんなん…」 


恥ずかしげもなくそう言う亀梨の背中に手を回して、ギュッと力を込めた。



好きやで、和也。 

ずっと一緒におろうな。 


…恥ずかしいで、声に出してやらんけど。 
きっと、届いとるよな、この想い。 



「ずっと、一緒にいようね…」 

俺の胸の中で亀梨が消え入るような声で呟いた台詞を、もちろん俺は知る由もない。 




*End*


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[愛の鎖]で、リク小説として書いたものです。確かこれ、初めてのマイナー挑戦だったような。やけにサイド変更が多い…(-_-;)今よりも更に未熟だった頃の作品となります。お粗末さまでしたm(__)m

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