*
はっぴーはっぴーばーすでー*

[date:2004/03/05]


 

「おはよーございます」


いつも通り撮影現場に入って、いつも通りのボリュームでみんなに挨拶をする。だけど、今日は誰からも返事が返ってこなくて。回り見渡してみると、みんな落ち着かない様子で歩き回ってて。


「みんな、なにやってんの?」
「あー、カメ、どいてどいて」


オレが声をかけると、奥のほうから仁が大きなダンボールを抱えてそわそわと楽屋を出て行く。


「ねぇ、仁、なにやってんの?」
「ちょっと…準備ってヤツ」
「…は?」
「おい、赤西っ!!」


仁の後を追いかけていって話をしてたら、イキナリ中丸が割り込んできて、仁と内緒話してる。…オレには秘密って、どういうこと?仲間はずれみたいで、けっこームカつくんですけど。
半ギレのオレを横目で見ながら、二人はそそくさと近くにある使われてない楽屋に入っていく。


「ねぇ、なんなの?」
「ダメ。和ちゃんは入室禁止」


ドアを開けようと手を掛けたら、呆気なくドアは閉められちゃって。外に残ったのは、中丸のその言葉と、オレだけ。


「なーかーまーるー。じーん…」


呼びかけてみたら、中から『負けるなっ!!』とか言う声が聞こえてきて。…ホントに、なんなの?なんか、いじめられっ子になった気分。


「バーカ」


置き言葉残して、その場を早足に去る。後ろで遠慮がちなキィって音が聞こえて、次の瞬間にパタンって音がした。


「ねぇ、上田」
「………」


唯一楽屋の中にいた上田に声をかけてみるけど、髪型のセットに夢中になってて気付きもしない。チョンチョンッて肩を突付いても気付きそうになかったから、すぐにKAT-TUNの楽屋を出た。


「あ、やまぴ」
「あー、おはよ、カメ」


当てもなくぶらぶらしてたら、偶然玄関のところで山ぴぃと鉢合わせ。


「ねぇ、じっ…」
「ごめんカメ、あとでねっ!!」
「あ…」


笑顔で挨拶したのも束の間、ついでに仁たちのコト聞こうと思ったら、たたたって忙しげに走って行っちゃった。あーあ、山ぴぃなら仁たちのこと何か知ってると思ったのに。いろいろ忙しいみたいだし、他の人でもあたろ。


「りょーうちゃん♪」


次に俺が向かったのは、NewSの楽屋。そこには、探してた亮ちゃんはいなくて、上田みたいに髪の毛セットしてる草野と、ぶつぶつ独り言言ってる内がいた。


「亀梨くん!!」


俺が入ってきたのに気付くと、草野は髪の毛のセットを止めてオレの方に向き返って。内は独り言やめて目だけで俺を見た。


「亮ちゃんなら、鞄置いてどっか行ったでー?なんや亀梨、ようでもあったんかいな」
「んー、別に亮ちゃんじゃなきゃダメってわけじゃないんだけど…」
「亀梨くん!! 僕が聞きますよっ!!!」


内と話してたら、イキナリ草野が俺たちのところまで走ってきて。ようって何なんですか?って目を輝かせてる。…草野、可愛いなぁ。


「じゃ、聞いてもらっちゃおっかな。仁たち、朝から何してるか知らない?」
「赤西君…ですか?」


あ、今、思いっきり顔崩れたよ、草野。この二人、なぜか仲悪いからなー。そんなこと思いながら返答待ってたら、草野はハッと何かを思い出したように手を叩いた。


「…草野?」
「すいません、僕、失礼します!!」


問い掛けた途端に大声を出して、そのまま楽屋のドアから疾走していった。呆然として草野が去ったあとのドアを見つめてたら、内がまた独り言を言いだす。絶対なんか知ってるよ、この人。
問い詰めても絶対に吐いてくれなさそうだったから、そのままNewSの楽屋をあとにした。
あと、仁の動きを知ってそうなのといえば…


「やーぶー」
「あ、亀梨くん♪」


仁が弟にしたい子ナンバー1の薮。Ya-Ya-Yahの楽屋に入ったら、いつも通りの人懐っこい笑顔で俺を迎えてくれて。…オレ、仁が薮を弟にしたいって言う理由、ちょっとだけわかった気がする。


「仁さ、朝からなにやってるか知らない?」
「えー、あー、知らない」


…今の間って、なんなのよ。絶対、薮もなんか知ってるし。
何でみんなして、こう、オレを除け者にするかなぁ。けっこー傷つくんですけど。


「じゃーいーや…バイバイ」


俯き加減で俺が出てったあとのYa-Ya-Yahの楽屋から、ダダダダッと薮が走り去っていく音が聞こえた。








結局、いろんな人に聞きまわったものの見事にスルーされちゃって。昨日までは何ともなかったのに、みんな、なんか変。最終的に戻ってきたKAT-TUNの楽屋で、鏡の前のイスに腰をおろした。何気なく鏡を覗き込んだら、未だに来たときのまんまのカッコしてるオレが映る。黒いロングコート羽織って、帽子を奥深くまで被って。サングラスをかけたまま。


「あーぁ、かわいそ、オレ」


呟いて、サングラスだけ外して机に突っ伏した。頭の上に深めにかぶった帽子を取って、横から顔が見えないように頭の上に被せる。そしてそのまま、瞼を下ろした。








「亀梨、起きて!!」
「んー…?」


声かけられるのと同時に肩を叩かれて、未だ重たい瞼を上げる。けど視界は真っ暗で。ドコだ?とちょっと悩んだ末、寝る前に自分が設置した帽子の中だと判明。


「…なにー…っ!?」


帽子をちょっと上までずり上げて、目の前の姿を確認…しようと思ったら。


「っ…上田、何してんの?」
「あー、起きちゃったの?つまんない」


起きちゃったのーって、自分から起こしておいて言う台詞でしょうか、上田サン?しかもアナタ、キスしようとしてませんでした?ねぇ?


「…何してたの?」


なぜかぶーたれてる上田に問うと。


「練習」


いつもの表情を何ら崩すこともなく、一言。将来の挨拶の練習ですか。…もういーや。上田と話してると疲れる。


「撮影?」
「ううん、まだ」
「…オレ、眠いんだけど」
「ふーん」


上田のふーんって言うのに対して言いたい事は山ほどあったけど。まぁ、起きちゃったのは起きちゃったでしょうがないし、今更寝ることもできないし。


「じゃ、何?」


用なんて何もないんだろうなーと思いつつ、一応問い掛けてみる。すると、上田はそうそう、と手を叩いて。


「ちょっと、来てよ」
「…は?ちょ、上田?」


何にもわかってないオレの手を掴んで、引っ張るようにして連れて行く。…なんかオレ、悪いことしたっけ?朝からたくさんの人にいじめられて、すっごい落ち込んでるの、オレ。


「ねぇ、上田ってばー…」


ちょっと拗ねたような口調で訴えると、上田はちゃんと歩いてよ、って引きずられてたオレに文句を言って。そのまま、ペースを落とすことなく歩きつづける。


「ちょっと待っててね」


そう言って上田が足を止めたのは、今朝、仁と中丸が忙しげに入っていった空きの楽屋。なんか、気付かないうちにドアがきらきらしてて。使われてないはずなのに、中には電気がついてる。
待ってて、といった上田は、ひとりだけでその楽屋の中に入っていって。ついていこうとしてドアに手を掛けたら、その手は難なく叩き落とされた。


「上田ー…」


なにしてんだろ、って楽屋のドアに耳をつけてみたら。『せーの』って何人もの声が重なったような声が聞こえて。すごい音と共に、重心が前に傾いた。
全ての体重をドアに任せてたオレは、支えを無くして床へまっさかさま。


「うわっ…」


思わず声を上げたオレの身体を、素早く亮ちゃんが受け止めてくれて。


「なんや亀梨、危ないやんけ」


そう言って笑って、身体を起こしてくれる。


「ありがっ…」
「あーもーそこっ!!!」


お礼を言おうと思ったら、前のほうからバカデカイ声が聞こえてきて。ズカズカとわざと大きな音を立てながら、仁が大股で歩いてくる。


「なにイチャイチャしてんの!ほらほらっ!カメから離れてー!!」


そう言って亮ちゃんの手を握ると、さっき同様ズカズカ音を立てながら元居たところに戻っていった。


「な、に…」


そんな仁のうしろ姿を目で追っていって、思わず漏らした間抜けな声。だって…自分でも忘れてた。


「カメ、たんじょーびおめでと☆」
「おい、赤西!!」


そう、今日はオレの誕生日。オレももう、18になったんだ。なんか、全然実感なくて変なカンジ。こんなにみんなに祝ってもらえるなんて、思ってもみなかったし。ってことは、さっきの音って、クラッカー?


「亀梨くん、誕生日オメデトウございます!!」
「草野ー…」
「亀梨、誕生日おめでとうな」
「内くんまで言っちゃう?」


みんながおめでとうって言うのに、いちいち突っ込みいれてる中丸と聖。さすがお笑いコンビ。本番でやってるコントよりも普段の生活の中での行動の方が面白いってコト、わかってないのかな。


「てなわけでまぁ、カメちゃんの誕生日パーティを開こうということなんですけど」
「あ、ぴぃ!! そのセリフ、俺が言うんだって!」


…シナリオまで決まってるんですか。なんか怒鳴り込んできた仁は全く無視で、山ぴぃは傍にあったイスに座るようオレを促す。遠慮することなくイスに腰掛けて、初めて気が付いたのは。


「どう?このパーティ」


パーティー…は、いいんだけど。なんか目の前に貼ってある紙を見るに、パーティーの趣旨違くない?
だって、目の前に見える文字は…


「カメちゃんの彼氏選手権」


そう、今中丸が言った言葉そのまんま。…ってマジ、意味がわかりませんって。


「…は?なにソレ」
「そのまんまだよ、亀梨くん」


にっこりいつもの営業スマイルで、田口がオレの目の前に出て来て。


「カメに選んでもらおうと思ってさ」


かと思ったら、田口を押し退けてオレの前に出てくる斗真。


「…何を?」
「だーかーらーねー」
「オレらみんな、カメのコトすきなんだよ」


中丸が言おうとしていた言葉を奪って、聖がそう言って。


「だから、亀梨くんの好きな人を選んでほしいの」


またまたその言葉に繋いで、薮が言った。
…ちょっと待ってよ。このパーティーの趣旨が『彼氏選び』なら、薮も彼氏候補なワケ!? しかも、彼氏ってことはオレ、薮に攻め…られる…の?


「カメも18だし、しようと思えば結婚できる年じゃん?ってコトで、18歳未満の二人は落選〜」
「いいの!できるの!!」


仁の言葉に、薮は怒鳴って仁の腹を殴り、草野は冷ややかな瞳で仁を睨む。絶対、なんか企んでるし。…しかも、結婚とかって。勝手に話が進んでるような気がするんですけど。


「彼氏選手権やなくて旦那さん選手権やんけ」


けらけら笑いながらそういうのは、亮ちゃん。…ちょっと待ってホント、笑い事じゃないんですけど。


「ねぇカメ、選んでよ」


仁の言葉に、みんながうんうんと頷いて。ちょっとづつ、オレとの距離を狭めてくる。


「ちょちょちょっ!ちょっと待ってってば!!」


じっとオレに集まる視線をかき消そうと、目の前で大袈裟に手を振る。だって…それは普通に困るでしょ。


「何?…あ、もしかして、この中に好きな人がいないとか」


好き、好きじゃないの前にね。オレは男、君たちも男。…わかってんのかな。別に、この中に好きな人がいないってワケじゃないよ。でもやっぱ…そんなみんなの前で公開するようなことじゃなくない?


「………」


黙り込むオレに、群衆が更に群がってくる。ちょっと視線をそらして、いちばん端っこにいる人を見る。きょとんとした表情をしたから、フッて微笑んでやった。そしたら、頬をピンク色に染めて。だんだんと、瞳が真剣さを帯びてくる。


「…いないよ」


目をそらしてみんなの方に向き返って言ってやったら、他のヤツら同様、がくんと肩を降ろした。





大好きなあなたの誕生日。
今度はオレから告白してやるから、覚悟しといて。

そんな決意を固めた、18歳の誕生日。




**Happy birthday 
  Kazuya Kamenashi 04/02/23**


 ‥END‥

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バースデー小説。と、いうことで。皆様にアンケを取った結果、相手のメンツはこんなカンジでした。一応全員と絡ませたつもりなんですが…贔屓があるのとかは、宙の個人的な趣味です。(死)
いつもこんなんですいません。…次こそは!!(お前に次っていつだよ/苦笑)

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