犯 罪  
     
 




夕食後、月を書斎に呼び、総一郎は目の前の扉が開くのを新聞の経済面を読みながら待っていた。
息子である月が物心付く前から、男同士の遊びだと称してこの書斎に呼び出していた。
もちろん、妻の幸子にその意図を気付かれることもなく、すでに10年近くの時が経つ。
幼い子供だった月も日に日にその外見を大人に近づけていき、この遊びが何であるかもすでに理解しているだろう。
自分が望む以上に賢く育った息子は、時折父親である自分をも凌駕するほどの知識を垣間見せた。
扉をノックする音がする。


「入りなさい」


月が扉を開け、中に入った。
毎朝目にする制服姿とは違い、Tシャツなどを着るとやはり10代前半の幼さが残る。
書斎の明かりはデスクの上にある白熱灯のスタンドのみで、室内は全体的に薄暗い。
足元に注意しながら、月は総一郎の前までやってきた。
濃い陰影が月の均整の取れた容貌を際立てている。


「月、おいで」


優しい声音で、呼び寄せた。
月は邪気のない笑顔を見せ、総一郎の足元に膝まづく。
いつものようにと、慣れた手つきでベルトをはずし下着からそのものを取り出すと、舌先で舐めてから頬張った。
月が躊躇うこともなく、この行動をとるのは、長年続けてきた総一郎の教育の賜物だ。
こうするのが当たり前だと。
それが、異常な行為であることを月が知ることないようにゆっくりと教えてきた。
最初は萎えて銜えやすい大きさであっても舌先を絡め、指先を使い、それが脈打ち硬くそそり立つまで、何度も何度も繰り返させる。
月は付け根から上方に向かって、形を変えていくそれをくまなく舐め回した。
総一郎の息がだんだんと上がっていく。
月は口の端から零れる涎を気にせず、小刻みに舌を動かしては、たまに喉奥まで銜えた。
時折、息苦しいのか小さな呻き声を漏らす。
強張り、膨張したものの先端から青臭く苦いものが漏れ出すと、月はそれを合図に口をすぼめ、強めに吸い付いた。
総一郎は月の頭を掴み、何度か腰を揺らす。
月の口内に白濁した、生温かいものを放射し、腰を落とす。
ぽたぽたと液体を零しながら、月から萎えたそれを引き抜くと月は咳き込んだ。
口唇を袖で拭う月に総一郎は手にしたテッシュで汚れた顔を拭いてやる。


「きもちよかった?」


不安そうに聞いてくる月に総一郎は難しい表情のまま「ああ」とそっけなく答えた。
月はほっとしたように笑い、椅子に座ったままの総一郎に抱きついた。


「父さん、僕も気持ちよくなりたいな」


甘えるように縋り付く月に耳元で囁かれ、総一郎は優しくそれに応じた。
月に直接触れることの快楽を教えたのは、10歳になった頃だっただろうか。
まだ二次成長も迎えていない、幼いそれは射精することはなくとも弄れば硬くなった。
それから徐々に性的快楽を身体に染み込ませるように、夜毎繰り返した。
総一郎は膝を割った間に月を座らせ、背中越しに手を伸ばすと、下着の中で硬くなっていた月のものを直接掴んだ。
月がびくりと身体を震わせた。


「あ・・・んっ」


上下に扱きながら、片方の手で胸元を撫でると、月が甘い声を出す。
触れずとも先の固くなった突起をつまんでは、指先で転がした。


「あ、あぁ・・・っ、はぁ・・・っんぅ」


下肢と胸と両方を同時に攻められ、月はあっという間に絶頂に達する。
硬くのぼりつめたものの解放を望み、月は何度も腰を動かした。
包むように握られ、その先端は指で塞がれている。
解放したくともできないその焦れったさに、月の目から涙が零れた。


「も、や・・・だぁ・・・」


懇願するように求めるが、総一郎はなかなか指を放そうとはしなかった。
それどころか、胸の突起を何度も弄っては、時に強くつまみ、遊ぶように刺激を与え続けた。
月は胸から伝わる快感に身を捩り、苦しそうに喘ぐ。


「月は気持ちよくしてほしいんじゃなかったのか?」


息を乱し、びくびくと身体を震わせる月の耳元で、総一郎は低い声を響かせた。


「んんっ、・・・あっ、あんっ、あ、あぁ、・・・っ」


月は下肢を塞ぐ総一郎の手を掴み、首を振った。
限界を超え、話すこともままならず、ただ、解放だけを望むように。
そんな色事に溺れる月の様子に、総一郎は満足していた。
自分の手によって自分の手の中で乱れ、よがる。
なんと心地好いことか。


「と、・・・さん、お・・・ねが・・・」


息も絶え絶えに、月が哀願する。
総一郎は塞いだ指を放し、月を解放した。



ぐったりと脱力した月は、総一郎に全身を預け、そのまま目を閉じた。
汚れた手をテッシュできれいにふき取って、総一郎は月の頭を撫でる。

満たされるのは、果てのない独占欲。
正義をつかさどる世界の上層部にその身を置きながら、この許されがたい罪を繰り返す。
自分の中の狂気に震えながらも逃れられず、また犯し続ける。

悪夢は、永遠の快楽を呼ぶ。














 
     
 

2004/09/01

 
     
  パパ月です。
素直な月の年齢設定は中学2年生です。
 
     
     
     
     
 

 
     
     
     
     
     
     

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