「私は貴方のその目が嫌いです」
嫌がる月を半ば拉致する形で連れてきたのは、ホテルの一室。
キラの捜査本部とは全く関係もない、なにもない部屋である。
あるのは面積の大半を占めるダブルベッドだけだ。
「一体何のつもりだ」
両手首をネクタイで拘束された形で、ベッドの上に放り出された月は今までにないほどの憎悪を込めた瞳でLを睨みつけた。
「貴方に睨まれるともっと酷いことをしたくなってしまうので」
Lは月の背後に回るとバスルームにあったタオルでその両目を塞いだ。
これで、得られるのは自分の安堵。
「ふざけるな」
自動車に連れ込んだ時から何度も何度も縛られた手首を自由にしようともがいた結果が、血の滲む赤い輪になってその白い肌に残っている。
まるで、刻印のようですね。
Lは滲んだ血を舐めとるように、月の手首に舌を這わせた。
生温かい感触に、月は腕を振り上げた。
「もう、諦めた方がいいですよ」
関節をはずしたとしても、この縛り方を解くことはできない。
「このきれいな肌にこれ以上傷を増やすことはしたくないですから」
Lは月の口唇を塞いで、その身体をベッドへと押し倒す。
酸素を求めた隙間から、奥へと舌を絡める。
これだけで、分かり合えるわけがない。
そのつもりもない。
口内のすべてを知り尽くそうとするほどの激しい口付けを何度も繰り返す。
苦しそうに顔を顰める月に気がついていないかのように、その息の根を止めるほどに。
呼吸困難が原因で月の全身から力が抜けるのを確認すると、ようやくLは離れた。
口の端からこぼれた、どちらのものかわからない唾液をLは舌で舐めとった。
清浄な空気を求めて、月は肩を上下に揺らし、何度か咳き込んだ。
目隠しをしているので、睨まれていたとしても効果はない。
「見えないと、いつもより感覚が鋭くなりませんか?」
首筋に口唇をあて、強く吸い付くと紅い跡が鮮やかに浮かび上がる。
Lは月の着ていたシャツのボタンを全てはずし、はだけた胸に愛撫を繰り返す。
小さな突起を舌先で触れ、軽く噛み付くと月がようやく声を漏らした。
声を出さないというのが、抵抗のひとつとするのなら、それを崩したことになる。
月は悔しそうに口唇を噛んだ。
胸に吸い付いたまま、湶骨を一本一本なぞるように撫でると、月が身じろいだ。
股間に手を伸ばすと、その意識とは別に解放されることを望むように、硬くなっていた。
「夜神くんの下半身は正直ですね」
故意に、その羞恥心を煽るように耳元で囁く。
月は肩を震わせただけで、反論はしなかった。
あくまでも沈黙を続ける姿勢らしい。
夜神月の情報に強情で頑固という項目を増やすべきか。
Lは月のベルトをはずし、膝までズボンと下着を一気に下ろすと、露になったものを直接掴み、上下に扱いた
「・・・んっ・・・やっ」
その直接的な刺激に、月は逃れようと腰を引いた。
手で触れているだけだというのに、勃ちあがったそれは堅さを増していく。
「見えないってどんな気分ですか?」
その耳に舌を伸ばし、形をゆっくりと辿る。
月が嫌がるように顔をそむけるが、Lは無駄だというように耳朶に甘く噛み付いた。
けれど、月は頑なに答えない。
その態度がまた、Lの嗜虐心を煽るということを知らないのだろうか。
それとも、煽るように故意に?
先端を指先で弄りながら、月の昂ぶったものを握り締めるといとも容易くそれは絶頂に達し、果てた。
「あ・・・ぁっ・・・ぅんっ」
全身を震わせ、月は呼吸を乱す。
いつもより早い反応に、目隠しが影響しているのかもしれない。
身動き取れないまま、憎い男に手だけでイかされる事がどれ程の屈辱を与えているだろうか。
それでも、彼は屈せずに強い光を今は隠されたその瞳に宿すのだ。
Lは白く濁った液体に汚れた指をそのまま月の中へと挿入れた。
まずは一本。
そう、ゆっくり焦らす方が、効果的だ。
濡れた指で熱く纏わりつく粘膜をじわじわと掻き回す。
「・・・ん・・・ふぁ・・・ぁあ・・・っん」
月の口から声が漏れた時に触れた部分を念入りに擦りだすと、腰を浮かせた。
指を二本に増やすと、月から切なげな喘ぎ声が漏れるようになった。
徐々に柔らかく解されていくそこの快感に反応するように、果てたばかりのものもだんだんと硬くその身を起こしていく。
「あ・・・んっ」
月は縛られた手首で口を押さえ、必死で声が漏れるのを防ごうとする。
「もっと自分に正直になったほうが楽だとは思いませんか?」
他人から施される快楽に身を任せることがその孤高なまでの自尊心を傷つけることになるだろう。
それを望んでいるのは、まぎれもないL自身だ。
ずるりと音を立てて、指を抜き取ると粘液や体液でどろどろになったその指を舐めた。
月の膝を広げ、その身を割りいれる。
何の前触れも無く、月のそこにLは自らを突き立てた。
「いっ・・・ああっ」
さすがに、その衝撃に耐え切れず、月は悲鳴にも似た声をあげた。
Lはその声に反応するように、激しく何度も挿抽を繰り返す。
「あ・・・あぁ・・・っ、はっ・・・あ、ん」
その腰の動きと連動するように、月から嬌声が漏れると、まるで求められいるようで、鳥肌が立つ。
あの瞳が見えないというだけで、こんなにも違うのか。
自分がいかに月の双眸に支配されているのかを再確認させられる。
この身に任せる快楽を身体に刻み付けたい。
意思とは別に、最初に溺れるのは身体だ。
「夜神くんは本当にいい声で啼きますね」
聞こえたのか、その言葉に月の身体が震えるように反応した。
屈辱に濡れたその瞳を見ることができないのは、非常に残念です。
Lは硬く勃ちあがった月のものを何度か扱き、その指できつく握り締めると同時に、己を月の中で解放した。
「あああ・・・っ」
月もLの手にその欲望を放つと、息を乱したまま力無く横たわった。
「夜神くん」
名前を呼んでもぴくりともしない。
Lはまず目隠しをはずした。
意識を手放したのか、月の目は閉じられている。
それから、拘束していた手首のネクタイをほどく。
ゆっくりと投げ出された両手首には赤い刻印がはっきりと残っていた。
しばらくこの手を見るたびに、今日のことを思い出して欲情してしまいそうですね。
何人にも支配されない気高い精神を陵辱するのは困難だ。
次に目を覚ました時に、どんな言い訳をすれば納得するでしょうか?
それは実に楽しい難問だった。
終
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