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動機 |
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最初に興味を持ったのは、報告書だった。 あまりにも優秀すぎるその内容に、目が止まった。 もちろん夜神局長の息子だという点でも、要注意人物として名前をあげた。 些細なことでも見逃すわけにはいかないからだ。 二度目はモニター越しに見た、やはり僅かな隙もない完璧な高校生だ。 聡明な優等生。 誰が見ても感心し、羨むべき好青年が映し出されていた。 あまりにも完成されていて、逆に違和感を覚えた。 行動や言動の一つ一つが『ツクリモノ』のようで、気味が悪いとさえ思った。 だからこそ、疑惑が生まれた。 直接、出会った時の瞳が忘れられない。 すべてを射抜いてしまいそうな、鋭い視線。 穏やかな栗色の瞳から放たれた殺気は、ほんの瞬きの間に跡形もなく消え去った。 まるで幻だったと思わせるほどの変化に惑わされそうになる。 それでも、あの一瞬は今も鮮明に思い出すことができる程、印象的だった。 白磁の肌にそれを際立たせる淡茶の髪が揺れていた。 誰もが、認めざるを得ないその端整な顔立ちには、まだ多少の幼さが残る。 類稀な容姿に驚異的な頭脳と才能を併せ持つ彼は、酷く異質だった。 出会う前から意識していた彼の『ツクリモノ』は、実際に側にいればいる程、本当につくられているものにしか見えなかった。 笑顔も言葉も仕種も態度も。 相手に合わせて、計算されている。 上辺だけでなく、彼と深く付き合ったとしても、それが『夜神月』であるということを誰も疑うことはないだろう。 しかし、彼は全国トップレベルの国立大学に主席入学した頭脳明晰な大学生を『演じている』のだ。 家族や友人を含め、彼に関わる全ての人間が、その演技に騙されている。 もちろん、その事実を信じるものがいるとは思えない。 それ程巧妙に尚且つ完璧に、『優等生夜神月』は長い時間をかけて形成されてきたのだ。 最初から怪しいと疑っていたからこそ、Lだけは気がつくことができた。 『ツクリモノ』の夜神月に。 Lが月の『ツクリモノ』を暴いてみたいという欲求に全てを奪われるまでに、時間はかからなかった。 (どうすればいい?) 彼を手に入れて、それから一枚一枚服を剥ぎ取るように、『ホンモノ』を曝け出してみたい。 まずは、あの不快な『笑顔』を壊したかった。 じわじわと追い詰めて、あの高慢な表情が恐怖に怯え、崩れ落ち、自分に屈する瞬間を逃さずに捕らえたいとさえ思う。 醜くも残酷な感情に支配される。 それ程の価値と魅力が彼にはあった。 もしそれが、キラだとしたら? 躊躇うことなく、自らの手で裁いてみせる。 その為に、ここにいるのだから。 終 |
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2004/06/08 |
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なんだか中途半端ですが、中途半端のまま載せてみる。 |
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