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午後3時 |
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薬缶に水を入れる。 蓋をして強火にかける。 ティーポットに茶葉をスプーンに三杯。 沸騰した湯を注ぐ。 砂時計を倒して待つこと三分。 特有のほんのり爽やかな香りが部屋中を満たす頃。 ティーカップに鮮やかな水色の付いた茶を注ぐ。 木製のトレーに乗せて運ぶ。 熱いうちにストレートでどうぞ。 白い湯気の立つ、よい香りの紅茶を月がサイドテーブルに置いた。 「少し、休んだら?」 「毒でも入っているのですか?」 「竜崎を・・・Lを殺しても、何の得にもならないのに?」 面白くも無い冗談に月が笑って答える。 ティーカップを手に取り、Lは一口紅茶を飲んだ。 「砂糖は入れなくてもいいのか?」 月が驚いたように目を丸くすると同時にLは眉間にしわを寄せた。 「入っていなかったのですね」 「気分によって変わる砂糖の数までは僕には推理できないよ」 「それだけわかっていれば十分です」 「そう?」 「はい」 月もまた、自分の入れてきた紅茶を飲み、Lから離れたところに座った。 「月くんは、紅茶を入れるのがお上手ですね」 「なんでもマニュアルどおりに正しく入れれば、それなりにおいしいものが出来るよ」 「それでも」 シュガーポットから角砂糖をつまみあげ、ぽとん、と紅茶へと沈める。 一個。 二個。 三個。 ・・・。 「私のために入れていただいた紅茶は何よりもおいしいです」 好きだという。 気持ちが、湯気とともに立ち上っては、消えていく。 「ついでだったとしても?」 「はい。私の分のティーカップがあるということで充分です」 「ずいぶん簡単だな」 「基本ですから」 「・・・何の?」 「恋愛の、ですよ」 あからさまに嫌な表情を見せる月にかまわず、Lは甘くなった紅茶を飲み干した。 終 |
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2005/09/27 |
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らぶ・・・? |
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