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同温 |
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うたた寝をしていた月は、口唇に触れた冷たい感触で目が覚めた。 「眠り姫のようですね」 無表情でしゃあしゃあと言ってのけた眼前の男を衝動的に殴ったところで、非は無いだろう。 「・・・、私でも痛いものは痛い」 「なら、殴られるようなことをするなよ」 指に響いた鈍痛を振り払うように手首を回して、月はため息を吐く。 「月くんの寝顔があまりにもきれいでしたので、隠してしまいたかったのです」 全身に鳥肌を立てた月が五メートルほどLから飛びのいた。 「・・・、私でも傷つくことがあるのですよ?」 あからさまな月の反応に、Lは無表情のまま訴える。 「なら、気色の悪いことを言うなよ」 「言わなければ伝わらないことばかりですから」 「言っても伝わらないことばかりだよ」 「月くんはいつも私に冷たいと思うのですが」 「特別扱いしているだけだ」 「どうして?」 「どうしてかな?」 楽しそうに微笑む月にLはもう一度口付ける。 「私に口を塞がれたいからですか」 「竜崎に嫌われたいからだよ」 「嘘つきですね」 「どっちが」 重ねた口唇の温度が同じになるまで、何度もキスを繰り返したけれど、互いの想いが交わることなど無いと、知っていた。 終 |
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2005/09/25 |
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ということで、らぶい話。 |
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