夕暮

 
     
 

月が歩く後ろをLは歩く。

「並んで歩けばいいのに」

月が振り返る。
Lは立ち止まる。

「夜神くんが早く歩くので追いつけないのです」

月が微笑う。

「そうなんだ」

納得したようなそうでないような。
曖昧な表情をして、月がまた歩き出す。

「はい」

だからと言って、月が歩調を緩めることはない。
誰にでも合わせて微笑むくせに。

それが、夜神月らしいとLは思う。

「隣りを歩いてくれれば話が出来るのに」

ポツリと呟く声が耳に届く。
それならば。

Lは立ち止まる。

それならば、月がゆっくり歩けばいいと思う。

「負けず嫌いですから」

二人とも。
どちらかに合わせることは、負けを意味するのだろうか?

「流河?」

月が立ち止まる。
Lは歩き出す。

Lは月の隣りに並ぶ。

「歩かなければこの問題は解決します」

月が笑う。

「それはそうだね」

二人は同時に空を見上げた。
東の空に昇りかけた月が真っ赤に染まっている。

「何の話をしますか?」
「何の話をしようか?」

目を合わせて、お互いに沈黙した。








 
 

2004/09/27

 
     
 

相変わらずキャンパスメイトネタが好きでごめんなさい。
しかも短っ!!

 
     
   
     
 

 

 
 
     
 

 

 
 
     
     
     
     
     
     
     

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