| 「せい!!」 アインスは変身完了と共にオルトロストランスを店の外へと蹴り飛ばす 水乃と瀬戸の突きがヒットした時には呻き声すら上げなかったオルトロストランスであったが アインスの一蹴りで苦しそうにもがいた 「化け物が!」 アインスは盾状の武器アインスクライシスを展開させ、拳に装着する グローブのように手に填め込み、パンチの威力を増大させる効果を持っている オルトロストランスのパンチを身を屈めて避け、隙の出来た鳩尾にアインスクライシスを叩き込む ボン、と少量の火薬が爆発するような音がし、閃光が起きる それだけでは終わらずにアインスは拳を捻るようにして更に拳を押し進めた 「っはぁ!」 一際大きい爆発が起き、オルトロストランスは後方へと勢い良く吹き飛ばされた 吹き飛んだオルトロストランスは地面に強く打ち付けられ、壁に激突するまで転がっていく かなりのダメージを負っているようでフラフラとしながら立ち上がった ここでアインスは止めを刺すべくアインスクライシスを元の状態へと戻し、腕に装着する 「Overed Program…Run!」 アインスの必殺技のひとつ、エクスプロージョンを起動する為のコードを認証させる Overed Program発動によってアインスクライシスから赤熱の炎が発せされる それはアインスの体を覆うようにしてアインスの体を取り囲んだ アインスが駆けると同時に炎はアインスの右足へと収束されていく そして地面を蹴り、オルトロストランス目掛けて蹴りを放つ 「ウォオオォォ! オアァァアアァァ! アァアアアァァァアァ!!!」 アインスのエクスプロージョンを真っ向から受けオルトロストランスは断末魔の叫び声をあげる そのままうつ伏せで倒れこむと微弱なノイズがオルトロストランスを取り囲む ノイズが消えると同時にオルトロストランスの姿も消え去っていく まるでそこには何もなかったと言わんばかりに消え去ってしまった 「社長、やりました」 炎はアインスの変身を解くと、一目散に健二のもとへと走っていった 目が覚める。もうそろそろ学校の始まる時間だ だが水乃は学校に行く気分では無かった 昨日の出来事が頭を過ぎり、何も考える気にならなかったからだ 「昨日のあれは…謎の化け物…なのか? それとも吸血鬼って言われてるあれか?」 何でそんなものに狙われなければならないのか 何でそんなものにつけられなければならないのか 考えても解る筈はないのだが、どうしても考えてしまう しかし答えが出ないと解ると次に思い浮かんだ事を確かめようとするだけだった 昨日化け物に襲われた場所へ行けば何か解るかもしれない 解らないかもしれないが、あの化け物についての何かが残されているかも そう思い水乃は家を出た この日に限っては珍しく、自分の宝物である弟の写真と弟の送ってきた本を持っていった 自分のいない間に家に奴等が来るかもしれないと考えたすえの結論だ 弟の写真はこの一枚しかないし、弟がくれた唯一のプレゼントがこの本だからだ 水乃潤哉が弟である十夜という人間と兄弟であったと確認出来る最後のものだから 絶対に誰にも触れさせたくなかった 「決まった!? ツヴァイとゼクスのベルトを装着する人間ですか!?」 「あぁ決まった」 「ど、どうやって決めたんですか?」 朝、炎が出社すると一番に健二からの呼び出しがあった 健二が言うには同時進行で製作されていた他のベルトの装着者が決まったというのだ 今回装着者が決まったベルトは二本 水の力を操る事の出来るツヴァイのベルトと… 光の力を操る事の出来るゼクスのベルトだった 「直感…か…昨日カフェにいた二人を覚えているか?」 「え? えぇ、覚えてますよ… って、もしかしてあの二人ですか!? また何で!」 「お前は話を聞いてなかったのか? あの少年の方、どうやらトランスに狙われているらしい、原因は解らないが… お前も見てきただろう、トランスが人を襲うところを」 「はい、何とも嫌な気分になりました」 「そこ何だよ、トランスは人を襲う だけど何であの少年は…尾行されていたか、そこだ」 「トランスが惚れた…わけないっすね」 「もしかしたら何かトランスに有効な手段を知っているのかも知れないだろう 知らなかったとしても、だ…自衛をさせるという意味でツヴァイのベルトを渡してもいいと思うんだが」 「え!? たったそれだけでですか!? 一応これは秘密裏にネオファクトリーで進めてきたプロジェクトなんですよ!?」 「だから直感だと言っただろう。無論本人が拒否すればそれまでだが…」 「…解りました。で、俺は何をすれば…」 「俺と一緒に昨日の二人を探すんだ」 「うっあ…馬鹿教師…」 「おいおい、教師に向かって馬鹿はないだろう馬鹿は」 昨日水乃達が襲われたカフェに向かった。その途中でで水乃は瀬戸と遭遇した とっくに学校は始まっている時間なのだが、瀬戸は学校に行っていなかったようだ 水乃と同じような理由でここにいると思われる 「何でこんな所にいるんだよ」 「お前もだろ、潤哉」 そんな会話だけで沈黙が流れる ここの通りは様々な店が並んでいる。飲食店、宝石店、本屋、薬屋、玩具屋など だがまだ開店時間にはなっていない。どこの店もシャッターが閉まっている ただ一軒を除いては… 「やっぱりここに来ると思った」 カフェの前に着くと健二と炎が水乃達を待っていた 「何の用だよ」 「たく、何で潤哉はいっつもそう喧嘩腰なんだよ」 健二と炎に突っかかる水乃 水乃からすれば健二と炎も怪しい奴に変わりは無いのだ しかも昨日の事が決定的となって、水乃は尾行してきた黒服達が健二達の仲間じゃないのかと疑っている 「そう警戒しないで欲しい。 あいつらとは何も関係はない、むしろ敵対しているようなものだ」 健二はゆっくりとした口調で言った 「敵対してるって事はあいつらがどんな存在かも?」 「もちろん知っている」 「ほぅ、それは中々面白そうじゃないか潤哉」 瀬戸はまるで新しい玩具を見つけた子供のように目が輝いているようだった 瀬戸は怖いとか恐ろしいとかそういった感情よりも好奇心が強くなったようだ 「それも含めて君達に話があって来たんだ 一緒に来て貰えるかな?」 〜to be next story〜 |