「ん………?」

目を覚ますとそこは見慣れない風景だった
青い空には白い雲を輝く太陽が昇っている
身を起こして辺りを見回してみればだだっ広い緑の大地だった

「あ…あれ……?」

いきなりの展開で僕の思考はついていけなかった
が、頭を整理して思考を巡らしてみる
確か僕は美香さんの家に行ったんだっけ…
それで美香さんの部屋に入ったら美香さんの意識がなくて…
パソコンの画面に映ってたラグナロクとよく解らないホームページを調べたんだっけ…
そしたら急に光りだして…

「……それにしてもここは…」

ここは何処なんだろう
美香さんの部屋…では無い筈だし、どう見ても屋外だ
…だけどこの風景…どこかで見たような…

「え…? え!?」

ぼーっと立ち尽くす僕の前をピンク色をした物体が跳ねていった
ポリンだ、見間違う筈もない、ピンク色をした物体はポリンだ
ラグナロクで最弱のモンスターがなんでこんな所にいるんだろう
あっちにはファブル、プパ、ルナティックまで

「も、もしかして…」

ポリンやファブルが何でこんな所にいるのか、ではなかった
何で『僕が』こんな所にいるのか
どうして僕がこの世界に入り込んでしまったのか
勘違いなんかじゃない、指で頬を抓った
痛い…
夢なんかでも無かった
はっきりと解った、今、自分が置かれている状況を確認出来た
ラグナロクオンラインの世界にいる
『そんな事ないよ』
と否定してくれる声が聞こえるはずも無かった

「あっ! 竹原君は!?」

自分の状況が解ると周りの事も気にする余裕が出てくる
一緒に美香さんの部屋にいた竹原君もこの世界に来ているのだろうか

「竹原君ー!!」

僕は立ち上がり、竹原君の名前を呼びながら辺りを走り回った
だが返ってくる返事は無い
時々他の人と擦れ違うのだが、どの人も見た事あるような格好をしていた
あれはマジシャンだ
あの人はクルセイダー
あっちの人はシーフ…
本当にラグナロクの世界に来ちゃったんだ…
息切れを起こす自分の体がここにはある
これが真実、今ある状況が真実-ほんとう-、むしろ嘘の世界なんてどこにあるんだろう
いや、嘘だから無かったのかもしれないし、今まで送ってきていた生活が本当は夢だったのかもしれないし
考えても考えても何も解らない

「そうだ…街…街に行けば何か解るかも…解らないけど、何か解るかも…」




目が覚めた俺の目に映ったもの
それはだだっ広い砂漠と灼熱の太陽
それとさっきまで見ていた見知った顔の少年だった
映画で見るような中世の騎士風の鎧を身に纏っている長谷崎だった

「何だ…先生達まで来ちゃったんだ」

巨大なオレンジ色のダチョウみたいな鳥に乗った長谷崎が俺を見下ろしていた
手にはこれもまた見事な槍が握られていた

「…ここは…何処だ…」

俺は辺りを見回した
どこも見ても砂、砂、砂、所々にはやしの木が生えている
一体ここは何処なんだ

「備前先生はプリーストなんだ……瀬戸先生はアサシンなんだね」

プリースト…? アサシン?
何の事だ、聖職者に暗殺者?
よく見れば俺の服が変わっていた、着替えた記憶はない…が?
白衣を着ていた筈なのに何故か今は真っ黒いロングコートを着ていた
砂漠のど真ん中で自殺行為な…
そして俺の後ろで倒れている瀬戸も何か…何て言うかよく解らない格好だ
これがアサシンというやつなのか…?
というか事態がまったく飲み込めないのだが

「すぐに解るよ、でもその前に砂漠の熱でやられちゃうかもね」

それだけを言って長谷崎は派手な羽のような物を握りつぶした
直後、長谷崎の体が輝き、一瞬で消えてしまった
一体何が起こったんだ
何が起きてるんだ

「う…」

「ん? お目覚めか…」

「ったく…さっきのは何だったんだ…」

「知るか、ここも凄い所だぞ」

俺は両手を広げてこの場所の素晴らしさをアピールした
何処までも広がる砂地帯
照り付ける太陽と熱風
まったくもって素晴らしい、自然って素晴らしい

「…砂漠か」

「あぁ、砂漠だ」

もう驚こうにも驚けない
いや、驚かない、絶対に驚いてやるものか
とりあえず直射日光を避ける為に木陰へと移動する
日の光が当たらないだけで十分涼しい
コートを脱げばもっと涼しいんだろうがそんな気にもならなかった
少なからずどんな状況かは察しがついていた

「つまりアレか」

「そうだな、アレだ」

言わずとも解る、瀬戸の言いたい事は解る
未知の世界、というやつだ
漫画やゲームでお約束な出来事が起こったんだろう
主人公が見知らぬ土地に飛ばされてしまう
そんな安っぽいどこかで見たようなストーリーだ
大抵は悪の大王とかを倒せば元の世界に戻れるってのが王道

「面倒だよな」

「だな」

だがあくまで仮定、だ
全て仮定、もしかしたらの域を超えない憶測
実際には異なると思うが

「とりあえず…情報収集と行くか」

長谷崎の事もそうだが、もしかしたら他にもこっちの世界に来た人間がいるかもしれない
長谷崎の言った『選ばれた人間』という台詞がどうにも気になる
何かをするにも情報は大切だ
狭い日本でさえ決まり事が沢山あるんだ、この世界にも決まり事はあるだろう
まずはその決まり事を知るのに専念しなければ
本格的に動くのはそれからだ


〜次回へ続く〜

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