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「あいててて…」
朝目が覚めると頭が割れるように痛かった
痛い、というより声や音が頭のなかで暴れてるような感じだ
時間を確認すると朝の7時半
どうやら今日のトレーニングの時間は過ぎてしまったようだ
「何でこんなに頭痛いんだよ…」
意識はハッキリしてるのだがどこか眠気が抜け切ってない頭で考える
確か昨日はきつねさんがいなくて朝食が無かったっしょ
んで、飯作ろうとしてディルと男のバトル…
気がつけば夜の6時で…
その後、きつねさんの持ってきた謎ポーション飲んで…
えーっと…その後から記憶が無い…
あのポーション、副作用とか無いよな
嫌な考えが頭を過ぎるが頭を振って忘れようとする
「いててててて」
と、とりあえず朝食までのあと1時間…少し寝よう
もう駄目だ…
「…ちょ…、ま……て…の…」
誰かが俺の身体を揺すっている
頼むから少し寝かせてくれ
「ほ……食の……よ」
ほっといてくれ…まだ眠いんだ
頭痛も段々酷くなる一方だ、絶対に起きない
「う…う〜ん…」
俺は布団を引っ掴むと頭まで布団を被る
観念したのか俺を揺さぶる手は動きを止めたようだ
だが、そう思った刹那
「起きろーーーーーーー!」
頭の中心部まで響くような大声が俺を襲う
そして俺はたまらず布団から飛び起きる
「やっと起きた…ほら、さっさと…食堂…に……来……」
あれ? エルリラ…?
起こしてくれたんか…? 俺の事嫌ってるんじゃなかったっけ…?
「…あなた、誰…?」
は? 一体何を言ってるんだこいつは
「誰って…俺は俺だ」
「いや、え? え?」
エルリラは俺を見たまま目を丸くしている
何だか俺に対する嫌悪感が無くなってるのか、意外と普通に会話も出来るようになってきたような
「……っと、とりあえずカーテンの向こう側行ってくれよ、服着替えないと」
「え、あ、あ、うん…でも着替えない方がいいかなぁ、って…」
「は? 何で?」
おかしな事を言ってくるエルリラ
昨日の服のまんまだから着替えないと…
「ほ、ほら、もう朝食の時間だし」
「だいーじょうぶだって、すぐ終わっから、出てろって」
「あ、ちょ…」
無理矢理カーテンの向こう側に押し返して着替えを始める
「いてて…」
頭痛と共に襲ってくる変な感覚
どうやら真っ直ぐに立っているのが困難な状態のようだ
とりあえずズボンはいいとして上着を着替える事にする
昨日着ていた青いシャツを脱ぎ、まだ整理してないダンボールから白のシャツを出す
「んっ、暫く着ないうちに…サイズ合わなくなったかな…」
ボタンを閉めていくが胸の辺りで突っかかる
去年買った服だし、俺の方がでかくなってるのかな
なんて考えながら他の服を探そうとして、ある事に気がつく
「……確かに俺の方がでかくなってる………」
自分で何を言ってるんだ俺は
これはでかいとかそんなんじゃ無いだろ…
よ、よく見れば腕も何か細くなってる、足も…細くなってるし
手の平だっていつも見慣れた手じゃない
腰も細くなってる
「な…こ、これは…」
声も高くなってる
だけどそれ以上驚いた事は…
「……ま、マヂかよ…」
自分の胸に大きく膨らむ2つの山が出来ていた事
ある筈の場所にあるモノがなくて…
「な、なんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
俺は着る者もそのままで部屋の中央のカーテンを開ける
「オイコラ! こ、こりゃあどーなってんだ!?」
そう言って俺は自分の胸を指差す
「ど、どーなってるってこっちが聞きたいくらいよ! いきなり女になってるんだから!」
や、やっぱり…
思わないように思わないようにしてたけど、エルリラに言われてようやく再確認した
俺って…やっぱり…
「…女に…なっちまったのか!?」
〜どーでもいいけど新学期まであと3日〜
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