テストまで後3日…

ほとんどの授業のノートは写したし、大体は暗記科目なんで一夜漬けでも大丈夫だろう

2年に上がってからは授業内容も複雑になっていくらしい

暗記勝負な一夜漬けは1年でしか実践出来ないとの事だ

来年からは真面目に授業を受けないと駄目って事か

まぁ来年からとか、明日からとか言ってる時点で怪しいもんなんだが

「おや、カイゼルさん」

「うぉぁ!?」

今日は土曜日という事もあって、授業は昼で終わりだ

時間もある事なんで街の図書館で勉強をしようと思い寮を出ようとした…

が、背後から男爵に声を掛けられて驚く自分

「気配消して近付かないで下さいよ…ビックリします…」

「ふむ…それは失礼致しました」

そう言って男爵は顔につけたオペラ仮面のズレを直す

何て言うか、つくづく不思議な人だと思う

一応プリーストらしいのだが、気配を消したり素顔を明かさないというのは、何となくアサシンを連想させた

以前起きたプロンテラ襲撃事件の時なんて怪我ひとつ無く戻ってきたし…

「それで、カイゼルさんは何処かに行くのですか?」

「あ、あぁ…図書館に行って勉強でもしようかと…」

「ふむ、良い心がけですな」

「は、はぁ…」

これは褒められたのだろうか…

男爵の口調は常に一定で感情が篭っていない為、何を考えているのか全然解らない

「それじゃ途中まで一緒に行きましょうか」

……何を考えてるんだろう

「人と会う約束をしてましてね、途中まで同じ方向ですから」

なるほど納得

しかし俺が問いかける前に既に答えを言ってくれるとは…

俺の考えている事が解るんじゃないかと思う程だ

しかしにして断る理由も無い

「別にいいですよ」

「感謝」

男爵はシルクハットを深く被り直すと歩き出す



「そう言えばカイゼルさん…本日は何時頃に帰ってくる予定で?」

図書館に向かっている途中、男爵が思い出したかのように言う

調べる物は大体決まってる

ただ資料にする為の本の数がどれくらいか解らないし…

それ以上の俺の集中力が保つかどうか解らなかった

で、最終的に算出された数字は…

「7時くらいには戻る…かな?」

男爵は手を口元に当て、暫し沈黙する

そして俺の顔を見て口を開いた

「最近物騒らしいですからね、今もそれについての話し合いがあるのですが…

よかったらお迎えに上がろうかと思いましたが?」

「物騒って…?」

「いや、単なる賊と言いますか…奇妙な二人組みが現れるとの事で」

その話なら数日前からちらちらとは耳に入ってきていた話だ

何でも二人組みの男女が夜のプロンテラで暴れまわっているらしい

「ギルドハンター…?」

その二人は通称・ギルドハンターと呼ばれていた

気の合う冒険者同士や目的が同じ者同士がギルドという集まりを作るのだが

ギルドハンターと呼ばれる二人は、ギルドやギルドに所属するメンバーを襲って回っているらしい

結構有名なギルドのメンバーもその二人によって襲われていた

「はい、学園の中でもギルドを作ってる人達がいますからね、その対策の話し合いがあるんですが…」

「大変っすね…」

「警備員として、生徒の安全は守らなければいけませんので」

「ありがたいです…っと、俺はこっちなんで」

そうこうしている内に図書館へと辿り着いてしまった

俺の目の前には巨大な建物が聳え立っていた

「ふむ、勉強頑張」

「どもっす、それじゃ」



俺は男爵に別れを告げると図書館の中に入っていった

速攻で本の多さに眩暈がしたが何とかなるだろう

というか何とかしないとテストがヤバイっつーか

この科目だけは自分でどうにかしなくてはならい

「アコライト専門知識、ねぇ…」

鞄から取り出した一冊の教科書の題名を音読してみる

それだけで気が重くなった

アコライトに転職した当時は『みんなを後方から支援するんだ』と思っていたが…

今はどちらかと言うと支援なんて殆ど出来ない

殆どと言うかまったく、これっぽっちも、ただのひとつも

「基本的な事は覚えたしなぁ…」

自分は殴りだし、アコライトとしての基本的なスキルを覚えれば後は自己鍛錬のみだ

パーティーとしての云々とか、支援を使う為の云々とかはっきり言って自分では必要ないと思っている

だけどテストはテストだ

赤い点数とか取っちゃうわけにもいかないだろう、祭りに行けなくなるし

「…字ばっかり……けどまぁ…やるしかないか」

苦しいのは一時だけ、と腹を括り俺は本を開いた

字ばっかりで頭が痛くなりそうだがやるしかないだろう

気合だ

〜KIAIだ〜

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