「そんなっ! 聞いてません!」

寮から出た俺の耳にさっきの少女、エルリラの声が聞こえてくる

その声は少し先から聞こえていた

どうやらエルリラともう一人が言い争っているようだ

よく見るとそれは寮母さんだった

「何で…何で…何であんな男と相部屋なんですかっ!!」

「何ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

ちょっと待てーー!

どういうことだー!

「ちょ、ちょ、ちょ、寮母さんっ」

「きつね、でいいわよ」

こっちが大声を出してるにも関わらず、寮母であるきつねさんは至って平常だった

「はぁ…じゃあきつねさん、何で俺が女と相部屋なんすか!? 目一杯問題あるじゃないっすか!?」

「そうですよっ! こ、こんな…危険な変態男と一緒なんて!」

「待て! 危険な変態男って何だ!?」

「言葉の通りよ! 危うくあなたの毒牙にかかるとこだったわ」

「てめぇがいきなり踏みつけてくるからだろ! 不可抗力と言ってもいいね!」

「最低! でも事実は事実じゃない!」

「それは悪いと思うが…いや、そんなんじゃなくてだな…」

ちらり、ときつねさんの方を向く

「ん、あー…他の部屋より広かっただろ?」

「え?」



俺達は寮に戻る事にした

どうやらその『一件』について、きつねさんが説明してくれるらしい

「ん、ディル、いいところに…」

きつねさんは談話室でテレビを見ていたディルに近付き何か話している

その間にコイツ…エルリアと待つ時間、一緒の空間がつらかった

エルリアの体全体から殺気が出てるって言うか、鋭い空気が流れてると言うか…

とにかく、チクチクチクチクとした感じがしていた

もう嫌だ…30秒でこんなんだから…もし相部屋とかなったら…

駄目だ、それだけは避けねば

そんな事を考えていると、きつねさんがディルを連れて戻ってくる

「それじゃ説明する前に…ディルの部屋を見るから」

そう言うとさっさと階段を上がって行ってしまう

とりあえずここに残ってるわけでもいかないんで、後を追う

2階の一室のドアを開けるディル

どうやら俺(達?)の部屋のすぐ隣だった

「で、エルリラとカイゼル、ディルの部屋を良く見てね」

「はぁ…」

と、エルリラも何の事だか解らない様子だった

勿論俺だってきつねさんの意図している事が解らない

「で、次に君達の部屋な」

『君達』って言わんで下さい…

相部屋になるなんて嫌なんですから…

そう思いながらきつねさんに付いてすぐ隣の部屋に入る

「違いが解る?」

「えーっと…」

その部屋にはさっきまで俺が寝ていた布団が敷かれていた

そして、あの騒動で乱雑になった荷物が散らばっていた

「間取り…? の違いですか?」

「そう、通常の一人部屋は六畳一間、しかしこの部屋は十五畳一間なのだ!」

バァァン! という効果音が出そうな勢いで手を広げるきつねさん

とりあえず幾つか疑問がある

まず他に部屋はのこtt

「あぁ、一人部屋はもう残ってないからね」

…疑問一つ解消

えっと、男同士とか女同士で組m

「ちなみに他の二人部屋も男同士、女同士で決まっちゃってるんだよね」

…解消

「つまり…俺達二人でこの部屋に入る他無いっての?」

もう答えが出てるような、決定してるような感じもするんだけど…

一応聞いておく、一応…

「そうだね」

予想してただけに攻撃力も増加

残りHPか赤い感じだ…

「ま、後はじっくり話し合って決めて頂戴」

「くれぐれも変な事はするなよ…」

そう言いながらディルは自分の部屋に、きつねさんは下へと降りていった

ディルの言葉は思いっきり俺に向かってだと思う

ってか俺しかいないか…そうですか…

「で……大変な事になっちまったな…」

「……」

エルリラは話しかけても返事をしてくれない

しかもこっちを見ないで黙々と俺の荷物と自分の荷物を分けていた

「へーへー…そうですか…んじゃ俺は下に行ってますからね、夕食には来いよ」

ズキン、と左頬が痛む

こりゃ痛みが引くまで長引くな、そう思いながら俺は部屋を後にした

〜夜は更けていく…〜

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