放課後の学園

生徒の数は減ってきているとはいえ、未だ活気に溢れていた

そんな青春を謳歌している生徒達とは逆に、俺とカイルは今まさに問題の真っ只中

…と思う

とりあえずは資料室へと向かう

「うっわ…こりゃ酷い…」

そう言いながら俺は辺りを見回す

資料室へと続く廊下のとある一角に進入禁止の立て札がかけられていた

立て札の向こう側は酷い有様だった

窓ガラスは全て割れており、破片が廊下へと飛び散っていた

「しかも見ろよ、あれ」

カイルが指差した方向を見てみる

天井に焼け焦げたような痕があった

しかし、カイルはここで炎魔法を使っていなかった

これもあのバースリーの仕業なのだろうか

確か奴は炎魔法なんか使わない筈だったが…?

「で、どうする? これ越えて行くのか?」

「行くしかないだろ」

俺はそう言うとロープを引っ掴み、ロープの上を跨ぐ

カイルも後に続いてくる

ガチャリというガラスの音を響かせ俺達は資料室へ向かった

改めてみると凄い状況だと思う

辺りはガラスが飛び散り、天井には焦げ後、しかも未だにあの異様な空気が残っているようだった

だが、昼間という事もあってそんな空気も昨日に比べると気にはならなかった

「お、来たデスね」

廊下の突き当たりを曲がった先にある資料室

その前にユツキが立っていた

「早速で悪いんデスけど…」

こちらの姿を確認するや否や資料室の扉を開く

ギギ、っという錆びた金属が擦れ合うような音を立てて扉が開く

中に入るユツキに続いて俺達も中に入る

「…ここも凄い…な、何て言うか…」

圧迫感がある

正直な感想はそれであった

両隣の壁が押し迫ってくるような、そんな感じがした

そしてそんな感覚を前にも感じたような気がした

「保健室でマジシャンの女子生徒を見ましたね?」

カツン、と踵を鳴らし足をそろえてユツキは立ち止まる

「あ、はい、見ました…」

カイルは何故かしどろもどろになりながら答える

「何か感じませんでした?」

「ぁー…ちょっとそこまでは…っていうか何かを感じるとかまだ解らないんで…」

カイルの言葉を聞き、ユツキは考え込む

そして無言のまま資料室の中にあるたったひとつの棚に向かって歩いていく

ユツキは棚からひとつのビンを手に取り俺達に見せた

「それじゃ、これを見て何か感じないデスか?」

その中には金色の石が入っていた

金色…

金色でいて黒い石

黒でいて金色の石

俺達は顔を見合わせ、その後石に目を向ける

「何か…渦巻いてるような…」

「あぁ…うまく説明出来ないけど…何か違う、違う感じがする」

俺に続いてカイルが言葉を発する

そう、うまく表現出来ないが何から違う感じ

たった今、資料室に続く廊下で感じたような感じ

昨日の夜に感じたような感じ

「そう、ありがとデス」

そう言うとユツキはまた棚にそれを戻す

いったい何の意味があるのか解らなかった

「時間を取らせて悪かったデスね、今日はもういいデスよ」

「え?」

終わり?

これで終わり?

イベント終了?

これから色々なアイテムを集めて何かやっちゃうようなイベントは起きないっすか?

「はぁ、じゃあ…」

気合を入れて意気込んでいたのにどうも肩透かしを喰らったような感じだ

どうも納得いかないような感じもするけど…

まぁこれ以上何かが起きる前にとっととここを離れた方がいいかもしれない

というか、特に気にならないと言っても長時間こんな気に当てられては疲れてしまう

「んじゃ、えーっと…解りました」

俺はそれだけ言うと資料室を後にした

カイルにいたっては無言だった

…いつものパターンじゃこれから何かが起きる筈なのに…



ここは夕焼けの資料室

ユツキは飽きもせずガラス瓶に入った金色の石を眺めていた

辺りを包む不穏な空気は未だ消えていない

「…王……」

ユツキは呟く

ここには誰もいない筈なのに

いや、誰もいない筈だから呟くのだ

それに応えるように石がカタカタと振動する

「やっぱり…王なの…デスか…」

ガラス瓶の中の石が弾ける

音もなく弾ける

そして現れる一体の異形の生物、魔物と呼ばれる生物

それは炭鉱に数多く生息するといわれているミストという生物だった

見た目は…

そしてそのミストも先日現れたバースリーと同じく、通常のソレとは違っていた

ガス状の体から伸びる腕の数が明らかに多かった

通常、ミストはバックラーと呼ばれるような簡単な盾を持ち、他の者を襲う為の武器は片腕一本のはずだ

しかしこのミストはその他に3本、合わせて4本の腕を持っていた

上下左右からユツキに襲い掛かるミストの攻撃

ユツキは素早く自分自身にブレッシングと速度上昇を唱え、目にも止まらぬ速さでミストの背後を取る

そして拳を握り締めると半歩後ろに後退

その後、その握りこぶしをミストの後頭部部分へと突き刺すように放つ

「…一体…何でこんな事に…」

バスッっという鈍い音と共にユツキの拳がミストへと突き刺さる

現れたときと同じようにミストは音もなく霧散する

ユツキはミストの消滅を完全に確認すると資料室を後にする

そして扉にナイフのような物を突き刺し、そこを永遠に封印した…


〜炭鉱王っっ〜

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