目が覚めると白い天井が見えた

どうやら病院のベッドの上らしい

「災難だったな…」

声がした方を向くと一人のプリーストが椅子に腰をかけていた

そしてその後ろには緑色の髪を持つウィザードが立っていた

「何が起きたか、覚えているか?」

そのプリーストは椅子から立ち上がると俺の寝ているベッドへと近づいてきた

目はサングラスで隠れており、その下の表情は読み取れない

だが今まで見てきた普通のプリーストとは少し違う感じがする

それは表情が読み取れないからというより、そのプリーストが発する雰囲気的な物…

更に言えば魔力や何かが違う雰囲気を感じ取ったからだろうか

「ふむ…覚えていようが覚えていまいがそれはどうでもいい…」

そう言ってそのプリーストは俺のすぐそばにまで近づいて来る

そして俺に背を向けるとこう言った

「昨日の事は忘れるんだ…」

昨日?

あぁ…段々思い出してきた…

昨日…俺は…

「フェネック…後は頼む…」

プリーストは後ろにいたウィザードに一言告げると病室を出ていった

それを見送ったウィザードは俺に近づき、俺の頭へと手をかざした

「シェ…ラ……」

ウィザードの掌から光が放たれる

そして次の瞬間には俺の意識はゆっくりと薄らいでいった…



「っぁ…」

夢の中の自分の意識が薄れていくのとは逆に、俺は一気に眠りから覚めた

今までで一番不安な感覚と黒い感覚と一筋の光が溢れる感覚が同時に起きた

どうしてだか解らないが、この学園に通うようになってからというもの過去の事を夢で見る機会が多くなっていた

最近プロンテラの街中や新聞などでも話題になっている魔物の凶暴化と何か関係があるのか

「いててっ」

そんな事を考えながら体から落ちた布団を取ろうと手を伸ばした時、体中に激痛が走った

昨日、サルバにヒールを貰ったのまでは良かった

体の傷も消え、痛みも引いた

が、しかし

帰ってきてからが酷かった

まず手始めにエルリラの尋問、『何をしてたのか?』と壁際まで追い詰めながら問い詰めてきた

流石に俺も『学校に忍び込んできて死に掛けたぜ、はっはっは』などと言えるはずもなかった

そこから始まる大乱闘

大乱闘と言うか一方的に殴る蹴るの暴行を受けていた

言うまでもなく俺が

「ったく、女ってのはどうもヒステリックな所が訳解らん…」

ここ最近…というか最初に会ってからのエルリラの行動がいまいち良く解らなかった

俺の事を嫌ってたかと思えば普通に話すようになってきたし

昨日だって何であんなに怒ってたのかわからな…それは解る、が

あそこまでキレなくてもいいのに…

「考えたって解らねぇ、か」

俺は痛む体を抑えながら布団をかけ直すと目を瞑り、暫く惰眠を貪る事にした

昨日の出来事…

今日登校したらどういう風になっているのか…

揉み消されてたりしてな

そんな事を考えながらも、俺は浅い眠りへと落ちていった



俺はあの後あまり眠れず、朝食が始まる30分前には目が覚めてしまった

痛む体を何とか起こしながら朝食までの時間を寮の外でブラブラして過ごす事にした

昨日自分が関わってしまったあの出来事があったとは思えないくらいに清々しい朝

空を見上げると真っ白な雲が風に流れていた

「あれ、朝食までにはまだ時間があるけど?」

ぼーっと空を眺めていた俺にきつねが声をかけてきた

手にはほうきと如雨露を持っていた

「いや、ちょっと早く目が覚めちゃって…」

「遅く起きる人よりかはいいね、中々起きない人もいるからねぇ」

きつねは手にした如雨露の水を花壇の花に撒きながら言った

花壇には色とりどりの花が植えられており、その全てが大きく花を咲かせていた

春らしいピンクの色をした花から見た事のないような花まで様々な花が植えられていた

そしてその花壇の規模は相当なもので、寮の建物を取り囲む程のものだった

「これ全部きつねさんが?」

俺は花壇の花のひとつに手を触れきつねさんに問いかける

きつねさんは水を撒く手を休め、答えた

「大体は、ね…」

「へぇ……」

きつねさんの表情が変化したような気がしたが気のせいだろうと思い、花壇の方へと視線を戻す

「…ぬぁ…」

よく見るとマンドラゴラの小さいものやフローラの小さいものまで植えてあった

その2つは明らかに食虫植物といった雰囲気を醸し出している

飛んできた虫をその長い触手で突き刺して捕獲するマンドラゴラ

植物とは思えない動きをしているフローラ

小さいからと言ってもどこか不気味な感じがした

「あ、あの…俺そろそろ中に戻ります…」

清々しい朝から一変、俺はなんとも言えない微妙な雰囲気になったその場を立ち去る

きつねさんは鼻歌混じりに植物へと水をあげていた

「そう? それじゃまた後で」

きつねの声は明るいが花壇の植物を見た後だと奇妙な笑みのように見えてくる

「はあ…」

俺はテンションが一気に下がる感覚を覚えながらも寮の中へと戻っていった


〜きっとアルケミストが絡んでるに違いない〜

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