「すいません、ご迷惑をおかけしました」

ジュリアンは礼を一言添えてユツキとサルバに頭を下げた

「ま、大した事が無かったデスからね良しとしましょう」

ユツキはあまり細かい事を気にしないタイプなのか、この事は不問としてくれた

サルバの方はというと

ユツキに強引に押し流され、この事については全部をユツキに任せる事となった

後の面倒な事はこの2人がどうにかしてくれるらしい

何をどうすればそうなるのかは解らなかったが何にせよ俺らにとっては好都合だった

「あ、一応傷とかが痛むようでしたら遠慮なく着て下さいね」

サルバはそう言って手を振る

サルバのヒールは完璧なものだった、多分保健室に通うなんていうことは無いと思う

「その時はお願いします」

だが俺はそう言って保健室を後にした

元来た道は戻らず、保健室から直接外に出、校門を目指す

今が何時なのか解らなかったが男爵に見つかると厄介だと思い、校門を抜け全力で疾走する

途中でカイルとジュリアンと別れ、円慈と共に寮を目指した

「男爵は…?」

円慈は寮を取り囲む塀を背にし、俺に尋ねてくる

俺は門の所までゆっくり歩き、顔半分を出して中を覗く

辺りには誰の気配も無い

多分誰もいないから大丈夫だろう

「おっけ、誰もいない、きつねさんもいないみたいだし…大丈夫だ、突っ切るぞ!」

「よっしゃ!」

俺と円慈は中庭を全力で走り寮の中へと入っていった

玄関と談話室には誰もいなく、俺達は無事に部屋へと戻ることが出来た

「…何やってたのよ…」

開けた扉をゆっくりと閉める

訂正しよう

円慈は無事に部屋へと戻ることが出来た、と

「何突っ立ってるの? 早く入ったら?」

…こ、怖ひ…

今日出会ったバースリーなんて比じゃないほど恐ろしいオーラが出てる

「は、はぁ…ただいま…」

そんなエルリラのオーラに気圧されながらも部屋に入り扉を閉める

まだ長い夜は続きそうだった…



「一体どういう事ですか?」

サルバは保健室に備え付けられているベッドに座りユツキに問い掛けた

ユツキもその言葉の意味を理解し、ゆっくりながら話し始めた

「古代呪文…」

その言葉に反応するかのようにサルバの表情が険しくなる

古代呪文(エンシェントスペル)…

限られた人間にしか使う事の出来ない技術であり魔術、そして知識であり技である

「あの子…一瞬だけど発動させたデスよ…古代呪文を…」

「え? だってあれは…記憶ごと全てを封印した筈じゃ…」

「確かに…数年前イズルートで起きたあの事件の日…封印した筈デス」

ユツキは開いていた窓を閉め、近くの椅子へと腰掛けた

背もたれに体重を預け、息をひとつ吐く

そしてまたゆっくりと話し始める

「何かが原因…? いや…もう始まっていたのかもしれないデス。アレは前兆だった、とか…」

「うーん…どうしましょう、あの時イズルートに行ってた訳じゃないんで何とも言えないんですが…」

「確か…私とベルガーさんと…あと…封印を試行したフェネックさんが…一緒に」

そう言うとユツキは立ち上がり、棚の中にある本を一冊取り出す

そしてその本を別の棚の本と本の間に空いている隙間に差し込む

カチカチと歯車が回るような音がして一番下の棚が開く

「えーっと…フェネックさんってどこに行ったんだっけ?」

ユツキは『セラフィックゲート』と書かれたファイルを取り出し、中を書類を取り出す

「えーっと確か……」

サルバは額に人差し指を当て、考え込む

しばし考え込んだ後に手をポンと叩いた

「確かこの学園の所持する寮に行ってたと思いますよ」


〜兎〜

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