「人の弟に手ぇ出してんじゃねぇよ」

「まったく、騒がしいと思ったら…」

こ…れは…

またあの時の…

目の前にはアトラスとアリエルがいた

床には二人の手によって斬られたであろう茨が転がっていた

「お前は1000回切り刻んでも許さねぇ」

あぁ…俺は助かったんだ…な…

「これでも一応私達の大事な愚弟だからね」

な、何だ…

やけにカッコいいじゃねぇか…兄貴と…姉貴…



「……っ!?」

目が覚めるとそこは見慣れぬ部屋の中だった

「つっ!」

ベッドから起き上がろうとするが痛みで起き上がれない

「よー、生きてたみたいだな」

声がした方を振り向くと、そこには俺と同じようにベッドに横になっているカイルの姿があった

その先のベッドにはジュリアンが、その先には円慈の姿があった

2人ともただ寝ているだけで生きてはいるようだった

何はともあれ俺たちは助かったようだ

「まったく、随分と無茶な事やってくれたみたいデスねぇ…」

と、ベッドを取り囲んでいるカーテンを開けて一人のプリーストが入ってくる

俺達の話し声が聞こえたんで様子を見にきたんだろう

「あ、はぁ…すいません…」

「もう少し助けに入るのが遅かったら死んでたんデスよ」

「はぁ…じゃあ、あの…アナタが?」

俺はそのプリーストに恐る恐る尋ねてみた

「はぁ…まぁそうデスよ、何か騒がしいと思って駆け付けたらあんな状況デスからねぇ」

それ以降言葉が出てこない

夜の校舎に忍び込み、錠前を壊し、窓ガラスを数十枚破壊

言い訳の余地など無かった

例えそれが魔物の仕業だったとしても、だ

現に俺達がそこにいただけでいい、それだけで十分だった

きっとこのプリーストも今現在の処遇をどうしようか思案してる最中だろう

「ま、幸い死人なんて出てないデスし、変態が暴れてたって事でいいデスね」

「は、ぁ?」

いきなり訳の解らない事を言うプリースト

「サルバさーん、とりあえずみんなの傷を治しちゃってー」

そのプリーストが向こう側にいたもう一人の男のプリーストを呼ぶ

サルバと呼ばれたそのプリーストは椅子から立ち上がるとゆっくりとこちらに近付いて来る

サルバは手にしたバイブルを閉じると、俺の頭に手を翳した

「…あ…」

サルバの手が一瞬光ると体中の痛みが引いていった

俺の使うヒールとは全然違う、それこそ熟練者のヒールと言えるようなヒールだった

「それじゃユツキさん、後の処置を」

「すげぇ…」

俺は感激しながら痛みの引いた身体を起こす

「あ、待つデス…よ……あぁ…」

もう一人の女プリースト、ユツキが制止の声を上げるが一瞬早く俺が起き上がる

起き上がってから初めて気がついた

何も服を着ていない、と

「結構怪我してたし、服が汚れてたから脱がしたって言おうと思ったんデスけど…」

―――ドサッ!

と、目の前で倒れる人物が一人

その人物はサルバだった

「あーあ、サルバさんには刺激が強かったデスかね……」

どうやらサルバはこの手の刺激になれていないようだった

ユツキはサルバにヒールをかけている

プリーストがプリーストにヒールをかける

俺はそれを見て、何ともシュールな光景に思えた


〜本日の探索の犠牲者・重軽傷者4人(完治済み)、トリップ1人(サルバ)〜

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