夕食も終わり、自分の部屋で雑誌を読んでいた時にそれは起こった

窓ガラスに響く小さな音

俺はそれを不思議に思い、カーテンを開ける

「なっ! カイル!」

どうでもいいんだがこの部屋に来る奴は扉から入ってこないのか

うちの兄貴といいカイルといい…

どうも俺の周りの人間は少しズレてる感じがする

「いっやぁ悪い悪い、ちょっと遅れた」

こんな所から入ってくるくらいなら、俺としてはずっと来ないで欲しかった

そして何よりエルリラの視線が背中に突き刺さるようだった

「よ、エルリラ、こんばんは」

「…こんばんは…何してるの…?」

カイルは窓から部屋に入ってくるとエルリラに挨拶をする

そして思い出したかのようにICカードを取り出した

「悪ぃ…何か成り行きでこうなっちまってさ…」

と、一応エルリラに謝るが、非難の視線が止む事は無かった

それどころか更に視線の鋭さは増していった

俺って何か悪い事したっけか…

何で俺ばっかりこんな目にあうんだよ

「んじゃそろそろ行くか、円璽の方は大丈夫みたいだからな」

「は? 円璽も行くのか!?」

こうなると益々中等部時代の俺達みたいになってくる

俺、カイル、ジュリアン、円璽でよく色んな事をして回ったっけ

主に変な事を仕出かすのはカイルだったんだが

「あぁ、ついでにジュリアンもな」

「っだぁ…マジか…ぜってー人数多いって」

夜の校舎に忍び込もうとする人数では無い気がする

しかも妙にパーティーとしてのバランスも取れてるし

「ねぇ何何? どっかに行くの?」

俺達が話してる真ん中にエルリラが割って入る

「や、ちょっと…な」

いくら何でもエルリラを連れて行く訳には行かない

何も起こらない、と言い切れない

一応念の為に、女を危険かもしれない所に連れて行く事は出来なかった

俺も女だ、って突っ込みは無しな

「ふーん……何処行くの?」

「いや、だから…ちょっとな」

「ちょっとじゃ解らないんだけど…?」

何を疑ってるのか、何を思ってるのか、何を勘違いしているのかは解らない、が

はっきりと『俺達今から学校に潜入してきます』

なんて言ったら止められる事は間違いない

まぁ最初はこんな事、俺もしたくなかったんだが興味が湧いてしまった以上仕方が無い

ここで邪魔されて余計な時間を食うのも何なんで、俺は半強制的に部屋を飛び出る事にした

「あ! ルナティックが空飛んでる!?」

と叫びながら俺は窓の外を指差す

エルリラは可愛いものに目が無い

ルナティックが空を飛んでるなんて言ったら飛びつくに違いない

考えても見れば我ながら苦しい話の逸らし方だったが

「うそ!? どこ!? どこ!?」

あっさり引っかかってやがるし

それを好機と見た俺とカイルはすぐさま扉を開けて部屋を飛び出す

「ここは2階だぞ? ルナがこんな高さまで飛ぶ訳ないじゃん」

俺はそう言い残すとカイルと共にエルリラのもとから走り去った

「なぁ…何か言ってるけどいいのか…?」

寮の門を出る時にカイルが俺に言った

多分エルリラの事だろうが

「まぁいいだろ」

とだけ言い、俺達は夜の校舎に向かって走り出した


「ん、ようやく来たか」

校門前に到着するとすでに円璽とジュリアンが待っていた

ジュリアンは門の鍵を開けているのか、手の中から様々な工具が見えた

…犯罪者め…

「よっと、これで開いた」

ジュリアンは立ち上がると門を力一杯押して開けた

ギギギギと鉄と鉄が擦れる音がして俺達よりも高い門が押し開かれる

「一応イグ葉は4枚、用意してあるけどな」

そう言って円璽はカートの中を漁り、死者を復活させる事の出来る神秘のアイテム

イグドラシルの葉を取り出した

それを俺、ジュリアン、カイルへと手渡す

縁起でも無いと思うが一応念の為に…

それこそ『死者を復活させる』なんてふれこみだが、完全に死亡してしまった場合は効果がない

いわゆる一種のキツケ薬であり、強心剤であった

「出来れば使いたくないよな」

カイルは自分の道具袋にイグ葉をしまいながら呟いた

それは俺も同じ考えだ

しかし自分でも思う、学校に忍び込むだけでこんな準備をしなきゃならないのか、と

「準備万端だよな、おかしいくらいに…」

俺はメイスを装備すると先陣を切って校舎へと入っていった

円璽が閉門ギリギリまで粘って開けておいた窓から中へ入る

中は暗くてどうなっているのか解らない

この場所がどこなのかさえも

「カイル、頼む」

「よし! サイトっ!」

カイルは指を一回転させると辺りを照らし、隠れているモンスターを発見する魔法・サイトを使う

赤い炎がカイルの周囲を回りながら辺りを照らし出した

「って…」

炎に照らし出された周囲を見てまわす

円璽は一体どこでどうやって粘ってここの鍵を開けておいたんだ?

「職員室じゃねーかここ!」

「職員室だけど?」

あっさりと言う円璽

一体こいつは何者なんだ…

疑問が浮かび上がるがそんな事にも構っていられないんで先に進む事にする

俺、カイル、ジュリアン、円璽、と校舎に入った時と同じ隊列で職員室を出る

辺りの様子を伺い廊下へと出る

物音ひとつしない静かな夜だ

空には満月が浮かび、少しながら校舎の中を照らしていた

外から校舎の中は見難いと言っても、サイトを使っていたら人がいるのが解ってしまう

カイルはサイトの発動を終えると今度はジュリアンを先頭にして『開かずの間』へと向かう

アーチャーであるジュリアンは俺達よりも目が良く、夜目が利く

何かが現れてもジュリアンならすぐさま察知出来るであろう

俺達は念には念を入れて、誰に見つかってもすぐに行動出来るように校舎の中を見て回った

〜夜の校舎を行く…〜

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