黒い扉…

赤い部屋…

「く…あ…」

喉に絡みつく茨

無言の宝石

「げほっ!」

胸の辺りに響く鈍い痛み

流れ落ちる赤い雫


そこで夢は覚めた

「…くそっ…!」

目が覚めると見慣れた天井が見えた

カーテンから射す太陽の光が朝を感じさせる

「…最近…おかしい…なんだってんだよ…」

俺は汗で濡れた服を着替えると朝のトレーニングの為に部屋を出て行った


朝学校に行くと、クラス中が騒がしかった

黒板には自習の文字

一時限目は魔法論理の授業だったから自習になったのはもうけもんだ

と言っても、特にやる事も無いので時間だけが余っていく

この時間何をしようか、などと考えているとカイルがやってきた

「今日は何の話だ?」

またどうしようもない噂話なんてものを持ってきたんだろう

だがカイルは妙に真面目な顔だった

「…起きたぜ…」

「何が?」

カイルの言ってる意味が解らない

一体何が起きたと言うのか、何か事件でも起きたのか?

俺の体が女になっちまったって以上の事件ならそりゃ事件だろう

「開かずの間、昨日言っただろ?」

あぁ、確かにそんな話も聞いたような気がする

だけどカイルに言われるまで思い出せなかったって事は別にどうでも良かった事なんだろう

だけど…

起きた、ってのはどういう意味だろう

どうせこの時間は自習だ、カイルの話を少し聞く事にした

「何で今自習になってるか解るか?」

「さぁ、何で?」

「消えたんだ、生徒が一人…」

カイルはまた一層真面目な顔になる

こいつのこんな顔を見るのは久しぶりだ

という事はこの話は…

「一緒にいた奴の話によると、開かずの間、って言っても使われてない資料室なんだけどな

その付近で友人が消えちまったんだと…」

「開かずの間、なんだろ?」

開かずの間、そう開かないから開かずの間なのだ

その扉は異次元と繋がってて消えた奴はそれに飲み込まれたってのか?

どうも納得がいかない

開かない扉をどうやって開けた?

その付近で消えたから今出回っている噂のせいだと思った?

「うーん…イマイチよく解らないんだけど…」

「いやな…その部屋から物音がする、って調べた奴がいてさ」

そんな噂が流れれば少々の事でも大げさに感じてしまう

だから物音ひとつでも敏感に感じ取ってしまう、か

「まぁ扉は開かなかったんだが、少し余所見をしてた内に友人が消えてしまったんだと」

「ほぅ……」

「んで、今教師達が会議中なんだとさ」

もしその話が本当だとしたら、大した事件だ

その最中に噂されている開かずの間の話

多分、既に学園中の奴らがこの話を知っているだろう

となると数日中に大々的な何かが起こるような気がする

「これって何かに似てないか?」

「何かに?」

カイルは真面目な表情を解き、ニヤっとした表情になる

この顔は解る

何か人の弱みを握ってる時の顔だ

「何だったっけかなー…? あぁ、港の廃屋小屋の…」

「それ以上言うな…!」

嫌な事を覚えてるものだ…

何年も前の事をよく覚えてられるな

「あん時はアイツが怪我してだなぁ!」

「解った解った」

長い付き合いというのは時につらい事もある

付き合いが長い故に色々な事を知られている

まぁ逆に俺もカイルのイロイロな話は知っているがな…

「話は逸れたけどさ、カイゼル」

と、また真面目な顔のカイルになる

「お遊び抜きで調べてみない?」

嫌だ

と言いたいが少し興味もあった

俺もこの手の話に弱いな、本当にあの時と同じだ

厄介ごとに巻き込まれるのは御免だったが

何か…ちょっと気になる事があったので調べてみるのも悪くないかな、俺はそう思ってしまった

だけどこれだけ騒ぎになってるんじゃ近付くのも困難じゃないのだろうか

「って言うけどさぁ…多分厳重な封印とかでもされてんじゃない?」

「いやそれは無いだろ、むしろ逆だな…消えた奴を探す為にどうにかして開けるんじゃないか?」

「そうか…まぁそうかも知れないな」

開かずの間の噂…

それがただの噂だったとしても教師達は念の為に調べるであろう

とすると開ける事はあっても閉め切る事はないはずだ

ただしその噂、開かずの間が本当に『開かない』部屋だった場合だが…

「じゃあ今夜はカイゼルんとこに行くな」

「は?」

「は? じゃなくて、今夜決行だ」

「いやいや早いだろそれは!?」

今夜カイルは俺の部屋に来るらしい

それはちょっとマズイ、一応エルリラと同部屋なんだし、寮だし…

しかも寮生の奴らは俺が男だと信用していない

カイルなんかが訪ねて来たら一発であらぬ誤解が生まれてしまう

「じゃ、そゆ事で」

「あ、ちょっと待てよ!」

それだけ言うとカイルは教室を出て行ってしまう

本当に来るつもりだ

それはちょっとヤバイってマジで

今日カイルが来るのもヤバイんだが…

今の俺の放った一言の声の大きさもヤバイ

みんなして静まり返りこっちを見ている

「…もう勘弁してくれ…」

俺は机に突っ伏すると周りの声を極力聞かないようにした

〜真実の扉〜

テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル