あの後に何回はエルダーウィローの襲撃を受けた

だが、それを何とか撃退しタイムリミットの3時間が過ぎた

集合場所に戻ると既に殆どの生徒達が戻っており、何人かはヒールによる治療を受けていた

「みんなにはまだキツかったかなぁ」

アリスが生徒達を見て回りながら言う

確かに数人集まらないと辛いモンスターだった

2人や3人くらいじゃ歯が立たない、なんてのもあっただろう

実際、収集品を入れる袋を持っていたのは、大体4人から5人以上のパーティーを組んだ生徒達だった

「…確信犯か…?」

なんて言葉が俺の口から漏れる

考えてもみれば解る事だった

俺達の実力でエルダーウィローを倒そうとするのが無茶だったんだ

いや、無茶って程でもなかったが、それなりに編成を考えていかなければならなかった

その事を事前に教えずにここに連れて来た、って事は…

「そんな大した事も無かったんだし、気にしても仕方ないんじゃね?」

と、カイルはローブに付いた埃を払い落としながら言う

細かい事を気にしない性格はいいよな

今だけはそう思えてくる

「そうは言うけどなぁ…」

下手したら地べたに転がって治療を受けてるのが俺達だったかもしれない

そう思うとどこか遣り切れない思いが込み上げてくる

「でもさ、先生は先生なりに何か考えてたんじゃないかな?」

と、ジュリアンは俺達の後ろに座りながら言った

その線もあると思うが…

どこかのほほ〜んとしてるあの教師にそんな考えがあったのか…?

「ジュリアンもカイゼルも考え過ぎだって」

カイルが考えなさ過ぎだろう

とジュリアンは目で語っていた

まぁ俺もそう思っている、多分その考えは間違いない

「カイルが考えなさ過ぎなんじゃない?」

と、俺等が思ってるだけで口に出さなかった事をエルリラはさらっと言う

カイル以外の奴等は少しは考えてるようだな

カイル、お前は最早蚊帳の外…

「ひっでぇなぁ…これでも俺だって色々考えてんだぜ?」

「ほ〜う、例えば?」

自信満々に言うカイル

「まぁ何だ、世界の事とか…将来の事とか…芋の事とか…」

「マジかよ?」

「う〜ん…芋の事とか…?」

「芋ばっかりじゃねぇか!?」

こいつの芋好きは今に始まった事じゃ無いが、とりあえず突っ込んでおく

しかも今は芋の事とか関係無いし!?

「っあ〜! いいじゃんかよ!」

カイルは大声を上げるとその場に寝転んだ

カイルって実は結構繊細…なのか?



俺達は同行していたプリーストのポータルに乗り、学園へと戻ってきた

収集品の袋はその場でアリスに渡し、昼食の時間となった

ICカードを開いて残金を確認する

「やっべぇ…こりゃ学食は無理かなぁ…」

残金の数字を見るだけで凹む

何回数えても数字は変わらない

「何、カイゼルは昼飯どーすんの?」

教室に戻ると、鞄の中から芋を取り出しているカイルが声をかけてくる

さっきあれだけ芋食っといてまだ食うのかよ

見てるだけで口の中に芋の味が…

「んー…今日は抜きかな、金ねぇんだよ金が」

寮生活と言えど意外なところで金が出て行ってしまう

しかもこの先何が必要になるか解らないので、無闇に金を使う訳にもいかない

「んじゃ芋食うか?」

カイルは鞄の中を漁ると白い袋に入っている芋を数個俺に差し出してくる

一体こいつの鞄には芋が何個入ってるだ

そんな疑問が浮かぶが、まぁカイルだし良いとしよう

「ん、さんきゅ」

瀬に腹は変えられないし、金欠の今のこの状況じゃこれもありがたい

俺は袋の中から2つ芋を取り出すとそれに齧りつく

「こ、これはっ!」

口に含んだ時の甘さ普通の芋と違う

今までに食べた事の無い味だ、旨い、とても旨い

ただの芋なのにそう感じる

「ふっ、カイゼルにも解るみたいだな…」

とカイルが自身満々に胸を張る

「普通の芋なのに、違う、そう甘みもそうだが…もっとこう…」

「これはフェイヨンの奥地の一角でしか栽培されてない幻の芋…」

「幻の芋!?」

「そう、厳しい雨風に晒されながら力強く成長した黄金の芋なのだ! 滅多に手に入らない芋なんだぜ」

なるほど、普通の芋と栽培方法が違うんだな

芋そのものの生命力を活かした自然の旨さって事か

納得いったぜ

「だけどさ…」

「何だ?」

「まぁ腹に入ればなんでもいいんだけどな」

俺がそう言うと、カイルは激しく回転しながらこける

そりゃもう小気味いい音を響かせながら机と椅子をふっ飛ばしながらこけた

「おぃ、どーした?」

俺は2個目の芋を食べ終えてからカイルに近寄る

「……食に関心が無い奴って嫌だな…」

顔を少しだけ上げるカイル

その目にはうっすら涙が浮かんでいた

そこまで芋に真剣になれるんだったら魔法をもっと覚えろや

「お前も芋以外にゃ興味ないんだろ?」

「そうなんだけどね」

顔を見合わせて俺達2人は笑い合う

別に何がおかしいとかそんな事じゃなく、何となく笑ってしまう

カイルと俺はいつもこんな感じだったからな

そしていつも周りの視線が痛かった

そして今も周りの視線が痛いのは言うまでも無いだろう

〜幻の芋はフィクションです〜

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