who
未確認の沈静化で一条が久しぶりに早めに官舎に戻り、一息ついていたところで…彼は4号の襲撃を受けた。
以前にしっかりと一条が言い付けたおかげか、きちんとインターフォンを押しての来訪であったが……アポイントが無いという点は変わっていない。
そして開口一番がこの台詞である。
「こんばんわっ家政夫しに来ましたっ!」
「……家政夫……」
「はい、ええと、今日の夕食何がいいですか?……って実は魚安かったんで魚ですけど。アジとか」
この時期にしてはお買い得だったんですよ!と力説する雄介を押し止める。
「……家政夫か?」
正面から雄介を見据えて一条は繰り返す。
「はい。家政夫」
「……家政夫を雇った覚えは無いんだが」
「……じゃあポレポレ出張サービスなんてどうです?」
「部屋の掃除や洗濯もしてくれる喫茶店なんて聞いたことがない」
「だったらポレポレ出張超特別サービス」
駄目ですかぁ?と雄介は困ったように頭を掻いた。
がさがさ、と彼の両手にかけられたスーパー袋が立てる。
「……いや、だから……」
玄関先でこんな押問答を繰り返すのも何だか馬鹿らしくて、一条はため息をついた。
このままぼやかして部屋の中に入れようかとも思ったが、どうしても捨てきれないこだわりがこころの隅で自己主張している。
仕方がない、とあきらめて、一条は素直に雄介に問いただした。
「……本当に君は家政夫だったり特別サービスでここに来ているのか?」
fin.
| |