酔
ごろん、と寝転がって、いちじょうさんを抱きしめます。
「っこら、五代!」
うーん、あったかいですねー。
ぎゅーって、うで回しちゃいましょう。
「…とりあえず、離してくれないか?」
いやですよ、気持ちいいんです。
「…本当に君は、酒癖が悪いな」
あ、ひどいですね。笑わないで下さいよ。
「…っだから、耳を噛むな」
だっておいしいんですよ、いちじょおさん。
「……その、おいしいというのはどうにかならないのか?」
なりませんよぅ。おいしいんですー。
「……そうなのか…」
あ、やっとわかってくれました?
「いや、諦めた」
あー、ひどいですねぇ。
くやしいから今度はこっちいただきますよ、
そんなひどいこと言うところ。
「ーーーーーッ!」
んー、やっぱりここがいちばんおいしいです。
ん?おお、さっき飲んだウイスキーの味。
甘苦いなあ。
「…っは、こら、五代!」
えへへ、おいしいです。
「…ああもう、分かったからせめて…」
せめて?
「服、着替えたいんだが…皺になるから」
うお、せっきょくてきですねいちじょうさん。
「違う」
あれ?ちがうの?
「…とにかく、離せ」
はーい。しかたないからはなしますね。
「全く…」
はやくきがえてくださいねー…俺もー…
「…五代?」
眠くてねむくて…
「…寝てしまえ」
うーん、だっていちじょおさんと…
「………」
………ぐう。
「……この、酔っ払いめ」
あ…かみなでてくれてる。
気持ちいー…
…まあいいか、このまま寝ちゃおうっと……
おやすみなさい…
「ああ、おやすみ」
fin.
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