ぱくぱく
「食べたいです」
がし、と両肩を捕む。
「…駄目だ」
ぱし、と片手を叩く。
「何でですかぁ」
たぶんきっと、物凄く情けない顔をする。
「……君の場合、物理的に喰うだろう」
呆れた声を返す。
「塩コショウとバターとコンソメ?」
「………あのな」
軽く身を引く。
「冗談ですって」
「聞こえないから恐い」
苦笑する。
「だったら酒と醤油とみりんと砂糖」
わざと真面目な顔をして言う。
「………和風か」
真面目な顔で返す。
「………冗談ですって」
「だから、そうは聞こえない」
笑い合う。
「……あのーそれで……」
軽く頬を掻いて聞く。
「何だ?」
意地悪く聞き返す。
「……いただいても、いーですか?」
真剣に聞く。
「……美味いとは思えないがな」
苦笑して、遠回りに許可する。
喜んで抱きつく雄介をまるで子供みたいだと思いながら一条は抱き留める。
そのまま子供らしく抱っこで終われば明日の苦労とかは無いのに残念なのか幸運なのか彼はまあ立派なオトナであって。
とりあえずは子供らしく無邪気にオトナのキス。
「んー……」
ゆっくりとしっかりと戴く。
そのうちに一条がぱしぱしと雄介の背中を叩いた。
それでも雄介はまだお腹は減っていたようで。
ばしばしと叩かれてその叩く手が下にずり落ちてしばらくしてからやっと雄介は一条を手放した。
「………………っ」
息は整わなくて身体には力が入らない。
「……ふー、お腹いっぱい……」
笑いながら雄介はそんな一条を支える。
「……だったら、もうごちそうさまだな」
何とか息を整えて一条は言う。
「えっ?やですよそんなのっ」
叱られた子供のように雄介は怯えた。
「……食べ過ぎは身体に良くないだろう」
「冗談ですお腹ぺっこぺこで俺もー駄目限界ですっ」
本気で雄介が言うと一条は目で仕方がないなと答える。
「………腹八分で終わるように」
「いや、十分に食べさせてくださいよ」
「……腹壊しても知らないからな」
「……それ心配しなきゃいけないのは俺じゃなくて一条さうぐ」
「…………」
一条は無言で雄介の顔に枕を押しつける。
しばらくうごうごと唸っていた雄介だったが何とか枕をもぎ放した。
「っはぁっ、苦しいじゃないですかぁ」
「お返しだ」
さっきはちょっと苦しかった。
そう爽やかに言い返されて、雄介は口篭もる。
「うー………」
呼吸が苦しかったせいか、少し頬は赤らんで。
ぷう、と不満そうに口を尖らせている雄介を少し眺めた後で、一条は不意に呟いた。
「………ああ、お返しはこうか」
「へ?」
横に引き伸ばした雄介の口が元に戻る前に。
一条はがしっと雄介を拘束して口付けてそのまま永々と…………
「……………っ」
絶対に青ざめている顔をようやく解放される。
「………大丈夫か?」
少しやり過ぎたかなと思いながら青ざめた顔を見る。
「……だい、じょーぶだといいです……」
何とかあたまを冷やして答える。
「希望か」
まだまだ混乱している彼の頭を撫でてやる。
「むー……」
何だか子供扱いされているような気がするけど気持ちいいので黙る。
「……で、食べるんじゃなかったのか?」
意地悪く聞いてみる。
「……ごめんなさいもうお腹いっぱいです……」
悔しいながらも答える。
そして二人で笑い合う。
fin.
……………戻ってきてスーパー刑事……………!
……文豪さまの画面に手をかけながら何回もこう叫んでました。
おかしいなーどうしてこんな一条さんになるんだろう…………
つうかこの話ゴイチのはずなんだけど………ううん。
また肝心の場面は書いてませんし(汗)
いつになったら……(遠い目)
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