守らなきゃ。
 そう思った瞬間が、
 きっと運のツキだったんだ。



ofbyfor



 お葬式ってのは好きじゃない。
 まあ好きな人を探すほうが難しいだろうけど。
 亡くなった人を送るために集まって、皆でしんみりとした時間を過ごす。
 志半ばにして倒れた人だったりしたらもう大変。
 しんみりどころか、さめざめと泣き崩れるしかないよね。
 そうでなくても、誰かがいなくなるのは悲しいものなのに。
 仕方がないってわかってるけど。
 いつかは皆、いなくなるって知ってるけど。
 でも不条理にもこの世界には、許したくない死ってのがあるわけで。
 そういうときは、もう本当にどうしようもない。
 「どうして」
 なんて言ってみたところで、亡くなった人は戻らない。
 でもどうしても言っちゃうんだよね。
 だって本当にどうしてなのかわからないんだから。



 灯が掲げられた家から一人の少女が飛び出してくる。
 喪服代わりの制服に身を包んだ彼女が、壁に背をもたれて嗚咽をもらすその姿を彼はじっと見つめていた。
 そして無言で固めた拳をコンクリの壁に叩きつける。
 込み上げてきたのは彼の彼による彼のためだけのエゴイズム。
 ………脳裏に、真剣な表情で忠告してきた刑事の姿が浮かんだ。
 『中途半端に関わるな!!』
 打算などからくるものではない、心からの忠告。
 「………仕方、ないよね」
 記憶の中の彼に向かって、宣言した。
 「今度はちゃんと関わります」
 中途半端では無く、しっかりと。
 もう、決めてしまったことだし。
 少女の泣き声は未だおさまらない。
 だけどいつか、誰もが笑って暮らせる日のために。
 「頑張ろ」



 納得できない死が増え続けるこの今に。
 何がどこまでできるのかは全然分からないんだけど。
 それでもとりあえずはできることからこつこつとでも。
 地道に描きあげていきましょうか。
 完全なるエゴイストが目指す、青写真をね。





終わり。





………かなーり昔に途中まで書いていたのを発掘。
友人が気に入ってくれた部分もあったのでかなり嬉しい一品。
………でも後半が……またドリーマー?



 
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