今日も今日とて。
二人はベッドの上で膝を付き合っていた。
ねがちえいしょん
「……明日、お休みですよね?」
にっこり、雄介が笑う。
その笑みを正面で受けとめながら負けずに一条もさわやかに笑い返す。
「……君も、明日は店が休みだと言ったよな?」
「言いました」
素直に雄介は首肯いた。
でもまたにこ、と笑うと無言で雄介は右腕を上げ、一条の顔の真前でぴ、と指を二本立てる。
「ピース?」
「違います」
ふるふる、と首を横に振る雄介。
「じゃあチョキ」
「違いますってば」
雄介はぐい、とそれを一条の目に近付けて、
「二回、ですよ」
はっきりと言い切った。
「何が」
「だから」
それでも首を傾げる一条に向かって雄介は言い加える。
「この間から、二回連続で俺がむぐ」
「…言いたいことはようく分かった」
「むぐぅ」
雄介のことばを遮るために、一条は近くにあった枕を雄介の口に押し当てた。
抗議の唸り声を上げて、雄介はそれをもぎ離す。
「ぷはぁっ……だから今日は俺がうぐ」
「だから、言いたいことは分かったと言っている」
「ぅー」
今度は軽く首を締め上げた。
抗議を素直に聞き入れ一条が腕を離すと、雄介はこて、と崩れるようにベッドに倒れる。
「演技過剰だぞ」
「…いやあの、本気で苦しかったんですけどね」
「そうか」
すまなかったな、と謝る一条を上目遣いで見やって、雄介はここぞとばかりに微笑んだ。
「だったら、今日は俺がぐえ」
「だったら、との前後関係が分からないな」
「ううう」
つい、と脚を伸ばして一条は平然と雄介の腹を踏み躙る。
涙目で見上げてくる雄介に気がついて、その脚を退けた。
「…………一条さぁん」
「何だ?」
一条はゆったりと微笑む。
「…………あの、その…………」
ちょぴりアヒル口になっていじけ始めた雄介の頭に一条は手を伸ばして、くしゃ、と撫でた。
「………駄目ですか?」
縋るような目付きになり始めた雄介を見て、一条はため息をつく。
それを見てぱあ、と顔を輝かせた雄介を見ながら、一条はゆっくりとことばを紡いだ。
「……何が、駄目なんだ?」
「………いちじょーさん」
ううううう、と近くに置いていた枕に顔を押しつけて雄介は唸り始めた。
笑いながら一条は雄介の頭を撫で続ける。
途中でぴた、と雄介の唸り声が途切れて枕の隙間から一条を見上げた。
「…俺のことからかってるでしょ」
「気付かなかったのか?」
にこ、と速答されて、雄介は枕に突っ伏した。
「いちじょおさぁん……」
「何だ?」
「……結局、駄目なんですか……?」
「……駄目とは言っていないぞ?」
fin.
…………………ええと。
すみません、某サイトでとても素敵なリバ小説読みまして…………
それで影響受けてこんなん書いてしまいました(死)
影響といってもその小説とは全く違う代物です……
………これは完全裏読みしないと分かりませんね(腐)
つまりは立場の相談ですよ、はい(開き直り)
最終的にごじゅういちで落ち着いたらしいですね。
……しかしこの一条さん何者……まあいつものことですけど(泣)
ねがちえいしょん…negotiation=交渉
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